株式会社大光の2026年5月期第1四半期連結累計期間の決算は、売上高は前年同期比3.3%増の188.25億円と増収を達成したものの、営業利益は同64.8%減の0.42億円、経常利益は同76.4%減の0.31億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同93.8%減の0.04億円と大幅な減益となった。経済環境は緩やかな回復基調にあるものの、物価上昇による消費者の節約志向や原材料価格・物流費の高騰、人手不足が継続しており、厳しい事業環境が業績に影響を与えた。特に、アミカ事業における営業利益の減少が全体の減益に大きく寄与した。一方で、外商事業は増収増益を達成し、プライベートブランド商品の提案や業務効率化が奏功した。水産品事業は減収減益となった。通期業績予想は据え置きであり、第1四半期は厳しいスタートとなったが、今後の巻き返しに期待がかかる状況である。株主還元については、2026年5月期の年間配当予想を1株当たり15.00円と、前年実績から1.00円の増配を計画している。全体としては、売上は堅調に推移したものの、利益面では大幅な減益となり、投資家にとってはネガティブな印象を与える決算であった。
2026年5月期第1四半期連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比3.3%増の188.25億円と増収を確保した。しかし、営業利益は同64.8%減の0.42億円、経常利益は同76.4%減の0.31億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同93.8%減の0.04億円と、大幅な減益を記録した。これは、物価上昇に伴う消費者の節約志向の継続や、原材料価格・物流費の高騰、人手不足といった外部環境の厳しさに加え、特にアミカ事業における営業利益の減少が大きく影響した結果である。
指標 | 2026年5月期1Q(累計) | 2025年5月期1Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 188.25億円 | 182.28億円 | 3.3% |
営業利益 | 0.42億円 | 1.21億円 | △64.8% |
経常利益 | 0.31億円 | 1.35億円 | △76.4% |
純利益 | 0.04億円 | 0.78億円 | △93.8% |
外商事業の売上高は124.01億円で、全社売上高の約65.8%を占める。前年同期比5.4%増と増収を達成し、営業利益も1.02億円(前年同期比11.7%増)と増益を記録した。当事業では、調理の省力化に繋がる商品や、味・品質にこだわったプライベートブランド商品の提案を通じて、顧客に選ばれる商品提案に注力した。既存得意先との深耕に加え、給食、病院、中食など幅広い業態への新規開拓にも積極的に取り組んだ。また、提案型営業を強化するための商品知識向上や、業務効率化による人件費・物流費の抑制を通じて収益性の向上を図った。これらの取り組みが奏功し、厳しい経済環境下でも増収増益を達成した。
アミカ事業の売上高は57.14億円で、全社売上高の約30.3%を占める。前年同期比1.3%増と増収を達成したものの、営業利益は1.96億円(前年同期比31.3%減)と減益となった。当事業では、各店舗において品揃えの充実化や営業活動の強化を図り、メーカーフェア等の販売施策の展開、SNSやアプリを活用した販促活動の強化、家庭内消費に適したアイテム拡充など、外食事業者から一般消費者まで幅広い顧客層が利用しやすい店舗運営に努めた。2025年7月には松本店(長野県松本市)を新規出店した。当第1四半期連結会計期間末の店舗数は、愛知県・岐阜県を中心に53店舗である。増収ながらも減益となった背景には、新規出店に伴う費用増や、競争環境の激化による販促費の増加などが影響した可能性がある。
水産品事業の売上高は7.35億円で、全社売上高の約3.9%を占める。前年同期比14.1%減と減収となり、営業利益も0.05億円(前年同期比82.0%減)と大幅な減益となった。連結子会社である株式会社マリンデリカを中心に、大手水産会社をはじめとする既存得意先との深耕を図るとともに、輸出販売の推進や新規開拓の強化に努めた。また、採算管理の徹底や経費抑制に取り組み収益性の向上を図った。外商事業及びアミカ事業と連携し、当社グループの水産品ラインナップ強化も推進している。減収減益の要因としては、市場環境の変化や競争激化、あるいは特定の顧客における需要変動が影響した可能性が考えられる。
株式会社大光は、連結子会社である株式会社マリンデリカを通じて水産品事業を展開しており、これは過去の事業再編やM&Aの結果として現在の事業体制が構築されていることを示唆している。当第1四半期連結累計期間においては、新たな事業/資本提携やM&Aに関する具体的な発表はなかった。しかし、各事業セグメントにおいて「既存得意先との深耕」や「新規開拓」を重点戦略として掲げており、特に外商事業では「プライベートブランド商品の販売強化」を、水産品事業では「輸出販売の推進」を推進している。これらの取り組みは、将来的な事業拡大や競争力強化のために、戦略的な提携やM&Aの機会を模索する可能性を秘めている。
2026年5月期の連結業績予想は、2025年7月14日に公表された内容から変更はなく、据え置きである。第1四半期連結累計期間の実績は、売上高は通期予想に対して23.7%の進捗率である一方、利益面では営業利益が4.7%、経常利益が3.4%、純利益が0.7%と、通期予想に対して大幅に低い進捗率となっている。これは、第1四半期が厳しい利益水準で推移したことを示しており、通期目標達成には今後の四半期での大幅な利益改善が必要となる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
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売上高 | 793.00億円 | 23.7% |
営業利益 | 8.90億円 | 4.7% |
経常利益 | 9.00億円 | 3.4% |
純利益 | 5.80億円 | 0.7% |
当第1四半期連結会計期間末の資産総額は279.69億円となり、前連結会計年度末と比較して5.10億円増加した。流動資産は商品が1.72億円増加したことなどにより全体で2.00億円増加し、固定資産は建物及び構築物が2.44億円増加したことなどにより全体で3.09億円増加した。負債総額は217.36億円となり、前連結会計年度末と比較して6.53億円増加した。流動負債は短期借入金が9.33億円増加したことなどにより全体で8.62億円増加したが、固定負債は長期借入金が3.03億円減少したことなどにより全体で2.09億円減少した。純資産は62.33億円となり、前連結会計年度末と比較して1.42億円減少した。これは主に利益剰余金が1.05億円減少したことによる。キャッシュフローに関する具体的な情報は本資料には記載されていない。
なお、当社グループの借入金には財務制限条項が付されており、各年度の決算期末における連結及び単体の貸借対照表における純資産の部が2023年5月決算期末の75%以上に維持されること、および経常損益が2期連続で損失とならないことが求められている。当第1四半期連結会計期間末において、これらの財務制限条項には抵触していない。
株式会社大光は、株主への利益還元を重要な経営課題と認識している。配当については、以下の通りである。
自己株式取得および株主優待に関する情報は、当決算短信には記載されていない。
株式会社大光の2026年5月期第1四半期決算は、売上高は増加したものの、営業利益、経常利益、純利益が大幅な減益となり、投資家にとってはネガティブな要素が目立つ結果となった。経済環境は物価上昇による消費者の節約志向が継続し、原材料価格や物流費の高騰、人手不足といった厳しい状況が続くと見込まれる。このような外部環境は、今後も同社の利益率に圧力をかけ続ける可能性がある。
しかし、同社は通期業績予想を据え置いており、第1四半期の厳しいスタートから巻き返しを図る強い意志を示している。外商事業ではプライベートブランド商品の提案強化や業務効率化による収益性向上、アミカ事業では新規出店や販促活動の強化、水産品事業では輸出販売の推進や採算管理の徹底など、各事業セグメントで具体的な施策を継続している。これらの取り組みが今後の四半期で利益改善に繋がるかが焦点となる。
投資家目線では、第1四半期の大幅減益は懸念材料であり、通期予想達成へのハードルは高いと認識される。特に、アミカ事業の増収減益は、新規出店や販促強化に伴うコスト増が利益を圧迫している可能性があり、今後の店舗運営効率化や収益改善策の進捗が注目される。一方で、外商事業の堅調な増収増益はポジティブな要素であり、同社の収益の柱としての役割が期待される。
財務状態については、純資産が減少したものの、財務制限条項には抵触しておらず、現時点での財務健全性は維持されている。しかし、利益水準の低迷が続けば、将来的な財務基盤に影響を及ぼす可能性もあるため、今後の利益改善が重要となる。
株主還元については、年間配当予想を増配としている点は、厳しい業績の中でも株主還元への意欲を示すポジティブなメッセージと捉えられる。しかし、利益水準が低い中で増配を維持できるか、今後の業績動向が注視される。
総じて、株式会社大光の今後の見通しは、外部環境の厳しさと第1四半期の利益低迷というネガティブな要素がある一方で、各事業での戦略的な取り組みと通期予想据え置きというポジティブな要素も存在する。投資家は、今後の四半期における利益改善の具体的な進捗、特にコストコントロールと収益性向上策の効果を慎重に見極める必要がある。
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