カネコ種苗株式会社の2026年5月期第1四半期連結累計期間の決算は、売上高が前年同期比4.8%増の155.38億円、営業利益が同194.2%増の3.87億円、経常利益が同128.3%増の4.39億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同184.2%増の3.01億円と、大幅な増収増益を達成した。特に利益面では、前年同期と比較して大幅な改善が見られ、非常にポジティブな結果となった。これは主に農材事業の好調が牽引したものであり、採算性の高い商品構成へのシフトが寄与した。一方で、花き事業や施設材事業では減収となったものの、花き事業は採算性改善により損失が縮小した。通期業績予想は据え置きだが、第1四半期の好調な滑り出しは、今後の業績に対する期待を高める。株主還元については、年間配当予想は前期と同額の38円で据え置かれている。
当第1四半期連結累計期間において、カネコ種苗株式会社は国内農業の厳しい環境下でも堅調な業績を達成した。特に農材事業が好調に推移し、売上高は前年同期比4.8%増の155.38億円を記録した。利益面では、営業利益が同194.2%増の3.87億円、経常利益が同128.3%増の4.39億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同184.2%増の3.01億円と、いずれも大幅な増益を達成し、収益性が大きく改善した。これは、採算性の高い商品構成へのシフトやコスト管理の徹底が奏功した結果と評価できる。
指標 | 2026年5月期1Q(累計) | 2025年5月期1Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 155.38億円 | 148.32億円 | 4.8% |
営業利益 | 3.87億円 | 1.31億円 | 194.2% |
経常利益 | 4.39億円 | 1.92億円 | 128.3% |
純利益 | 3.01億円 | 1.06億円 | 184.2% |
種苗事業が占める全社売上割合は約14.8%である。当第1四半期において、種苗事業は売上高22.99億円(前年同期比2.1%増)、セグメント利益2.59億円(前年同期比11.8%増)と増収増益を達成した。この好調は、タマネギ種子の国内販売が伸長したことや、国産飼料に対する需要の高まりから飼料作物種子の販売が伸長したことに起因する。農業の基盤を支える重要な事業であり、安定的な需要に支えられ、今後も堅調な推移が期待される。特に、食料安全保障や畜産飼料の国産化といった社会的なニーズが高まる中で、同事業の重要性は増している。
花き事業が占める全社売上割合は約9.3%である。当第1四半期において、花き事業は売上高14.51億円(前年同期比6.4%減)と減収となった。夏場の高温の影響により、ホームユース向けの花苗や野菜苗、園芸農薬の販売が減少したことが主な要因である。しかし、利益面ではセグメント損失が0.68億円となり、前年同期の損失0.80億円から縮小した。これは採算性の改善によるものであり、厳しい市場環境下でも収益構造の改善が進んでいることを示唆する。今後は、気象変動への対応や新たな需要創出が課題となる。
農材事業が占める全社売上割合は約55.2%である。当第1四半期において、農材事業は売上高85.69億円(前年同期比10.7%増)、セグメント利益4.51億円(前年同期比114.6%増)と大幅な増収増益を達成し、全社業績を牽引した。引続き茎葉処理除草剤の販売が伸長したことに加え、温暖化により水稲の品質や収量に影響を及ぼす害虫が大量発生したことから殺虫剤の需要が増加したことが主な要因である。また、採算性の高い商品構成へのシフトも利益増に大きく貢献した。農業の効率化や生産性向上に直結する製品を提供しており、今後も安定的な成長が見込まれる。
施設材事業が占める全社売上割合は約20.7%である。当第1四半期において、施設材事業は売上高32.16億円(前年同期比2.2%減)、セグメント利益0.51億円(前年同期比15.0%減)と減収減益となった。夏場の高温対策として遮光資材や潅水資材の販売は伸長したものの、農業用フィルムや温室部材の更新需要が一巡したことが減収の主な要因である。農業施設の老朽化や更新需要の周期に影響を受ける事業であり、今後の需要動向を注視する必要がある。
当第1四半期連結累計期間において、事業/資本提携やM&A等に関する特段の記載はない。
2026年5月期の全社業績予想は、2025年7月11日に公表された連結業績予想から変更なく据え置きである。第1四半期連結累計期間の実績は、通期予想に対して順調な進捗を示しており、特に利益面での進捗率が高い。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
---|---|---|
売上高 | 665.00億円 | 23.4% |
営業利益 | 19.00億円 | 20.4% |
経常利益 | 20.00億円 | 22.0% |
純利益 | 15.00億円 | 20.1% |
当第1四半期連結会計期間末の総資産は468.86億円となり、前連結会計年度末と比較して24.33億円減少した。これは主に受取手形及び売掛金の減少によるものである。負債の部は215.93億円となり、前連結会計年度末と比較して27.12億円減少した。これは主に買掛金の減少によるものである。これらの資産・負債の減少は、当社グループの事業が主に第4四半期に繁忙期を迎えることに伴うものであり、毎期同様の状況であると説明されている。純資産の部は252.92億円となり、前連結会計年度末と比較して2.78億円増加した。これは主にその他有価証券評価差額金の増加によるものである。自己資本比率は前連結会計年度末の50.7%から53.9%に改善しており、財務の健全性が向上している。なお、当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
配当
自己株式取得
カネコ種苗株式会社の2026年5月期第1四半期決算は、売上高、営業利益、経常利益、純利益の全てにおいて大幅な増益を達成し、投資家にとっては非常にポジティブな内容であった。特に営業利益と純利益が前年同期比で約2倍近く増加した点は、収益構造の改善と事業効率化の進展を示唆し、企業価値向上への期待を高める。
通期業績予想は据え置きであるものの、第1四半期の実績は売上高で23.4%、営業利益で20.4%、経常利益で22.0%、純利益で20.1%と、通期予想に対して順調な進捗を見せている。この好調な滑り出しを考慮すると、今後の四半期で業績予想の上方修正の可能性も十分に考えられ、投資家にとっては注目すべき点となる。
事業セグメント別に見ると、農材事業が売上高・利益ともに大きく貢献し、全体の業績を牽引している。茎葉処理除草剤や殺虫剤の需要増加は、農業における生産性向上や気候変動への対応ニーズの高まりを背景としており、今後も堅調な成長が期待される。種苗事業もタマネギ種子や飼料作物種子の販売が伸長し、安定的な収益源となっている。
一方で、花き事業は夏場の高温の影響で減収となったものの、採算性改善により損失が縮小した点は評価できる。施設材事業も減収減益となったが、これは農業用フィルムや温室部材の更新需要の一巡によるものであり、一時的な要因である可能性もある。これらの事業における今後の需要回復や新たな製品・サービスの投入が、さらなる成長ドライバーとなるか注目される。
国内農業は、コメ価格の高値維持や稲作農家の採算改善が見込まれるものの、夏季の高温や局地的な大雨などの気象変動、飼料価格の高止まり、労働力不足といった厳しい経営環境が続く見通しである。このような外部環境下で、同社が第1四半期に示した高い収益性は、事業ポートフォリオの強靭さやコスト管理能力の高さを示すものと言える。
財務状態も、自己資本比率の改善や純資産の増加が見られ、健全性が向上している。これは、今後の事業投資や株主還元策の柔軟性を高める基盤となる。
総合的に見て、今回の決算発表は、同社の収益力と成長性を再評価する機会となり、投資家にとっては非常にポジティブな情報である。通期予想に対する進捗率の高さから、今後の業績動向、特に上方修正の可能性に注目が集まるだろう。
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