株式会社あさひの2026年2月期第2四半期(中間期)決算は、売上高459.00億円(前年同期比△1.1%)、営業利益37.57億円(同△21.1%)、経常利益39.24億円(同△19.0%)、純利益26.30億円(同△19.4%)を計上した。国内経済の物価上昇と消費者の節約志向が続く中、自転車小売業界では新車の買い替えが減少し、修理・メンテナンス需要が高まる傾向が見られた。このような環境下で、同社はOMO(Online Merges with Offline)の強化、リユース事業の推進、修理・メンテナンス体制の整備、物流機能の最適化などに取り組んだ。しかし、売上高は微減、各利益は二桁減益となり、厳しい事業環境が業績に影響を与えた結果となった。通期業績予想は据え置きであり、第2四半期時点での進捗率は売上高53.5%、営業利益66.8%、経常利益68.2%、純利益72.1%となっている。株主還元については、2026年2月期の年間配当予想は1株あたり50円(中間25円、期末25円)で据え置かれた。自己株式取得については、当中間会計期間における具体的な取得は確認されていない。全体として、市場環境の厳しさが利益を圧迫したものの、通期予想に対する利益進捗率は高水準であり、今後の巻き返しに期待が持てる決算内容である。
2026年2月期第2四半期累計期間の全社業績は、物価上昇と消費者の節約志向が続く厳しい市場環境の中で、売上高は微減に留まったものの、各利益項目は二桁の減益となった。これは、新車の買い替え需要の減少や、競争力のある販売価格設定、効果的なキャンペーン施策の実施などによる売上総利益率への影響、および事業運営コストの増加が複合的に作用した結果である。
指標 | 2026年2Q(累計) | 2025年2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 459.00億円 | 464.21億円 | △1.1% |
売上総利益 | 214.87億円 | 217.10億円 | △1.0% |
営業利益 | 37.57億円 | 47.64億円 | △21.1% |
経常利益 | 39.24億円 | 48.43億円 | △19.0% |
純利益 | 26.30億円 | 32.65億円 | △19.4% |
当中間会計期間において、株式会社あさひは、事業/資本提携やM&Aに関する具体的な発表は行っていない。しかし、事業戦略の一環として、OMO(Online Merges with Offline)の強化を推進している。これは「ネットで注文、お店で受取り」サービス基盤の強化を軸に、人気商材の確保、競争力のある販売価格の設定、効果的なキャンペーン施策などを実施するものである。また、修理・メンテナンス体制の整備により需要増加に対応し、全国展開の店舗網やEC販売体制、リユース車の買取・再販売体制、物流機能の強化と最適化、専門人材の育成を通じて収益基盤の強化を図っている。特にリユース事業においては、西日本サポートセンターを増設し、自転車の整備・メンテナンス・クリーニングなどの商品化作業の効率化を進めることで、資源の有効活用および循環型経済への貢献を目指している。これらの取り組みは、外部との提携という形ではないものの、既存事業の強化と新たな価値創造に向けた重要な動向である。
2026年2月期の通期業績予想は、2025年4月4日に公表された内容から変更なく据え置かれた。第2四半期累計期間の実績は、通期予想に対して売上高で53.5%、各利益項目では66.8%から72.1%と高い進捗率を示している。これは、下半期に向けて事業環境の改善やコストコントロールの進展が見込まれる場合、通期目標達成への期待が高まる状況である。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 858.00億円 | 53.5% |
営業利益 | 56.20億円 | 66.8% |
経常利益 | 57.50億円 | 68.2% |
純利益 | 36.50億円 | 72.1% |
当中間会計期間末における総資産は563.62億円となり、前事業年度末に比べて19.09億円(3.5%)増加した。これは主に、現金及び預金が50.62億円増加したことによる流動資産の増加が寄与している。一方で、商品の減少22.95億円や未着商品の減少6.39億円も見られた。固定資産は0.04億円(0.2%)増加し、建設仮勘定の増加が主な要因である。
負債合計は152.40億円となり、前事業年度末に比べて0.96億円(0.6%)減少した。流動負債は1.12億円減少し、買掛金の減少が主な要因である一方、未払消費税等や未払費用は増加した。固定負債は0.16億円増加し、資産除去債務や株式報酬引当金の増加が影響している。
純資産は411.22億円となり、前事業年度末に比べて20.06億円(5.1%)増加した。これは中間純利益の計上による増加が主な要因であり、自己資本比率は前事業年度末の71.8%から73.0%に改善した。
キャッシュフローの状況では、現金及び現金同等物は前事業年度末に比べ50.59億円増加し、144.97億円となった。営業活動によるキャッシュフローは68.00億円の収入となり、税引前中間純利益や棚卸資産の減少、未払消費税等の増加が主な収入源であった。投資活動によるキャッシュフローは10.85億円の支出となり、新規出店等に係る有形固定資産の取得や差入保証金の差入が主な支出であった。財務活動によるキャッシュフローは6.56億円の支出となり、配当金の支払いが主な要因である。
株式会社あさひの株主還元に関する方針および実績は以下の通りである。
配当
自己株式取得
株主優待
株式会社あさひの今後の見通しは、現在の厳しい市場環境と、それに対する同社の戦略的取り組みが交錯する中で形成される。国内経済は物価上昇と消費者の節約志向が継続し、自転車小売業界では新車の買い替えサイクル長期化が課題となっている。このような状況下で、同社は通期業績予想を据え置いているが、これは下半期における事業環境の改善や、これまでの戦略的投資の効果発現に期待を寄せていることを示唆する。
同社は、OMO(Online Merges with Offline)戦略の強化を通じて、顧客体験価値の向上と販売チャネルの最適化を図っている。オンラインでの注文と店舗での受け取りサービスは、利便性を求める消費者にとって魅力的であり、実店舗とECの融合は今後の成長ドライバーとなり得る。また、リユース事業の推進は、消費者の節約志向に対応しつつ、循環型経済への貢献という社会的価値も提供する。西日本サポートセンターの増設による商品化作業の効率化は、この事業の収益性向上に直結する。
修理・メンテナンス体制の強化は、新車買い替え需要の減少を補完し、既存顧客の囲い込みと安定的な収益源の確保に繋がる。専門人材の育成や物流機能の最適化は、これらのサービス品質を支える基盤であり、長期的な競争優位性を確立するために不可欠である。
投資家目線では、第2四半期累計の利益は前年同期比で二桁減益となったものの、通期業績予想に対する利益進捗率は高水準である点が注目される。これは、下半期に大きな変動がなければ、通期目標達成の可能性が高いことを示唆する。しかし、売上高の進捗率は利益に比べてやや低い水準であり、売上成長の鈍化が続く可能性も考慮する必要がある。
今後の企業価値の見通しとしては、厳しい市場環境下での収益性の維持・改善、OMOやリユースといった成長戦略の着実な実行が鍵となる。特に、リユース事業は環境意識の高まりとともに市場が拡大する可能性を秘めており、同社の新たな収益柱となることが期待される。また、自己資本比率の改善は財務基盤の安定性を示しており、今後の事業展開における柔軟性を高める。
総じて、今回の決算発表は、短期的な利益面ではネガティブな要素が見られたものの、通期予想に対する進捗率の高さと、中長期的な成長を見据えた戦略的取り組みの継続は、投資家にとってポジティブな要素と捉えることができる。市場環境の厳しさは続くものの、同社の多角的な事業戦略が奏功し、下半期に業績が回復基調に乗るかどうかが、今後の株価動向を左右する重要なポイントとなる。
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