株式会社システム ディの2025年10月期第3四半期累計決算は、売上高37.44億円(前年同期比14.2%増)、営業利益6.93億円(同33.5%増)、経常利益6.98億円(同34.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益4.89億円(同42.0%増)と、大幅な増収増益を達成した。新規ユーザーのシステム利用開始によるストック収益の積み上げと、新年度予算案件の受注・納品が順調に進み、フロー売上も堅調に推移した結果、当初計画を上回る好調な業績となった。特に利益面での成長が顕著であり、収益性の改善が進んでいる。通期業績予想は据え置きだが、第3四半期までの進捗率は売上高で74.5%、営業利益で74.3%、経常利益で75.0%、純利益で78.0%と高水準であり、通期目標達成への期待が高まる。株主還元については、2025年10月期の年間配当予想を前年実績の24.00円から27.00円に増額しており、株主還元への意欲も示している。全体として、本決算発表は投資家にとって非常にポジティブな内容であったと評価できる。
株式会社システム ディの2025年10月期第3四半期累計期間における全社業績は、売上高、各利益項目ともに前年同期を大きく上回る結果となった。新規顧客獲得によるストック収益の増加に加え、新年度予算案件の受注と納品が順調に進んだことでフロー売上も堅調に推移し、売上高は前年同期比14.2%増を記録した。利益面では、営業利益が33.5%増、経常利益が34.4%増、親会社株主に帰属する四半期純利益が42.0%増と、売上高を上回る高い伸び率を示し、収益性の改善が明確に表れている。これは、各事業セグメントにおける堅実な事業展開と効率的な経営が奏功した結果と判断できる。
指標 | 2025年10月期3Q(累計) | 2024年10月期3Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 37.44億円 | 32.78億円 | 14.2% |
営業利益 | 6.93億円 | 5.19億円 | 33.5% |
経常利益 | 6.98億円 | 5.19億円 | 34.4% |
純利益 | 4.89億円 | 3.44億円 | 42.0% |
ソフトウェア事業は、全社売上高の約96.2%を占める主要セグメントである。当第3四半期累計期間においては、各事業領域で堅調な進捗を見せた。学園ソリューション事業では、業界トップシェアを誇る学園総合情報システム「キャンパスプラン」シリーズにおいて、次世代学園総合情報システム「Campus Plan Smart」の新規案件やバージョンアップ案件を多数納品した。公教育ソリューション事業では、クラウド型校務支援システム「School Engine」の4月稼働案件の立ち上げや、新たな大規模案件の落札により実績を積み上げた。公共団体向け公会計ソリューション事業では、「PPP(トリプル・ピー) Ver.5 新統一基準対応版」が全国の自治体で活用され、財産管理システムや「Common財務会計システム」の導入も進んだ。ウェルネスソリューション事業では、運営支援システム「Hello」シリーズを展開し、24時間ジムやゴルフスクール等の小規模フィットネス施設へのクラウド型会員管理・会費回収システム「Smart Hello」の納品、公共体育施設や文化施設へのクラウド型チケット管理システム「Smart Hello チケット」の新規導入を進めた。ソフトエンジニアリング事業では、「規程管理システム」や「契約書作成・管理システム」が高評価を得て、幅広い業種・業界への導入が進んだ。保険薬局向け事業では、保守サポート収入を安定的に確保しつつ、医療DXの一環として電子処方箋システムを多数の薬局へ導入した。AI関連事業では、AI関連の受託開発やコンサルティングを手掛け、自社パッケージソフトへのAI機能実装に向けた開発も推進している。これらの取り組みにより、新規ユーザー獲得と既存顧客へのサービス拡大が着実に進展した。
その他事業は、全社売上高の約3.8%を占めるセグメントである。この区分には、報告セグメントに含まれない各種広報宣伝の企画・制作、テナント賃貸、コンサルティング等の業務が含まれる。当第3四半期累計期間においても、これらの事業活動を通じて、全社業績に貢献した。具体的な動向としては、各事業領域における顧客ニーズに応じたサービス提供を継続し、安定的な収益基盤を維持した。主要なソフトウェア事業を補完する役割を担い、多様な事業ポートフォリオの一部として機能している。
当第3四半期連結累計期間において、株式会社システム ディは、特定の事業/資本提携やM&Aに関する具体的な発表は行っていない。しかしながら、各事業セグメントにおける事業展開は、実質的に多様な顧客層との連携強化や、新たな技術・サービス導入を通じた事業拡大を志向している。例えば、学園ソリューション事業における「Campus Plan Smart」の新規案件獲得やバージョンアップ、公教育ソリューション事業における大規模案件の落札、公共団体向け公会計ソリューション事業における「PPP Ver.5」や「Common財務会計システム」の全国展開、ウェルネスソリューション事業における「Smart Hello」シリーズの新規導入などは、それぞれの市場における顧客基盤の拡大とサービス提供体制の強化を意味する。また、AIを活用したソフトウエアの受託開発やコンサルティングを手掛ける中村牧場株式会社との連携を通じて、AI人材育成や自社パッケージソフトへのAI機能実装に向けた開発を進めるなど、技術的な協業を通じて事業競争力の向上を図っている。これらの活動は、直接的なM&Aではないものの、各事業領域における市場シェア拡大とサービス価値向上に向けた戦略的な取り組みの一環と捉えることができる。
2025年10月期の連結業績予想は、2024年12月16日に公表された内容から修正はなく、据え置きである。第3四半期累計期間までの実績は、売上高、各利益項目ともに通期予想に対して高い進捗率を示しており、通期目標達成に向けて順調に推移している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 50.24億円 | 74.5% |
営業利益 | 9.32億円 | 74.3% |
経常利益 | 9.31億円 | 75.0% |
純利益 | 6.27億円 | 78.0% |
当第3四半期連結会計期間末における総資産は72.06億円となり、前連結会計年度末に比べて2.43億円増加した。主な要因としては、売上債権の回収と前受収益の受領により現金及び預金が6.55億円増加したこと、仕掛品の制作等により棚卸資産が0.43億円増加したことが挙げられる。一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が4.24億円減少、パッケージの償却によりソフトウエアが0.62億円減少、ソフトウエア仮勘定が0.31億円減少、繰延税金資産が0.25億円減少した。
負債は23.38億円となり、前連結会計年度末に比べて1.20億円減少した。前受収益が1.09億円増加、賞与引当金が0.53億円増加、退職給付に係る負債が0.12億円増加した一方で、支払手形及び買掛金が0.66億円減少、未払法人税等が0.42億円減少、長期借入金が0.90億円減少、流動負債のその他に含まれる未払費用が1.25億円減少したことが主な要因である。
純資産は48.68億円となり、前連結会計年度末に比べて3.63億円増加した。これは主に利益剰余金が3.36億円増加したことによる。自己資本比率は前連結会計年度末の64.7%から67.6%に上昇し、財務基盤の安定性が向上している。
なお、当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。減価償却費は0.29億円、ソフトウエア償却費は3.48億円、のれんの償却額は0.19億円であった。
株式会社システム ディは、株主への利益還元を重要な経営課題の一つと認識している。
株式会社システム ディの今後の見通しは、第3四半期までの好調な業績推移と、各事業セグメントにおける堅実な戦略実行により、非常にポジティブであると投資家は評価するだろう。通期業績予想が据え置かれているにもかかわらず、第3四半期累計での進捗率が売上高で74.5%、営業利益で74.3%、経常利益で75.0%、純利益で78.0%と高水準であることは、通期目標達成への確度が高いことを示唆している。
同社は、業種・業務特化型パッケージソフトを核としたソリューション提供を強みとしており、特に需要が高まるクラウドサービスの拡大に注力している。学園ソリューション事業では「Campus Plan Smart」の新規案件獲得とバージョンアップ、公教育ソリューション事業では「School Engine」の大規模案件の落札、公共団体向け公会計ソリューション事業では「PPP Ver.5」や「Common財務会計システム」の全国展開、ウェルネスソリューション事業では「Smart Hello」シリーズの新規導入など、各市場での顧客基盤拡大とサービス提供の深化が継続的に進む見込みである。これらの取り組みは、安定的なストック収益の積み上げとフロー売上の堅調な成長を両立させ、持続的な企業価値向上に寄与すると考えられる。
また、AIを活用したソフトウエアの受託開発やコンサルティング、自社パッケージソフトへのAI機能実装に向けた開発推進は、将来の成長ドライバーとして期待される。AI技術の導入は、既存製品・サービスの付加価値を高め、新たな市場機会を創出する可能性を秘めている。
財務面では、自己資本比率が67.6%に上昇し、財務基盤の安定性がさらに強化されている。これは、今後の事業投資や成長戦略を推進する上での強固な基盤となる。
株主還元についても、年間配当予想の増額は、株主への還元意欲の表れであり、投資家からの評価を高める要因となる。
総合的に見て、株式会社システム ディは、堅調な既存事業の成長に加え、クラウド化やAIといった先端技術への対応を通じて、今後も安定的な収益拡大と企業価値の向上を継続する可能性が高い。第4四半期に向けても、各事業の進捗状況と通期業績予想の達成状況に注目が集まるが、これまでの実績から見ても、投資家にとっては引き続き魅力的な投資対象であると言える。
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