株式会社クリエイトSDホールディングスの2026年5月期第1四半期連結累計期間の決算は、売上高1,215.86億円(前年同期比6.7%増)、営業利益56.33億円(同6.6%増)、経常利益59.08億円(同8.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益39.96億円(同16.7%増)と、増収増益で堅調なスタートを切った。国内景気は緩やかな回復傾向にあるものの、物価上昇による個人消費の減速懸念や地政学リスクなど不透明な状況が続く中、ドラッグストア業界では競合激化や業界再編が進む厳しい環境にある。このような状況下で、同社グループは新中期経営計画「NextSTAGE2030」に基づき、EDLP施策の継続推進や調剤部門の強化、新規出店、既存店改装などに取り組んだ。特に、調剤専門薬局9店舗を展開する株式会社サンエフの全株式取得による連結子会社化は、事業拡大に大きく貢献している。全体として、厳しい事業環境下でも着実に成長を遂げており、投資家にとってはポジティブな決算発表であったと評価できる。株主還元については、2026年5月期の年間配当金予想を90.00円としており、前年実績の78.00円から増配を計画している。
2026年5月期第1四半期連結累計期間の全社業績は、売上高、各利益ともに前年同期を上回る結果となった。物価上昇や競合激化といった厳しい事業環境が続く中で、ドラッグストア事業におけるEDLP施策の継続推進や調剤部門の強化、M&Aによる事業拡大が奏功し、増収増益を達成した。特に親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比16.7%増と大幅な伸びを示し、収益性の改善が見られる。
指標 | 2026年5月期1Q(累計) | 2025年5月期1Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 1,215.86億円 | 1,138.98億円 | 6.7% |
営業利益 | 56.33億円 | 52.84億円 | 6.6% |
経常利益 | 59.08億円 | 54.71億円 | 8.0% |
純利益 | 39.96億円 | 34.25億円 | 16.7% |
ドラッグストア事業は全社売上高の約98.9%を占める主要事業である。当第1四半期連結累計期間において、物販部門ではEDLP(エブリデイ・ロープライス)施策の継続推進により、既存店売上および客数が引き続き好調に推移した。調剤部門においては、調剤薬局店舗数の増加、近隣医療機関との連携強化、各種加算の算定強化に注力した結果、処方箋応需枚数および処方箋単価は堅調に推移している。また、ビューティケア強化業態「Cremo」の要素を取り入れた既存店改装や調剤薬局区画の拡張改装等、既存店の競争力強化に取り組むとともに、将来的な調剤外部委託を視野に入れた施設在宅集約型薬局を開設するなど、多様な店舗形態による新規出店にも取り組んだ。新規出店は5店舗、スクラップ&ビルドによる閉鎖は4店舗であった。調剤薬局はドラッグストアへの併設調剤薬局を7店舗、調剤専門薬局を1店舗の計8店舗を開局した。さらに、2025年8月29日付で、調剤専門薬局9店舗を展開する株式会社サンエフの全株式を取得し連結子会社化したことにより、調剤専門薬局9店舗を新たに取得し、事業規模を拡大した。当第1四半期連結会計期間末における店舗数は、ドラッグストア788店舗、食品スーパー1店舗、ドラッグストア複合の生鮮食品専門店5店舗、調剤専門薬局48店舗、ドラッグストアへの併設調剤薬局424店舗の合計842店舗となっている。
介護事業は全社売上高の約0.47%を占める。高齢化が進む中、介護スタッフのもと安心・安全に生活したい高齢者のために、美味しい食事が特徴の介護付有料老人ホームを2施設、またいつまでも自宅で暮らしたい方のために、リハビリを専門とする半日型のデイサービスセンター37施設を運営している。有料老人ホーム、デイサービスともに、当社グループの特徴である接遇に力を入れ、利用者の満足度向上および稼働率の向上を図っている。当第1四半期連結会計期間末における介護事業の施設数は、介護付有料老人ホーム2施設、半日型デイサービスセンター37施設となっている。
2025年8月29日付で、調剤専門薬局9店舗を展開する株式会社サンエフ(東京都府中市)の全株式を取得し、連結子会社化した。これにより、同社グループは調剤専門薬局を新たに9店舗取得し、調剤事業の規模拡大と地域におけるドミナント戦略の強化を図る。このM&Aは、ドラッグストア事業における調剤部門の成長戦略の一環であり、今後の収益貢献が期待される。
2026年5月期の連結業績予想は、現時点では2025年7月14日に公表された内容から変更はなく、据え置きである。第1四半期連結累計期間の実績は、売上高、各利益ともに通期予想に対して順調な進捗を示している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
---|---|---|
売上高 | 4,915.00億円 | 24.7% |
営業利益 | 241.00億円 | 23.4% |
経常利益 | 249.00億円 | 23.7% |
純利益 | 163.00億円 | 24.5% |
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は2,345.15億円となり、前連結会計年度末に比べて20.45億円減少した。主な要因としては、売掛金、現金及び預金、商品、未収入金の減少があった一方で、固定資産が増加したことが挙げられる。負債合計は906.67億円となり、前連結会計年度末に比べて31.73億円減少した。これは主に未払法人税等の減少によるものであり、買掛金は増加している。純資産は1,438.48億円となり、前連結会計年度末に比べて11.27億円増加した。これは配当金支払による減少があったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益39.96億円を計上したことによるものである。なお、当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
配当
株式会社クリエイトSDホールディングスの2026年5月期第1四半期決算は、売上高、各利益ともに前年同期比で増加し、堅調なスタートを切った。これは、国内経済の不透明感やドラッグストア業界の厳しい競争環境が続く中で、同社グループが推進するEDLP施策や調剤部門の強化、M&Aによる事業拡大が奏功していることを示している。特に、株式会社サンエフの連結子会社化による調剤専門薬局9店舗の取得は、調剤事業のさらなる強化と地域における市場シェア拡大に貢献し、今後の収益成長のドライバーとなる可能性が高い。
通期業績予想は据え置きであるものの、第1四半期の実績は通期予想に対して順調な進捗率を示しており、このまま推移すれば通期目標達成への期待が高まる。既存店の競争力強化や新規出店、介護事業における利用者満足度向上への取り組みも継続されており、多角的な成長戦略が着実に実行されている。
投資家目線では、今回の決算発表は総じてポジティブな内容と評価できる。厳しい外部環境下でも増収増益を達成し、成長戦略を着実に実行している点は評価に値する。特に、M&Aによる事業拡大は、将来の企業価値向上に繋がる重要な一手と捉えられる。配当予想も増配計画であり、株主還元への意識も高い。ただし、国内景気の先行き不透明感やドラッグストア業界の競争激化は依然としてリスク要因であり、今後の物価動向や消費者の購買行動の変化には引き続き注視が必要である。同社グループが新中期経営計画「NextSTAGE2030」で掲げる目標達成に向け、今後も積極的な事業展開と効率的な経営が求められる。
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