クラウディアホールディングスの2025年8月期通期決算は、売上高135.9億円(前年同期比2.8%増)、営業利益4.0億円(同17.7%増)、経常利益4.2億円(同7.4%増)、純利益3.1億円(同62.2%増)と、増収増益を達成した。既存事業の業績回復に一服感が見られたものの、前連結会計年度に実施したM&A事業や新規出店店舗の売上高が寄与し、増収となった。利益面では、販売費及び一般管理費の増加があったものの、法人税等合計の削減もあり、大幅な増益を記録した。株主還元については、当期および次期ともに年間配当1株当たり10円(中間5円、期末5円)を予定しており、安定的な配当運営を継続する方針を示している。全体として、M&Aや新規出店が業績を牽引し、利益面でも改善が見られたことから、投資家にとってはポジティブな決算発表と評価できる。
2025年8月期の連結業績は、売上高が前年同期比2.8%増の135.9億円、営業利益が同17.7%増の4.0億円、経常利益が同7.4%増の4.2億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同62.2%増の3.1億円となり、増収増益を達成した。既存事業の業績回復は緩やかであったものの、前連結会計年度に実施したM&A事業や新規出店店舗の売上高が寄与し、売上高は増加した。利益面では、販売費及び一般管理費が増加したものの、法人税等合計の削減が寄与し、大幅な増益となった。
指標 | 2025年8月期(累計) | 2024年8月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 135.9億円 | 132.2億円 | 2.8% |
営業利益 | 4.0億円 | 3.4億円 | 17.7% |
経常利益 | 4.2億円 | 3.9億円 | 7.4% |
純利益 | 3.1億円 | 1.9億円 | 62.2% |
ホールセール事業部門の売上高は30.1億円で、全社売上高の約22.1%を占める。前年同期比では8.4%の減収となった。製・商品売上高は13.1億円(同22.4%減)と減少したが、レンタル収入等は17.0億円(同6.5%増)と増加した。販売面では、株式会社クラウディアにおける貸衣裳店向けレンタル事業や、株式会社二条丸八におけるクリーニング事業の売上拡大を図る方針である。生産面では、VIETNAM KURAUDIA CO., LTD.をはじめとする海外生産子会社の原材料費や人件費の上昇が予想される中、引き続き生産効率アップと国内生産体制の強化を図ることで、コスト抑制と供給安定化を目指す。
コンシューマー事業部門の売上高は105.8億円で、全社売上高の約77.9%を占める。前年同期比では6.5%の増収となった。衣裳取扱収入は33.5億円(同12.4%増)、式場運営収入は34.3億円(同17.0%増)、写真・映像・美容等売上高は23.2億円(同0.3%増)と増加したが、リゾート挙式売上高は14.8億円(同13.3%減)と減少した。衣裳事業では、業務提携先の取扱件数減少による既存事業の伸び悩みが課題だが、新規業務提携先の開拓や販売単価向上により安定成長を図る。リゾート挙式事業は円安や厳しい市場環境が続く中、KURAUDIA USA. LTD.や株式会社クラウディア沖縄でのコスト削減と、新規出店した「アイネス ヴィラノッツェ 宮古島」の受注獲得を目指す。式場事業では、フレンチレストラン「ソンブルイユ」の収益力向上と、2026年4月開業予定の「東京大神宮 大神宮会館」の開業準備、受注獲得に注力する。写真・映像・美容等事業も、衣裳事業と同様に業務提携先の取扱件数減少の影響を受けるが、人員体制の見直しによるコスト削減と新規出店したフォトスタジオ「リトル・マーサ 名古屋店」の受注獲得を目指す。
クラウディアホールディングスは、前連結会計年度にM&Aを実施し、株式会社二条丸八(京都府木津川市)、株式会社ブライダルハウス島田(宮崎県宮崎市)、フレンチレストラン「ソンブルイユ」(東京都千代田区)の運営を開始し、収益力向上を図った。また、新規出店も積極的に推進しており、2025年2月にはフォトスタジオ「リトル・マーサ 名古屋店」を、2025年4月にはリゾート挙式事業として「アイネス ヴィラノッツェ 宮古島」をそれぞれ新規出店した。さらに、式場事業においては、東京大神宮における挙式施設の運営を目的として、2025年8月に連結子会社「大神宮会館クラウディア株式会社」を設立した。この新会社は2026年4月に事業開始を予定しており、和装衣裳での神前結婚式事業の更なる拡大を目指す。中長期的な業績拡大のため、今後も投資先を慎重に検討しながら、スクラップ・アンド・ビルドを進める方針である。これらのM&Aや新規事業展開は、同社の事業領域拡大と収益基盤の強化に貢献すると見込まれる。
2026年8月期の連結業績予想は、売上高が前連結会計年度比5.2%増の143.0億円、営業利益が同11.9%増の4.5億円、経常利益が同3.1%増の4.3億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.1%増の3.5億円と、増収増益を見込んでいる。
指標 | 2026年8月期 通期予想 | 2025年8月期 前年実績 | 増減率 |
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売上高 | 143.0億円 | 135.9億円 | 5.2% |
営業利益 | 4.5億円 | 4.0億円 | 11.9% |
経常利益 | 4.3億円 | 4.2億円 | 3.1% |
純利益 | 3.5億円 | 3.1億円 | 12.1% |
当連結会計年度末の総資産は126.3億円となり、前連結会計年度末に比べ1.9億円減少した。流動資産は37.1億円で0.5億円増加し、主に現金及び預金が0.8億円増加した一方で、棚卸資産が0.3億円減少した。固定資産は89.2億円で2.4億円減少し、建物及び構築物やレンタル衣裳の増加があったものの、差入保証金が2.3億円減少したことが影響した。負債合計は86.6億円で3.3億円減少した。流動負債は40.1億円で4.1億円減少し、買掛金や短期借入金の減少が主な要因である。固定負債は46.5億円で0.8億円増加し、長期借入金の増加が影響した。純資産は39.7億円で1.4億円増加し、主に利益剰余金の増加と為替換算調整勘定の減少によるものである。自己資本比率は31.4%と前連結会計年度末の29.9%から改善した。
キャッシュフローの状況では、営業活動によるキャッシュ・フローは8.6億円の収入となり、前年同期の5.3億円から増加した。これは主に税金等調整前当期純利益の増加や減価償却費の計上、差入保証金の減少によるものである。投資活動によるキャッシュ・フローは△4.6億円の支出となり、前年同期の△9.8億円の支出から改善した。これは定期預金の払戻による収入があった一方で、有形固定資産の取得や定期預金の預入による支出があったためである。財務活動によるキャッシュ・フローは△1.9億円の支出となり、前年同期の0.4億円の収入から減少した。これは短期借入金の返済や長期借入金の返済があった一方で、長期借入れによる収入があったためである。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は18.6億円となり、前連結会計年度末に比べ1.7億円増加した。
配当
クラウディアホールディングスの今後の見通しは、M&Aや新規出店による事業拡大と、既存事業の課題解決に向けた取り組みが混在しており、投資家にとっては期待と懸念が入り混じる状況である。
ホールセール事業部門では、貸衣裳店向けレンタル事業やクリーニング事業の売上拡大を目指す一方で、海外生産子会社における原材料費や人件費の上昇が予想される。これに対し、生産効率アップや国内生産体制の強化で対応する方針だが、コスト上昇圧力は引き続き事業の重荷となる可能性がある。
コンシューマー事業部門では、衣裳事業において業務提携先の取扱件数減少による既存事業の伸び悩みが課題であり、新規業務提携先の開拓や販売単価向上による安定成長が求められる。リゾート挙式事業は円安や厳しい市場環境が続く中で、コスト削減と新規出店した「アイネス ヴィラノッツェ 宮古島」での受注獲得が重要となる。式場事業では、フレンチレストラン「ソンブルイユ」の収益力向上と、2026年4月開業予定の「東京大神宮 大神宮会館」の開業準備・受注獲得に注力する。写真・映像・美容等事業も業務提携先の取扱件数減少の影響を受けるが、人員体制の見直しによるコスト削減と新規出店したフォトスタジオ「リトル・マーサ 名古屋店」の受注獲得を目指す。
全体としては、M&Aや新規出店による事業領域の拡大はポジティブな要素であり、特に「大神宮会館クラウディア株式会社」の設立と今後の事業開始は、和装での神前結婚式というニッチながらも需要のある市場での成長機会を創出する可能性がある。しかし、円安や市場環境の厳しさ、既存事業の伸び悩みといった外部要因や内部課題も多く、これらの課題に対するコスト削減や効率化の取り組みが計画通りに進むかが、今後の業績を左右する重要なポイントとなる。
2026年8月期の通期業績予想では増収増益を見込んでいるものの、各事業部門における課題解決と成長戦略の実行力が問われる。投資家としては、新規事業の立ち上がり状況や、既存事業におけるコスト削減効果、そして業務提携先の動向を注視する必要がある。特に、円安や消費動向といったマクロ経済環境の変化が、今後の業績に与える影響は大きいと見られるため、これらのリスク要因に対する企業の対応力も評価の対象となる。総じて、成長への意欲は評価できるが、その実現には多くの課題を乗り越える必要があるため、投資家にとっては慎重な見極めが必要な状況と言える。
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