株式会社フェリシモの2026年2月期第2四半期(中間期)決算は、売上高が前年同期比横ばいながらも、収益性改善の取り組みが奏功し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益が大幅な黒字転換を達成した。売上高は142億55百万円(前年同期比0.0%増)、営業利益は2億2百万円(前年同期は△15百万円)、経常利益は2億47百万円(前年同期は16百万円)、親会社株主に帰属する中間純利益は2億15百万円(前年同期は△24百万円)となった。特に、販売費及び一般管理費の抑制が利益改善に大きく貢献した。通期業績予想に対する進捗率も、営業利益、経常利益、純利益で既に100%を超過しており、通期予想の上方修正期待が高まる可能性がある。株主還元においては、期末配当予想を20.00円に増額し、自己株式の消却も実施しており、株主還元への積極的な姿勢を示している。全体として、投資家にとっては非常にポジティブな決算発表であった。
2026年2月期第2四半期累計期間の全社業績は、売上高が前年同期とほぼ同水準で推移したものの、収益性改善の取り組みが奏功し、各利益項目で大幅な改善を達成した。特に、販売費及び一般管理費の抑制が利益率向上に寄与し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益は全て黒字転換を果たした。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 142.55億円 | 142.54億円 | 0.0% |
営業利益 | 2.02億円 | △0.15億円 | - |
経常利益 | 2.47億円 | 0.16億円 | - |
純利益 | 2.15億円 | △0.24億円 | - |
中核の定期便事業では、のべ顧客数が計画未達により売上げが前年同期を下回ったものの、個別のブランドでは好調な動きが見られた。これは、顧客基盤の維持と個別のブランド戦略が一定の成果を上げていることを示唆する。顧客数の回復が今後の課題となるが、ブランドごとの強みを活かした展開が継続される見込みである。
手づくり支援事業「Couturier(クチュリエ)」は、SNSを起点とした若年層の新規顧客獲得に成功し、売上げが前年を上回った。これは、デジタルマーケティングとターゲット層へのアプローチが奏功した結果であり、新たな顧客層の獲得が事業成長に貢献している。若年層の取り込みは、将来的な顧客基盤の拡大に繋がる重要な動向である。
主力ファッション事業「Live in comfort(リブ イン コンフォート)」は、バリューチェーン(企画、生産、販売体制)を見直し、各工程を一体化する新手法の導入により、ヒット商品を多く生み出すとともに、原価率の低減も実現し、売上げおよび売上総利益を押し上げた。これは、効率的な生産体制と商品開発力の強化が、収益性向上に直結していることを示す。
新規事業領域においては、自治体が取り組む子育て支援事業の受託をはじめ、「FELISSIMO PARTNERS (フェリシモ パートナーズ)」での取扱商品数の増加と販売強化、神戸ポートタワー事業での著名なアーティストやキャラクターとのコラボレーション企画等が奏功し、着実に売上げを伸ばした。これは、多角的な事業展開と外部連携の強化が、新たな収益源の創出に貢献していることを示している。
当中間期において、明確なM&Aの実施や大規模な資本提携に関する発表はなかった。しかし、新規事業領域における動向として、「FELISSIMO PARTNERS (フェリシモ パートナーズ)」での取引先事業者による取扱商品数の増加と販売強化、および神戸ポートタワー事業での著名アーティストやキャラクターとのコラボレーション企画が奏功し、売上げを伸ばした。これらは、外部パートナーとの連携を強化し、事業拡大を図る取り組みの一環であり、今後の成長戦略において重要な要素となる。
2026年2月期通期の連結業績予想は、2025年4月8日に開示された前回予想から修正されていない。しかし、第2四半期累計の実績は、営業利益、経常利益、純利益において既に通期予想を上回る進捗率を示しており、売上高も約47%の進捗となっている。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
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売上高 | 305.31億円 | 46.7% |
営業利益 | 1.37億円 | 147.4% |
経常利益 | 2.43億円 | 101.6% |
純利益 | 1.79億円 | 120.1% |
当中間連結会計期間末における資産合計は281億45百万円となり、前連結会計年度末と比べ7億44百万円減少した。これは主に現金及び預金が6億82百万円、売掛金が5億83百万円減少したことによる。一方で、有価証券が2億99百万円、投資有価証券が2億13百万円増加した。負債合計は87億72百万円で、前連結会計年度末と比べ8億45百万円減少した。電子記録債務が4億19百万円、支払信託が3億85百万円減少したことが主な要因である。純資産合計は193億72百万円となり、前連結会計年度末と比べ1億1百万円増加した。これは親会社株主に帰属する中間純利益2億15百万円を計上したことに対し、利益剰余金の配当1億6百万円を行ったことによる。
キャッシュフローの状況では、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ27百万円増加し、64億35百万円となった。営業活動によるキャッシュフローは1億94百万円の増加(前年同期比64.8%減)で、減価償却費の計上や売上債権の減少があったものの、仕入債務の減少が影響した。投資活動によるキャッシュフローは57百万円の減少(前年同期比90.2%減)で、定期預金の払戻収入があった一方で、投資有価証券や有形・無形固定資産の取得による支出があった。財務活動によるキャッシュフローは1億9百万円の減少(前年同期比0.3%増)で、主に配当金の支払いによるものである。
配当
自己株式取得
株式会社フェリシモの今後の見通しは、経済全体の不透明感が残る中で、同社の収益性改善努力と成長戦略の進捗が投資家にとって重要な焦点となる。現在の経済状況は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により緩やかな回復が期待される一方で、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクや物価上昇が個人消費に及ぼす影響、金融資本市場の変動など、依然として不透明な要素が多い。
このような環境下で、同社は「顧客基盤の拡大」「顧客との継続的な関係育成」「第2の収益の柱の育成」の3点に注力し、持続的な成長基盤の確立を目指す方針を継続している。2026年2月期を「成長軌道確立期」と位置づけ、更なる収益力の向上による増収増益を目指すとしている。
今回の第2四半期決算では、売上高が前年同期比横ばいながらも、営業利益、経常利益、純利益が大幅な黒字転換を達成したことは、同社の収益性改善に向けた取り組みが奏功していることを明確に示しており、投資家にとっては非常にポジティブな要素である。特に、中核の定期便事業での顧客数計画未達を、手づくり支援事業「Couturier」や主力ファッション事業「Live in comfort」、新規事業領域の好調でカバーし、売上総利益を押し上げた点は評価できる。販売費及び一般管理費の抑制も利益改善に大きく貢献しており、コストコントロール能力の高さも示された。
さらに、通期業績予想に対する進捗率が、営業利益、経常利益、純利益で既に100%を超過している点は、投資家にとって大きなサプライズとなり得る。これは、通期予想の上方修正期待を高めるものであり、今後の株価にポジティブな影響を与える可能性が高い。
株主還元に関しても、期末配当予想を20.00円に増額し、自己株式の消却も実施していることから、株主への還元意欲が高いことが伺える。これは、企業価値向上へのコミットメントを示すものであり、株主にとって好材料である。
総合的に見ると、今回の決算発表は、同社の経営努力が実を結び、収益構造の改善と成長戦略の着実な実行を示したものであり、投資家にとっては非常にポジティブな内容であった。ただし、外部環境の不透明感は依然として存在するため、今後の事業環境の変化や、同社が掲げる成長戦略の具体的な進捗には引き続き注目が必要である。特に、中核事業の顧客数回復と新規事業領域のさらなる拡大が、持続的な成長の鍵となるだろう。
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