株式会社メディカルー光グループの2026年2月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高が前年同期比18.8%増の269.4億円と大幅な増収を達成した。これは主に医薬品卸事業におけるM&Aによる事業規模拡大が寄与した結果である。しかしながら、営業利益は7.4億円(前年同期比△10.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は6.7億円(前年同期比△6.0%減)と減益となった。M&Aに伴う先行投資や統合費用、原価率の上昇が利益を圧迫した。特にヘルスケア事業では新規施設開設に伴う先行コストやM&A関連費用、労務費増加が響き、営業利益が大幅に減少した。
財務状態では、総資産が379.1億円と36.8億円増加し、純資産も152.8億円と5.6億円増加した。自己資本比率は38.6%と前年同期末の41.2%から低下した。キャッシュフローでは、営業活動によるキャッシュ・フローは14.6億円のプラスであったが、投資活動によるキャッシュ・フローはM&Aに伴う子会社株式取得の支出により△9.9億円のマイナスとなった。財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入金の純増加により10.1億円のプラスを計上した。
配当については、2026年2月期の年間配当予想を1株あたり120.00円(中間60.00円、期末60.00円)と発表しており、前年実績の65.00円から大幅な増配を計画している。これは、M&Aによる事業拡大と将来の収益成長への自信を示すものと解釈できる。
全体として、本決算発表は、売上高の成長は評価できるものの、利益面では先行投資の影響が大きく、短期的にはネガティブな要素を含んだ。しかし、M&Aによる事業基盤強化と将来の成長に向けた投資と捉えれば、中長期的にはポジティブな側面もあると判断できる。
2026年2月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高が前年同期比18.8%増の269.4億円と大幅な増収を達成した。これは主に医薬品卸事業におけるM&Aによる事業規模拡大が牽引した。しかし、EBITDAは11.5億円(前年同期比2.8%増)と微増に留まり、営業利益は7.4億円(前年同期比△10.2%減)、経常利益は8.8億円(前年同期比3.2%増)と増減が混在した。親会社株主に帰属する中間純利益は6.7億円(前年同期比△6.0%減)と減益となった。これはM&Aに伴う先行投資や統合費用、原価率の上昇が利益を圧迫したためである。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 269.4億円 | 226.7億円 | 18.8% |
EBITDA | 11.5億円 | 11.8億円 | 2.8% |
営業利益 | 7.4億円 | 8.3億円 | △10.2% |
経常利益 | 8.8億円 | 8.5億円 | 3.2% |
純利益 | 6.7億円 | 7.1億円 | △6.0% |
調剤薬局事業は全社売上高の約48.5%を占める。当中間連結会計期間において、既存店舗の処方箋応需枚数は前年同期比でやや減少したものの、売上高は微増となった。全店ベースでは、M&Aにより取得した6店舗と新設1店舗が寄与し、処方箋枚数、売上高ともに増加した。この結果、売上高は130.6億円(前年同期比9.6%増)、営業利益は6.6億円(前年同期比19.4%増)を計上した。京都府内の2店舗閉局に伴う特別損失を計上したものの、M&Aによる店舗数増加が業績に貢献した。当中間期末における調剤薬局数は合計98店舗である。
ヘルスケア事業は全社売上高の約16.3%を占める。2025年3月に「ハーモニーハウス桑名」を新設オープンし、居住系介護サービスおよび在宅系介護サービスともに、入居率や稼働率は前年同期比でやや改善し、売上高は増収となった。しかし、利益面では、新規施設開設に伴う先行コスト34百万円、M&Aに係る諸費用42百万円、さらには労務費の増加が重なり、営業利益は前年同期を大幅に下回った。この結果、売上高は43.8億円(前年同期比10.6%増)を計上したが、営業利益は0.1億円(前年同期比△88.9%減)と大幅な減益となった。通期の営業利益については、先行費用等がなくなることから改善を見込んでいる。当中間期末における介護関連施設および事業所数は115施設(入居居室数:1,931室)である。
医薬品卸事業は全社売上高の約34.8%を占める。前年下期に新たに加わった3社と当中間連結会計期間に新たに加わった2社が寄与し、売上高は前年同期比で大幅に増加した。しかし、2023年4月以降続く原価率の上昇により収益環境は厳しさを増しており、また統合費用も先行していることから、利益面では前年同期を下回った。この結果、売上高は93.8億円(前年同期比39.9%増)を計上したが、営業利益は0.9億円(前年同期比△53.9%減)と大幅な減益となった。
不動産事業は全社売上高の約0.4%を占める。賃貸不動産からの収入により、売上高は1.2億円(前年同期比32.7%増)、営業利益は0.8億円(前年同期比15.3%増)と増収増益を達成した。
株式会社メディカルー光グループは、中期経営計画の初年度として、事業規模拡大に向けた先行投資を積極的に実施した。医薬品卸事業においては、グループ再編とM&Aを継続的に推進している。具体的には、当中間連結会計期間において、中核子会社である株式会社メディカルー光が、2025年2月期に株式取得した株式会社佐藤薬品販売、株式会社若松薬品、京葉沢井薬品株式会社の3社を吸収合併した。さらに、2025年5月には高知県で医薬品卸事業を展開する高知第一薬品株式会社の全株式を取得し、同年7月には愛知県を地盤とする株式会社サイト薬品の全株式を取得し、連結子会社化した。これらのM&Aにより、医薬品卸事業の売上高は前年同期比で大幅に増加し、事業基盤の強化が図られた。
ヘルスケア事業においては、2025年3月に約6年ぶりとなる新設の有料老人ホーム「ハーモニーハウス桑名」を開設した。また、同年8月には、茨城県にて介護施設を運営する株式会社サンライズヴィラ土浦の全株式を取得し、連結子会社化した。これにより、ヘルスケア事業のサービス提供体制が拡充され、将来的な収益貢献が期待される。
これらの事業/資本提携・M&Aは、医療・介護分野における同社の事業規模を大幅に拡大し、将来の成長に向けた基盤を強化するものである。短期的には統合費用や先行投資が利益を圧迫しているが、中長期的にはシナジー効果や市場シェア拡大による企業価値向上に繋がるものと想定される。
2026年2月期の通期連結業績予想は、2025年4月4日公表の数値から変更はなく、据え置きである。M&A等による事業規模拡大と先行投資の影響を織り込みつつ、通期での利益改善を見込んでいる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 525.0億円 | 51.3% |
営業利益 | 19.5億円 | 37.9% |
経常利益 | 19.0億円 | 46.3% |
純利益 | 12.5億円 | 53.6% |
当中間連結会計期間末における総資産は379.1億円となり、前連結会計年度末と比較して36.8億円増加した。これは主に、現金及び預金が18.3億円、売掛金が7.2億円、商品が1.5億円増加したことによる流動資産の増加と、建物および構築物、土地などの有形固定資産の増加による固定資産の増加が要因である。負債合計は226.4億円となり、前連結会計年度末と比較して31.2億円増加した。これは主に、長期借入金が13.6億円、流動負債のその他が7.1億円、買掛金が4.4億円増加したことによる。純資産合計は152.8億円となり、前連結会計年度末と比較して5.6億円増加した。自己株式が5.2億円減少したことが純資産増加に寄与した。自己資本比率は38.6%と前連結会計年度末の41.2%から低下した。
キャッシュフローの状況では、現金及び現金同等物の期末残高は81.2億円となり、前連結会計年度末と比較して14.8億円増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは14.6億円のプラスであったが、前年同期比では41百万円減少した。これは税金等調整前中間純利益10.4億円、減価償却費及びのれん償却額4.0億円、仕入債務の増加3.6億円、未払費用の増加2.2億円があったものの、法人税等の支払4.8億円があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは△9.9億円のマイナスとなり、前年同期比で3.1億円の支出が増加した。これは主に、M&Aに伴う子会社株式の取得による支出10.3億円、有形固定資産の取得による支出2.7億円があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは10.1億円のプラスとなり、前年同期比で13.7億円の収入が増加した。これは主に、短期借入金及び長期借入金の純増加11.8億円があったことによる。
配当
自己株式取得
株式会社メディカルー光グループの2026年2月期第2四半期決算は、M&Aによる事業規模拡大が売上高を大きく押し上げた一方で、先行投資や統合費用、原価率の上昇が利益を圧迫し、減益となった。この結果は、投資家にとって短期的にはネガティブな印象を与える可能性がある。しかし、同社は2025年4月に設立40周年を迎え、中期経営計画を策定し、「Re-Start(再始動)」の初年度と位置付けている。この減益は、将来の成長に向けた積極的なM&Aや新規施設開設といった先行投資の結果であり、中長期的な企業価値向上を目指す戦略的な判断と捉えることができる。
特に、高齢化が進む日本において医療・介護分野の重要性は一層高まることが予想されており、同社がこの分野で事業基盤を強化していることは、将来の安定的な成長を期待させる。医薬品卸事業におけるM&Aによる市場シェア拡大、ヘルスケア事業における新規施設開設やM&Aによるサービス拡充は、今後の収益源の多様化と安定化に貢献するだろう。ヘルスケア事業においては、当中間期に利益を圧迫した先行費用が通期ではなくなることから、通期の営業利益改善を見込んでいるとされており、これが実現すれば、利益面での懸念は払拭される可能性がある。
通期業績予想は据え置きであり、売上高は525.0億円、純利益は12.5億円を見込んでいる。第2四半期時点での売上高進捗率は51.3%と順調だが、営業利益の進捗率は37.9%とやや遅れている。これは下期での利益改善が必須であることを示唆している。配当予想の大幅な増額は、経営陣がM&Aによる事業拡大と先行投資が将来的に収益に結びつき、企業価値が向上するという強い自信を持っていることの表れと解釈できる。
投資家としては、短期的には利益の減少が懸念材料となるが、中長期的な視点で見れば、医療・介護分野での確固たる地位を築き、持続的な成長を実現するための戦略的な投資と評価できる。今後のM&Aによるシナジー効果の具現化、先行投資の回収、そしてヘルスケア事業の利益改善が、企業価値向上の鍵となるだろう。同社が発表した中期経営計画の進捗と、M&Aによる統合効果がどのように業績に反映されていくか、引き続き注目する必要がある。
• 提供されるレポートに誤った情報が含まれる場合があります。正確性や品質を保証するものではないため、決算短信全文を併せてご確認ください。
• 提供されるレポートに投資を推奨するようにも読み取れる内容が含まれる可能性がありますが、当社が投資を推奨するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身の判断で行ってください。
• 決算短信についての訂正の開示があった場合でも、訂正の内容はレポートに反映されませんので、最新の適時開示をご参照ください。また、提供されるレポートの内容は予告なく変更されることがありますのでご注意ください。
• 本レポートにより提供される内容について、当社は、その信頼性、正確性、最新性、完全性、有効性、特定目的への適合性、有用性(有益性)、継続性について保証しません。これらに起因してお客様が何らかの損害を被ったとしても、当該損害につき責任を負わないものとします。
• 提供されるレポートを利用する際は、著作権法、商標法、金融商品取引法などの法令に違反しないようご注意ください。
• 提供されるレポートに関する権利は当社に帰属します。これらの情報を第三者に提供する目的での転用、複製、販売、加工、再利用および再配信は固く禁じます。