クロスプラス株式会社の2026年1月期第2四半期(中間期)決算は、売上高が前年同期比1.3%減の292億17百万円となった。営業利益は4.2%増の9億30百万円、経常利益は7.7%増の10億74百万円と増益を達成した。親会社株主に帰属する中間純利益は、投資有価証券売却益の計上等により17.5%増の8億86百万円となった。全体としては、アパレル卸売の苦戦をライフスタイル卸売と小売の好調でカバーし、増益を確保した決算と言える。株主還元としては、2026年1月期の年間配当予想が前期比16円増の46円に修正された。
当中間連結会計期間(2025年2月1日~2025年7月31日)におけるわが国経済は、企業による賃上げを背景とした雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復基調が継続した。しかし、アパレル業界においては、気温の上昇による夏物商戦の堅調さがあったものの、国際情勢の不安定化、アメリカの関税政策、原材料価格の高騰、物価上昇による個人消費への影響など、事業環境は依然として不透明な状況が続いた。このような環境下、当社グループは中期経営計画に基づき、アパレルとライフスタイルの両輪で収益力向上に取り組んだ。アパレル卸売では、専門店販路の拡大や機能性ファッションブランドの強化、メンズ事業の拡大を進めた。小売では、自社ブランドを展開する量販ショップでの雑貨品揃えの拡充や、ECにおけるSNSや動画を活用したマーケティング強化により売上拡大を図った。ライフスタイル卸売では、シーズン雑貨に加え、ビューティー、ヘルスケア、ファッション雑貨などのライフスタイル領域を拡充し、アパレルに続く新たな収益の柱として育成を図った。これらの取り組みの結果、売上高はアパレル卸売の落ち込みをライフスタイル卸売と小売の伸長で補い、全体では前年同期比1.3%減の292億17百万円となった。利益面では、EC売上の増加による売上総利益率の改善や、広告宣伝費などの削減による販管費の抑制が奏功し、営業利益は同4.2%増の9億30百万円、経常利益は同7.7%増の10億74百万円と増益を達成した。親会社株主に帰属する中間純利益は、投資有価証券売却益の計上等により同17.5%増の8億86百万円となった。
指標 | 2026年1月期(累計) | 2025年1月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 29,217億円 | 29,616億円 | △1.3% |
営業利益 | 930億円 | 893億円 | 4.2% |
経常利益 | 1,074億円 | 997億円 | 7.7% |
親会社株主に帰属する中間純利益 | 886億円 | 754億円 | 17.5% |
アパレル卸売事業は全社売上高の約73.4%を占める。 アパレル卸売では、大手GMS向けや無店舗向けの販売が好調に推移した一方で、専門店向けの商品企画が振るわず、前年を下回る結果となった。具体的には、売上高は214億56百万円で、前年同期比3.2%減となった。このセグメントの苦戦は、全体売上高の減少に影響を与えた。しかし、機能性ファッションブランド「クロスファンクション」の強化やメンズ事業の拡大を進めることで、収益性の改善を図っている。また、ECチャネルにおいては、SNSや動画を活用したマーケティングを強化し、顧客接点の拡大と売上増加を目指している。
ライフスタイル卸売事業は全社売上高の約4.9%を占める。 ライフスタイル卸売では、シーズン雑貨に加え、ビューティー、ヘルスケア、ファッション雑貨などのライフスタイル領域を拡充し、アパレルに続く新たな収益の柱として育成を図っている。ネイルやヘアケアなどビューティー関連商品が引き続き堅調に推移したことで、売上高は14億33百万円となり、前年同期比6.0%増となった。この分野の成長は、アパレル卸売の落ち込みを補う重要な役割を果たしている。
小売事業は全社売上高の約22.7%を占める。 小売事業では、百貨店がインバウンド需要の低迷により売上が減少したものの、商品カテゴリーを増やした雑貨ショップの好調や、for/cのボトムを中心としたEC販売の伸長により、小売全体では増収となった。販売チャネル別では、ECチャネルが24.3%増と大きく伸長し、全体の増収に貢献した。専門店チャネルは6.5%減となったが、量販店チャネルは2.9%増、無店舗チャネルは5.8%増と堅調に推移した。
本決算短信において、事業/資本提携やM&Aに関する具体的な記載は確認されなかった。
2026年1月期通期の業績予想につきましては、2025年3月14日に公表いたしました業績予想から変更はなく、据え置かれている。猛暑の影響等により、事業環境は依然として不透明な状況が続いているが、これらの状況を踏まえ、通期の連結業績予想は据え置かれている。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 640億円 | 45.7% |
営業利益 | 12億円 | 77.5% |
経常利益 | 14億円 | 77.1% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 12億円 | 73.8% |
該当する四半期決算発表が4Qの決算発表(通期決算発表)ではないため、このセクションは削除する。
当中間連結会計期間末の総資産は285億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億5百万円増加した。流動資産は受取手形及び売掛金の減少があったものの、現金及び預金の増加により180億31百万円となった。固定資産は投資有価証券の増加等により105億32百万円となった。負債は、流動負債が買掛金や電子記録債務の減少等により74億22百万円となった一方、固定負債は長期借入金の減少があったものの、その他固定負債の増加等により28億74百万円となった。純資産は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加等により182億67百万円となり、自己資本比率は63.8%となった。 キャッシュ・フローの状況としては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益の増加や売上債権の減少等により、16億3百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却収入等により、51百万円の収入となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払い等により、6億39百万円の支出となった。これらの結果、現金及び現金同等物は9億99百万円増加し、期末残高は53億6百万円となった。
配当:
自己株式取得:
株主優待:
クロスプラス株式会社の2026年1月期通期業績予想は据え置かれており、売上高640億円、営業利益12億円、経常利益14億円、親会社株主に帰属する中間純利益12億円を見込んでいる。これは、前期比で売上高3.2%増、営業利益3.2%増、経常利益16.5%増、親会社株主に帰属する中間純利益6.9%減という見通しである。 第2四半期累計の進捗率を見ると、売上高は45.7%、営業利益は77.5%、経常利益は77.1%、親会社株主に帰属する中間純利益は73.8%となっており、特に営業利益と経常利益の進捗率は高い。これは、アパレル卸売の苦戦をライフスタイル卸売と小売の好調でカバーし、増益を確保した第2四半期の業績が、通期業績予想達成に向けた良好なスタートを切ったことを示唆している。 しかしながら、通期業績予想の前提として、猛暑の影響等により事業環境は依然として不透明な状況が続くと認識しており、この点が投資家にとってはリスク要因となり得る。 今後の見通しとしては、アパレルとライフスタイルの両輪での収益力向上という中期経営計画の推進が鍵となる。アパレル卸売においては、専門店販路の拡大や機能性ファッションブランドの強化、メンズ事業の拡大を通じて収益性の改善を図ることが期待される。ライフスタイル卸売においては、ビューティー、ヘルスケア、ファッション雑貨といった領域のさらなる拡充により、新たな収益源としての成長が期待される。小売事業においては、ECチャネルの強化や雑貨カテゴリーの拡充が引き続き売上拡大に貢献すると考えられる。 投資家目線で見ると、第2四半期における増益達成はポジティブな材料である。特に、営業利益と経常利益の進捗率の高さは、会社側の収益管理能力の高さを示唆している。一方で、通期業績予想が据え置かれている点や、事業環境の不透明感は、今後の業績に対する慎重な見方も必要であることを示している。 株主還元においては、2026年1月期の年間配当予想が前期比16円増の46円に修正されたことは、株主への利益還元を強化する姿勢の表れとして評価できる。 総じて、クロスプラス株式会社は、外部環境の不確実性に対応しつつ、事業ポートフォリオの強化と収益性の向上に注力しており、今後の成長戦略の実行が企業価値向上に繋がるかどうかが注目される。
• 提供されるレポートに誤った情報が含まれる場合があります。正確性や品質を保証するものではないため、決算短信全文を併せてご確認ください。
• 提供されるレポートに投資を推奨するようにも読み取れる内容が含まれる可能性がありますが、当社が投資を推奨するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身の判断で行ってください。
• 決算短信についての訂正の開示があった場合でも、訂正の内容はレポートに反映されませんので、最新の適時開示をご参照ください。また、提供されるレポートの内容は予告なく変更されることがありますのでご注意ください。
• 本レポートにより提供される内容について、当社は、その信頼性、正確性、最新性、完全性、有効性、特定目的への適合性、有用性(有益性)、継続性について保証しません。これらに起因してお客様が何らかの損害を被ったとしても、当該損害につき責任を負わないものとします。
• 提供されるレポートを利用する際は、著作権法、商標法、金融商品取引法などの法令に違反しないようご注意ください。
• 提供されるレポートに関する権利は当社に帰属します。これらの情報を第三者に提供する目的での転用、複製、販売、加工、再利用および再配信は固く禁じます。