霞ヶ関キャピタル株式会社の2025年8月期通期決算は、売上高965.01億円(前年同期比46.9%増)、営業利益189.33億円(同121.8%増)、経常利益171.34億円(同118.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益102.50億円(同104.2%増)と、大幅な増収増益を達成した。これは、ホテル、物流、ヘルスケア、海外といった各事業領域における積極的な開発と売却、ファンド組成が順調に進捗した結果である。特にホテル事業では、開発した15物件を連結子会社が運用受託するホテルリート投資法人へ売却し、ビジネスモデルを完遂した。物流事業では冷凍自動倉庫の開発、ヘルスケア事業ではホスピス住宅の開業、海外事業ではドバイでの不動産取得・売却を進めた。これらの事業活動が業績を大きく牽引し、投資家にとっては非常にポジティブな決算発表となった。株主還元については、2025年8月期の期末配当金を1株当たり240.00円(分割前)と発表し、前年同期の170.00円から増配を実施した。
2025年8月期の連結業績は、日本経済の緩やかな回復基調と不動産市場の堅調さを背景に、各事業領域での積極的な事業推進が奏功し、大幅な増収増益を達成した。特にホテル事業における物件売却や物流事業でのファンド組成、ヘルスケア事業での施設開業が業績を大きく押し上げた。これにより、売上高は前年同期比46.9%増、営業利益は同121.8%増、経常利益は同118.0%増、親会社株主に帰属する当期純利益は同104.2%増となり、全ての利益項目で大幅な成長を記録した。
指標 | 2025年8月期(累計) | 2024年8月期(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 965.01億円 | 656.85億円 | 46.9% |
売上総利益 | 364.36億円 | 185.59億円 | 96.3% |
営業利益 | 189.33億円 | 85.37億円 | 121.8% |
経常利益 | 171.34億円 | 78.60億円 | 118.0% |
純利益 | 102.50億円 | 50.20億円 | 104.2% |
当社グループは、不動産コンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略する。しかし、事業内容はホテル事業、物流事業、ヘルスケア事業、海外事業に多角化しており、それぞれの動向は以下の通りである。
ホテル事業 当社グループは、観光立国実現と地域創生への貢献を目指し、多人数向けホテルの開発に注力している。自社ブランドとして「fav」「FAV LUX」「edit x seven」「seven x seven」「BASE LAYER HOTEL」を展開し、幅広い土地や既存ホテルの取得・売却を進めている。2025年8月期には、開発企画立案を行ったホテル合計15物件を、連結子会社である霞ヶ関リートアドバイザーズ株式会社が運用を受託する霞ヶ関ホテルリート投資法人へ売却し、ビジネスモデルを完遂した。これにより、積極的な土地の仕込みを継続し、事業は順調に進捗している。この戦略は、開発から運用までの一貫したビジネスモデルを確立し、安定的な収益基盤を構築する上で重要な役割を果たしている。
物流事業 当社グループは、冷凍冷蔵倉庫の「自動化」要素を取り入れた開発を推進している。冷凍冷蔵倉庫は、高い冷凍食品需要と新規需要に加え、築30年以上の既存倉庫の老朽化や特定フロン規制、代替フロンの温室効果への懸念から、自然冷媒を用いた建替需要が増加している。さらに、「2024年問題」による人手不足や冷凍倉庫内の過酷な労働環境といった課題に対応するソリューションとして、冷凍自動倉庫の開発に積極的に取り組んでいる。名古屋エリアなど、中継輸送に適した立地での開発も進めており、2025年5月には合計8物件を組み入れ資産とした冷凍冷蔵倉庫特化型の長期運用ファンドを組成し、事業を順調に推進している。この取り組みは、社会課題解決と収益機会の創出を両立させる戦略として評価できる。
ヘルスケア事業 当社グループは、超高齢社会における終末期医療、在宅看護、在宅介護の需要増加に対応するため、ホスピス住宅の開発に注力している。施設開発だけでなく運営面まで一貫して手掛けることで、既存サービスとの差別化を図っている。2025年8月期には、「CLASWELL小竹向原」「CLASWELL信濃町」「CLASWELL下石神井」が開業し、7月には開発企画立案を行ったホスピス住宅合計6物件を運用フェーズに移行させた。この事業は、社会貢献性が高く、長期的な需要が見込まれるため、安定的な成長が期待される。
海外事業 現在、アラブ首長国連邦(ドバイ)に注力している。ドバイ政府の「ドバイ都市マスタープラン2040」では、2040年までに人口が330万人から580万人へ増加する計画があり、高い人口増加率と政情の安定性から、ドバイの不動産需要は長期的に増加すると見込んでいる。当社グループは現地法人を設立し、レジデンス物件の取得・売却を通じてキャピタルゲイン獲得機会を創出するとともに、日本の投資家がドバイに投資できる環境づくりを目指し、ノウハウ、ネットワーク、実績作りを進めている。この海外展開は、新たな成長ドライバーとなる可能性を秘めている。
霞ヶ関キャピタル株式会社は、2025年8月期において、ホテル事業と物流事業で重要な事業進捗を遂げた。ホテル事業では、開発の企画立案を行ったホテル合計15物件を、連結子会社である霞ヶ関リートアドバイザーズ株式会社が運用を受託する霞ヶ関ホテルリート投資法人へ売却し、開発から運用までの一貫したビジネスモデルを完遂した。これにより、開発段階でのキャピタルゲインを確保しつつ、安定的な運用収益への道筋をつけた。物流事業においては、合計8物件を組み入れ資産とした冷凍冷蔵倉庫特化型の長期運用ファンドを組成した。これは、冷凍自動倉庫への高い需要と社会課題解決のニーズを捉えたものであり、安定的な収益源の確保と事業規模の拡大に貢献する。これらの動向は、各事業領域における当社の専門性と実行力を示し、今後の企業価値向上に寄与する重要な戦略的進展である。
2026年8月期の連結業績予想は、経済活動の回復と各事業の堅調な推移を前提に、大幅な増収増益を見込んでいる。売上高は1,500.00億円、営業利益は265.00億円、経常利益は240.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益は165.00億円と、全ての項目で前年実績を大きく上回る予想である。
指標 | 通期予想(2026年8月期) | 前年実績(2025年8月期) | 増減率 |
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売上高 | 1,500.00億円 | 965.01億円 | 55.4% |
営業利益 | 265.00億円 | 189.33億円 | 40.0% |
経常利益 | 240.00億円 | 171.34億円 | 40.1% |
純利益 | 165.00億円 | 102.50億円 | 61.0% |
2025年8月期末の総資産は1,216.88億円となり、前連結会計年度末から441.39億円増加した。流動資産は873.39億円(同202.73億円増)で、主に現金及び預金が129.51億円、販売用不動産が33.40億円増加した。固定資産は342.41億円(同237.66億円増)で、有形固定資産が84.26億円、投資その他の資産が153.20億円増加したことが主な要因である。
負債合計は834.94億円となり、前連結会計年度末から336.84億円増加した。流動負債は400.05億円(同178.74億円増)で、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、未払法人税等の増加が影響した。固定負債は434.88億円(同158.09億円増)で、長期借入金は減少したものの、転換社債型新株予約権付社債が220.00億円増加したことが主な要因である。純資産合計は381.93億円となり、前連結会計年度末から104.54億円増加した。これは主に資本金、資本剰余金、利益剰余金の増加によるものである。
キャッシュフローの状況では、現金及び現金同等物の期末残高は240.12億円となり、前連結会計年度末から129.55億円増加した。営業活動によるキャッシュフローは、前連結会計年度の84.46億円の支出から、当連結会計年度は68.93億円の収入に転じた。これは主に匿名組合投資損益の計上と税金等調整前当期純利益の増加による。投資活動によるキャッシュフローは、前連結会計年度の48.09億円の支出から、当連結会計年度は185.57億円の支出に増加した。これは有形固定資産、投資有価証券、貸付けによる支出が増加したためである。財務活動によるキャッシュフローは、前連結会計年度の184.13億円の収入から、当連結会計年度は246.98億円の収入に増加した。これは主に転換社債型新株予約権付社債の発行による収入が218.88億円あったことによる。
配当
霞ヶ関キャピタル株式会社の今後の見通しは、経済活動の回復を基本シナリオとしつつも、地政学的リスクや円安に伴う原材料費高騰などの下振れリスクを考慮し、保守的なスタンスで策定されている。しかし、各事業領域における具体的な見通しは、投資家にとってポジティブな要素が多い。
ホテル市場では、国内旅行ニーズの底堅さと円安による国内旅行・インバウンド需要の一層の伸長が前提とされており、引き続き堅調な推移が期待される。これは、同社が展開する多人数向けホテルブランドの競争優位性と、開発から売却・運用までの一貫したビジネスモデルが、安定的な収益を創出する基盤となることを示唆している。
物流市場では、冷凍自動倉庫に対する高い需要が中長期的に継続すると見込んでいる。人手不足や「2024年問題」への対応策として、自動化された冷凍冷蔵倉庫の需要はさらに高まることが予想され、同社の積極的な開発とファンド組成は、この市場トレンドを的確に捉えている。これは、持続的な成長と収益拡大に繋がる可能性が高い。
ヘルスケア市場では、人口動態や自宅での看護の困難さから、ホスピス住宅に対する需要が短中期だけでなく長期的にも拡大し続けるとの見込みである。超高齢社会の進展は確実であり、同社が社会課題解決に貢献しつつ、安定した事業基盤を構築できることを示している。
海外市場、特にドバイ市場においては、人口流入と経済成長の取り込みから不動産需要の増加が見込まれ、中長期的に堅調に推移すると想定されている。同社が現地法人を設立し、レジデンス物件の取得・売却や日本の投資家向け環境整備を進めていることは、新たな成長機会を追求する積極的な姿勢を示しており、将来的な企業価値向上に寄与する可能性がある。
これらの事業見通しに基づき、2026年8月期の連結業績予想は、売上高1,500.00億円(前年同期比55.4%増)、営業利益265.00億円(同40.0%増)、経常利益240.00億円(同40.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益165.00億円(同61.0%増)と、大幅な成長を見込んでいる。これは、各事業の成長戦略が着実に実を結び、今後も高い成長を維持できるという経営陣の自信の表れと捉えることができる。
ただし、地政学的リスクや金融資本市場の変動といった外部要因が業績に影響を与える可能性も指摘されており、これらのリスク要因に対する適切な対応が今後の課題となる。しかし、全体としては、各事業領域における明確な成長戦略と実績、そして堅調な業績予想は、投資家にとって非常にポジティブな材料であり、今後の企業価値のさらなる向上に期待が持てる見通しである。
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