株式会社バイク王&カンパニーの2025年11月期第3四半期連結累計期間の決算は、売上高、各利益項目ともに前年同期を大きく上回り、非常に好調な結果となった。売上高は284.13億円(前年同期比12.7%増)、営業利益は5.23億円(同86.8%増)、経常利益は6.99億円(同38.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3.61億円(同34.3%増)を達成した。特に営業利益の伸びが顕著であり、収益性の改善が進んだことが示唆される。通期業績予想に対する進捗率も売上高81.2%、営業利益91.8%、経常利益88.5%、純利益70.8%と、営業利益と経常利益は既に高い水準に達しており、通期目標達成に向けて順調な進捗を見せている。財務状態も総資産、純資産ともに増加し、自己資本比率も改善しており、安定性が向上している。配当については、2025年11月期も年間11.00円(中間5.50円、期末5.50円)を予想しており、前年と同水準の株主還元を維持する方針である。自己株式については、期末自己株式数が減少しており、自己株式の処分も行われた。全体として、今回の決算発表は投資家にとって非常にポジティブな内容であった。
2025年11月期第3四半期連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比12.7%増の284.13億円を記録し、大幅な増収となった。利益面では、営業利益が前年同期比86.8%増の5.23億円、経常利益が同38.7%増の6.99億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同34.3%増の3.61億円と、いずれも大幅な増益を達成した。これは、リテール販売の拡大、良質な車輌の仕入確保、車輌売上単価の大幅な上昇、および広告効率の改善などが寄与した結果である。特に営業利益の伸び率が非常に高く、収益構造の改善が進んでいることがうかがえる。
指標 | 2025年11月期3Q(累計) | 2024年11月期3Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 284.13億円 | 252.12億円 | 12.7% |
営業利益 | 5.23億円 | 2.80億円 | 86.8% |
経常利益 | 6.99億円 | 5.04億円 | 38.7% |
純利益 | 3.61億円 | 2.69億円 | 34.3% |
バイク事業は、当社グループの主要事業であり、他のセグメントは重要性が乏しいため、経営成績に関する記載は省略されている。当第3四半期連結累計期間におけるバイク事業は、仕入面と販売面の両方で戦略的な取り組みを進めた。仕入面では、前第2四半期から継続している広告宣伝の見直しにより、第1四半期はテレビCMの投下を抑制し、広告効率が改善した。第2四半期以降は、計画通り前年並みの水準で広告投下を想定しつつも、仕入強化を目的に増額した。広告抑制に伴う仕入台数の減少を補うため、店頭仕入(持込・下取)やオークション仕入の強化に継続して取り組んだ結果、広告費抑制に比して仕入台数の減少は軽微に抑えられた。
販売面では、ホールセールで期初在庫を確保し、堅調なオークション市場において効果的に出品を行った。リテール優先の販売戦略推進や仕入構造の変化により、販売台数は前年同期並みとなった。オークション相場が高水準で推移したことや、良質な車輌の仕入確保が進んだことにより、車輌売上単価(一台当たりの売上高)は前年同期比で大幅に上回った。一方で、第3四半期においては仕入台数の確保を優先した結果、一台当たりの利益額が伸び悩み、平均粗利額(一台当たりの粗利額)は前年同期並みで推移した。リテールにおいては、上期に一時的に展示台数が減少したことで販売機会が最大化できなかったものの、在庫台数の確保が進み、販売台数増加に向けたキャンペーン実施により回復傾向が見られた。車輌売上単価および平均粗利額は、リテール向けの良質な車輌仕入確保と、顧客ニーズの多様化に合わせた付帯収益強化により、前年同期比で上回った。これらの結果、バイク事業としての販売台数は前年同期並みに留まったものの、車輌売上単価は大幅に上回り、平均粗利額もやや上回ったことで、売上高は増収、売上総利益は増益となった。
株式会社バイク王&カンパニーは、さらなる企業価値向上を目指し、2024年12月よりチーフオフィサー(CxO)制度を導入した。また、前中間連結会計期間より、子会社である株式会社東洋モーターインターナショナルを連結の範囲に含め、従来の単体決算から連結決算に移行している。これにより、グループ全体の経営資源の最適化と事業シナジーの創出を通じて、企業価値の向上を図る方針である。
進行期の全社業績予想は、2025年1月10日に公表された連結業績予想から変更なく据え置きである。第3四半期連結累計期間の実績は、通期予想に対して売上高81.2%、営業利益91.8%、経常利益88.5%、純利益70.8%の進捗率であり、特に営業利益と経常利益は既に高い水準に達しており、通期目標達成に向けて順調な進捗を見せている。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
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売上高 | 350.00億円 | 81.2% |
営業利益 | 5.70億円 | 91.8% |
経常利益 | 7.90億円 | 88.5% |
純利益 | 5.10億円 | 70.8% |
当第3四半期連結累計期間末の財務状態は、前連結会計年度末に比べて総資産が124.57億円から131.92億円へ7.35億円増加し、純資産も64.91億円から70.05億円へ5.14億円増加した。これにより、自己資本比率は52.1%から53.1%へ1.0ポイント改善し、財務の健全性が向上している。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて11.41億円増加し、98.83億円となった。これは主に、商品が7.35億円、現金及び預金が1.92億円、売掛金が0.51億円増加したことによる。固定資産は4.06億円減少し、33.09億円となった。これは減価償却費の計上等により有形固定資産が1.36億円、ソフトウエア償却費の計上等により無形固定資産が1.52億円、繰延税金資産等の減少により投資その他の資産が1.19億円減少したためである。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて0.0016億円減少し、47.07億円となった。これは主に、株式給付信託引当金が3.70億円、未払法人税等が2.72億円、賞与引当金が1.06億円減少した一方で、前受金が6.07億円、買掛金が1.08億円増加したためである。固定負債は2.22億円増加し、14.80億円となった。これは長期借入金が2.78億円増加したことによる。
純資産の増加は、自己株式の処分3.13億円、親会社株主に帰属する四半期純利益3.61億円の計上、および株主配当による利益剰余金の減少1.60億円が主な要因である。
当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。なお、当第3四半期連結累計期間に係る減価償却費(のれんを除く無形固定資産に係る償却費を含む。)は4.67億円、のれんの償却額は0.20億円である。
配当
自己株式取得
株式会社バイク王&カンパニーの2025年11月期第3四半期決算は、売上高、各利益項目ともに前年同期を大きく上回り、通期業績予想に対しても非常に高い進捗率を示していることから、投資家にとっては極めてポジティブな内容であったと評価できる。特に営業利益の進捗率が91.8%と高く、通期目標の達成はほぼ確実視される状況であり、上方修正への期待も高まる可能性がある。
同社は、持続的な成長に向けて「まだ世界にない、感動をつくる。」をコーポレートミッションに掲げ、「バイクライフの生涯パートナー」の実現を目指している。そのための具体的な取り組みとして、UX(顧客体験)グロースモデルの確立に向けた①店舗開発による顧客接点の増加、②CRMシステム構築によるデータに基づいたマーケティング活動、③サービス拡充・整備事業のネットワーク化を推進している。これらの戦略は、顧客満足度向上と効率的な事業運営の両面から企業価値向上に寄与すると考えられる。
当連結会計年度は、競合動向や外部環境の変化に留意しつつ、利益体質の改善活動を継続し、バイク事業の持続的成長基盤を構築する重要な期間と位置づけている。具体的には、リテール販売の拡大に注力し、新たな仕入チャネルと手法の開発、ブランディングやマーケティングの強化、付加価値の高いサービスの拡充、CRM強化に取り組む方針である。これらの施策が着実に実行されれば、今後も安定的な収益成長が期待できる。
国内経済は緩やかな回復基調にあるものの、物価高騰や消費者の購買意欲の落ち着き、新車販売台数の減少といった課題も存在する。しかし、同社は高市場価値車輌の保有台数増加やオークション市場の高水準な相場維持といった追い風も受けている。仕入面での広告効率改善や店頭仕入・オークション仕入の強化、販売面でのリテール優先戦略と車輌売上単価の上昇は、今後の業績をさらに押し上げる要因となる。
ただし、第3四半期において仕入台数確保を優先した結果、一台当たりの利益額が伸び悩み、平均粗利額が前年同期並みとなった点は、今後の収益性維持に向けた課題として注視する必要がある。しかし、全体としては、堅調な業績推移と明確な成長戦略が示されており、投資家にとっては引き続き魅力的な投資対象であると判断できる。通期業績予想の据え置きは保守的な見方とも取れるため、今後の進捗によってはさらなるポジティブなサプライズも期待できる状況である。
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