株式会社ネクステージの2025年11月期第3四半期累計期間の連結決算は、売上高4,766.60億円(前年同期比18.7%増)、営業利益129.75億円(同27.3%増)、経常利益124.06億円(同27.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益79.15億円(同13.9%増)と、増収増益を達成した。国内経済は緩やかな回復が期待されるものの、米国の通商政策の影響、物価上昇の継続による個人消費、金融資本市場の変動など、不透明な要素も存在する。中古車業界全体では登録台数が前年同期を下回る厳しい状況が続いているが、同社は積極的な出店戦略を継続し、事業規模を拡大している。具体的には、買取単独店として「板橋店」と「広島佐伯店」を新たにオープンした。また、株式会社ONEモトーレンを新たに設立し、連結の範囲に含めるなど、事業基盤の強化を図っている。通期業績予想は据え置きであり、第3四半期時点での進捗率は売上高で77.5%、営業利益で76.3%となっている。株主還元については、2025年11月期の期末配当予想を34円としている。全体として、厳しい市場環境下での増収増益達成と事業拡大の継続はポジティブな評価ができる。
2025年11月期第3四半期累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比18.7%増の4,766.60億円、営業利益が同27.3%増の129.75億円、経常利益が同27.7%増の124.06億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同13.9%増の79.15億円となり、堅調な増収増益を達成した。国内経済の緩やかな回復期待がある一方で、米国の通商政策や物価上昇、個人消費の動向、金融資本市場の変動といった不透明要因も存在し、中古車業界全体の登録台数は前年同期を下回る状況が続いている。このような環境下でも、同社は積極的な出店戦略を推進し、事業規模の拡大を図ることで業績を伸長させた。
指標 | 2025年11月期3Q(累計) | 2024年11月期3Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 4,766.60億円 | 4,014.12億円 | 18.7% |
営業利益 | 129.75億円 | 101.94億円 | 27.3% |
経常利益 | 124.06億円 | 97.16億円 | 27.7% |
純利益 | 79.15億円 | 69.50億円 | 13.9% |
中古車販売事業は、当第3四半期連結会計期間において、関東甲信越地方で1店舗、中国四国地方で1店舗の計2拠点を新たに出店した。これにより、当第3四半期連結会計期間末の拠点数は190拠点(298店舗)に増加した。国内中古車市場全体では、2024年12月から2025年8月までの登録台数が前年同期比99.4%と微減傾向にある中で、同社は積極的な出店戦略を継続し、事業規模の拡大を図っている。車種別では、普通乗用車登録台数が前年同期比98.5%と減少したが、軽自動車の登録台数は前年同期比100.4%とほぼ横ばいで推移した。同社は「みんなに愛されるクルマ屋さん」という経営理念のもと、ステークホルダー目線での経営を実践し、企業価値の向上を目指している。
新車販売事業は、当第3四半期連結会計期間末の拠点数が52拠点(55店舗)となっている。中古車販売事業と合わせた全拠点数は242拠点(353店舗)に達し、全国的なネットワークを構築している。新車販売事業に関する具体的な業績数値やKPIの開示はPDF資料にはないが、同社の事業ポートフォリオの一部として、中古車販売事業と連携しながら顧客ニーズに応える体制を強化していると推察される。全体として、同社は中古車・新車販売の両面で拠点数を着実に増やしており、これが売上高の増加に貢献している。
当第3四半期連結累計期間において、株式会社ONEモトーレンを新たに設立し、同社を連結の範囲に含めた。この子会社設立は、事業基盤の強化および事業領域の拡大を目的としたものであり、今後の業績に貢献することが期待される。
2025年11月期の通期連結業績予想は、2025年7月7日に公表された内容から変更はなく、据え置きとなった。第3四半期累計期間の実績は、通期予想に対して売上高で77.5%、営業利益で76.3%、経常利益で76.1%、純利益で73.3%の進捗率となっている。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 6,150億円 | 77.5% |
営業利益 | 170億円 | 76.3% |
経常利益 | 163億円 | 76.1% |
純利益 | 108億円 | 73.3% |
当第3四半期連結会計期間末における総資産は2,346.94億円となり、前連結会計年度末に比べ124.27億円増加した。流動資産は1,448.26億円で、前連結会計年度末から123.69億円増加した。これは主に商品が37.41億円、売掛金が94.16億円増加したことによる。固定資産は898.67億円で、0.58億円の微増となった。
負債の部では、流動負債が751.54億円となり、前連結会計年度末から81.55億円増加した。主な要因は買掛金が39.06億円、1年内返済予定の長期借入金が19.91億円増加したことである。固定負債は853.55億円で、28.15億円増加し、長期借入金が15.23億円増加したことが主な要因である。
純資産は741.84億円で、前連結会計年度末から14.56億円増加した。自己資本比率は31.6%となり、前連結会計年度末の32.7%からわずかに低下した。なお、当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。減価償却費は49.41億円、のれん償却額は1.68億円であった。
配当
株式会社ネクステージの2025年11月期第3四半期決算は、厳しい市場環境下での増収増益達成と通期業績予想の据え置きという点で、投資家にとってはポジティブな内容と評価できる。国内経済は緩やかな回復が期待されるものの、米国の通商政策、物価上昇の継続、個人消費の動向、金融資本市場の変動といった不透明要因が依然として存在し、中古車業界全体の登録台数も前年同期を下回る状況が続いている。このような逆風の中で、同社が売上高、営業利益、経常利益、純利益の全てで前年同期比増を達成したことは、その事業戦略と実行力が一定の成果を上げていることを示している。
特に、積極的な出店戦略の継続は、同社の成長ドライバーとして機能している。中古車販売事業における新たな拠点開設や、新車販売事業を含めた全国的な拠点網の拡大は、市場シェアの獲得と顧客接点の増加に直結する。また、株式会社ONEモトーレンの設立と連結範囲への含めは、事業基盤の強化と多角化に向けた動きであり、将来的な企業価値向上に寄与する可能性がある。
しかしながら、通期業績予想に対する第3四半期時点での進捗率は、売上高で77.5%、営業利益で76.3%と、残り1四半期で達成すべき目標も依然として大きい。市場全体の低迷が続く中で、新規出店によるコスト増を吸収しつつ、利益率を維持・向上できるかが今後の課題となる。財務状態を見ると、総資産、流動資産、負債がそれぞれ増加しており、事業拡大に伴う資金需要の増加がうかがえる。自己資本比率の微減は、成長投資の結果として許容範囲内と見られるが、今後の資金調達やキャッシュフローの動向には注意が必要である。
投資家目線では、同社の積極的な成長戦略と、それを支える堅調な業績は評価されるべき点である。しかし、外部環境の不確実性や、出店による拠点数増加が売上高の増加に貢献している一方で、利益率の維持・向上、および財務健全性の維持が重要となる。今後の四半期で、市場環境の変化にどのように対応し、通期目標を達成できるか、そして持続的な成長を実現するための具体的な施策が示されるかどうかが、企業価値評価の鍵となるだろう。
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