株式会社クスリのアオキホールディングスの2026年5月期第1四半期連結累計期間の業績は、売上高が前年同期比16.1%増の1,397億円35百万円と大幅な増収を達成した。一方で、営業利益は72億円63百万円(同1.0%減)、経常利益は72億円84百万円(同1.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は50億円33百万円(同4.1%減)と減益となった。これは、積極的な店舗展開やM&Aによる事業拡大に伴う先行投資や費用増加が影響したと推測される。
事業戦略としては、「フード&ドラッグ」によるワンストップショッピング可能な店舗形態への転換を加速しており、新規出店11店舗に加え、食品スーパーを展開する株式会社ミワ商店の全株式取得による連結子会社化を実施した。これにより、スーパーマーケット事業を強化し、地域顧客の利便性向上と専門性の強化に努めている。
株主還元については、2026年5月期の年間配当予想を1株当たり16円と、前年実績から2円の増配を予定しており、株主還元への意欲を示している。また、継続的に自己株式取得を実施しており、株主価値向上への取り組みも評価できる。
全体として、売上高の力強い成長と積極的な事業拡大戦略はポジティブな要素である。利益面での一時的な減益は、成長投資の結果と捉えられ、今後のシナジー効果や効率化に期待が持てるため、投資家にとっては概ねポジティブな決算発表であったと評価できる。
当第1四半期連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比16.1%増と大幅な増収を記録した。これは、新規出店やM&Aによる事業規模の拡大、特にフードカテゴリーの拡充が寄与した。一方で、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益はいずれも微減益となった。これは、積極的な店舗展開やM&Aに伴う費用増加が影響したと見られるが、売上高の成長は堅調に推移している。
指標 | 2026年5月期1Q(累計) | 2025年5月期1Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 1,397億円 | 1,203億円 | 16.1% |
営業利益 | 72億円 | 73億円 | △1.0% |
経常利益 | 72億円 | 74億円 | △1.6% |
純利益 | 50億円 | 52億円 | △4.1% |
当社グループは医薬品・化粧品・日用雑貨・食品、調剤薬局等の近隣型小売事業という単一セグメントで事業を展開している。当第1四半期連結累計期間においては、商品部門別および地域別の販売実績が好調に推移した。
商品部門別では、フード部門が売上高729億円1百万円を計上し、前年同期比23.3%増と最も大きく成長した。全社売上高に占める割合も52.2%に拡大しており、食品スーパー事業の強化が奏功している。調剤部門も売上高139億円89百万円(前年同期比15.0%増)と堅調な伸びを見せ、ヘルス、ビューティ、ライフ部門もそれぞれ5.0%増、7.4%増、9.3%増と着実に成長している。この結果は、「フード&ドラッグ」戦略によるワンストップショッピングの推進が顧客ニーズを捉えていることを示している。
地域別では、四国地域が売上高29億円93百万円(前年同期比143.2%増)と大幅な伸長を記録した。東北地域も売上高114億円69百万円(前年同期比36.1%増)と高い成長率を示し、関東、関西地域もそれぞれ17.2%増、32.3%増と好調に推移した。北信越地域は売上高575億円15百万円(前年同期比8.2%増)で、全社売上高の41.2%を占める主要地域として引き続き堅調な成長を維持している。新規出店は北信越に1店舗、関東に4店舗、東海に2店舗、関西に2店舗、四国に2店舗の合計11店舗を実施し、ドミナント化を推進している。これらの地域別動向は、新規出店と既存店の成長がバランス良く貢献していることを示唆している。
株式会社クスリのアオキホールディングスは、2025年6月2日付で、食品スーパーを展開する株式会社ミワ商店(香川県)の全株式を取得し、連結子会社化した。この企業結合は、2025年4月3日開催の取締役会で決議され、同日付で株式譲渡契約が締結された。取得日は2025年5月31日(みなし取得日)であり、取得対価は現金、取得議決権比率は100%である。
このM&Aの主な目的は、食品スーパーが持つ新鮮な食材の品揃えと、ドラッグストアが持つヘルス&ビューティ、日用品、調剤薬局の品揃えを組み合わせることで、地域顧客にとってより一層利便性の高い店舗を構築し、顧客満足度を向上させることにある。これにより、当社グループの店舗数はドラッグストア1,015店舗、調剤専門薬局6店舗、スーパーマーケット21店舗の合計1,042店舗に拡大した。
このM&Aは、当社グループが推進する「フード&ドラッグ」戦略を加速させる重要な一歩であり、食品事業の強化と地域におけるドミナント化をさらに推進するものと想定される。これにより、売上高の増加だけでなく、顧客基盤の拡大と既存事業とのシナジー効果が期待される。
2026年5月期の連結業績予想は、現時点において2025年7月3日に公表された数値から修正はない。第1四半期連結累計期間の業績は概ね計画どおりに推移している。通期業績予想に対する第1四半期累計の実績進捗率は、売上高が24.95%、営業利益が31.58%、経常利益が32.09%、純利益が32.47%となっている。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
---|---|---|
売上高 | 5,600億円 | 24.95% |
営業利益 | 230億円 | 31.58% |
経常利益 | 227億円 | 32.09% |
純利益 | 155億円 | 32.47% |
当第1四半期連結累計期間末の資産合計は3,904億円57百万円となり、前連結会計年度末に比べ379億円92百万円増加した。主な増加要因は、現金及び預金が328億円94百万円増加したことによる。
負債合計は2,478億円60百万円となり、前連結会計年度末に比べ411億円55百万円増加した。これは主に長期借入金が356億円13百万円増加したことによる。
純資産合計は1,425億円96百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億円62百万円減少した。自己資本比率は前連結会計年度末の41.4%から36.5%に減少している。これは、積極的な事業投資やM&Aに伴う負債の増加、および自己株式の取得が影響していると考えられる。
なお、当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
配当
自己株式取得
株式会社クスリのアオキホールディングスの今後の見通しは、現在の経済環境と業界の競争状況を考慮すると、積極的な事業拡大戦略が企業価値向上に寄与する可能性が高い。国内経済は賃上げの動きが見られるものの、国際情勢の不安定さや円安による物価高が家計を圧迫し、個人消費の回復は限定的である。ドラッグストア業界も異業種からの新規参入を含め競争が激化しており、集客のための価格競争や多様なサービス展開が求められる厳しい経営環境が続く。
このような状況下で、当社グループは「フード&ドラッグ」戦略を加速し、ワンストップショッピング可能な店舗形態への転換を推進している。当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同期比16.1%増と力強く成長しており、特にフード部門の売上高が大幅に増加していることは、M&Aによる食品スーパー事業の取り込みが奏功していることを示唆する。新規出店も積極的に行い、特に四国や東北地域での販売実績が大きく伸びていることから、ドミナント化戦略が着実に進展していると評価できる。
利益面では微減益となったものの、これは積極的な店舗展開やM&Aに伴う先行投資や費用増加による一時的な影響と捉えられる。売上高の成長が継続していることから、これらの投資が将来的な収益拡大に繋がる可能性は高い。通期業績予想に対する第1四半期累計の進捗率も順調であり、現時点での業績予想に変更がないことも、経営陣が計画通りの進捗に自信を持っていることを示唆する。
投資家目線では、売上高の力強い成長と、M&Aや新規出店による事業拡大戦略はポジティブな要素である。特に「フード&ドラッグ」戦略の進展は、顧客の利便性を高め、競合との差別化を図る上で重要なドライバーとなる。食品スーパー事業の取り込みによるシナジー効果が今後どのように発揮されるか、また、新規出店地域の拡大がさらなる成長に繋がるかが注目される。自己株式取得の継続と増配予想は、株主還元への積極的な姿勢を示しており、これも投資家にとって好材料である。
総合的に判断すると、現在の利益減は成長のための投資フェーズと見なされ、今後の事業拡大とシナジー効果による企業価値向上への期待感は高い。したがって、投資家にとっては、中長期的な成長を見据えたポジティブな見通しである。
• 提供されるレポートに誤った情報が含まれる場合があります。正確性や品質を保証するものではないため、決算短信全文を併せてご確認ください。
• 提供されるレポートに投資を推奨するようにも読み取れる内容が含まれる可能性がありますが、当社が投資を推奨するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身の判断で行ってください。
• 決算短信についての訂正の開示があった場合でも、訂正の内容はレポートに反映されませんので、最新の適時開示をご参照ください。また、提供されるレポートの内容は予告なく変更されることがありますのでご注意ください。
• 本レポートにより提供される内容について、当社は、その信頼性、正確性、最新性、完全性、有効性、特定目的への適合性、有用性(有益性)、継続性について保証しません。これらに起因してお客様が何らかの損害を被ったとしても、当該損害につき責任を負わないものとします。
• 提供されるレポートを利用する際は、著作権法、商標法、金融商品取引法などの法令に違反しないようご注意ください。
• 提供されるレポートに関する権利は当社に帰属します。これらの情報を第三者に提供する目的での転用、複製、販売、加工、再利用および再配信は固く禁じます。