マーチャント・バンカーズ株式会社の2025年10月期第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が前年同期比5.9%増の2,302百万円、営業利益が同61.5%増の230百万円となった。経常利益は同524.5%増の38百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同71.8%減の25百万円となった。
全体としては、賃貸用不動産の売却や、将来的な売却益確保に向けた準備を進めたことが業績に寄与した。しかし、親会社株主に帰属する四半期純利益は大幅な減少となった。これは、第三者割当による新株発行や新株予約権の発行に伴う資本金・資本準備金の増加、自己株式取得による自己株式の増加があった一方で、配当金の支払いと利益剰余金の減少が影響したためと考えられる。
株主還元においては、2025年10月期通期で1株当たり2円の配当を予想している。自己株式取得に関する具体的な情報は確認されなかった。
本決算発表は、売上高・営業利益の増加というポジティブな側面があるものの、純利益の減少が懸念材料となり、投資家目線ではややネガティブな印象を与える可能性がある。
2025年10月期第3四半期連結累計期間において、マーチャント・バンカーズ株式会社は、売上高2,302百万円(前年同期比5.9%増)、営業利益230百万円(前年同期比61.5%増)を達成した。経常利益は38百万円(前年同期比524.5%増)と大幅に増加した。一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は25百万円(前年同期比71.8%減)と大幅な減少となった。この業績は、主に賃貸用不動産の売却や、将来的な売却益確保に向けた準備を進めたことによるものである。
指標 | 2025年10月期(累計) | 2024年10月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 2,302百万円 | 2,174百万円 | 5.9% |
営業利益 | 230百万円 | 142百万円 | 61.5% |
経常利益 | 38百万円 | 6百万円 | 524.5% |
親会社株主に帰属する四半期純利益 | 25百万円 | 90百万円 | △71.8% |
純利益 | 25百万円 | 90百万円 | △71.8% |
当社グループは単一セグメント「マーチャント・バンキング事業」となった。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループは、賃貸用不動産を計4物件売却した。また、第4四半期以降の売却益確保のため、現在保有する賃貸用不動産物件の売却準備を進めている。賃貸用不動産の取得・売却による安定的収益や、成長性・社会性の高い企業やプロジェクトの発掘に努め、資本提携や業務提携により、投資会社としての将来性や収益性の確保に努めている。これらの取り組みにより、売上高は前年同期比5.9%増となった。
2025年7月14日付でHong Kong Sunlight House Limitedより第三者割当による新株及び第17回新株予約権の発行価額総額の払込みを受けた。これにより、資本金及び資本準備金がそれぞれ383,347千円、新株予約権が33,287千円増加した。
また、2025年7月25日開催の取締役会において、2025年7月14日に発行した第17回新株予約権の全部を取得し、直ちに消却することを決議した。これは、割当先であるHong Kong Sunlight House Limitedとの協議において、協議の前提事項に懸念を抱き、協議を継続することが困難と判断したためである。本割当先が新株予約権を行使した場合、議決権保有割合28.6%の筆頭株主となることが想定されたが、当社経営陣と十分な協力体制や信頼関係が確保できないことにより、株主・投資家の利益を損なう事態を懸念したため、取得・消却に至った。
2025年10月期通期の連結業績予想に変更はない。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 4,600百万円 | 50.0% |
営業利益 | 600百万円 | 38.3% |
経常利益 | 250百万円 | 15.2% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 200百万円 | 12.5% |
純利益 | 200百万円 | 12.5% |
該当する決算発表は第3四半期決算のため、記載しない。
当第3四半期連結会計期間末の総資産は16,192百万円で、前連結会計年度末に比べ183百万円減少した。主な変動要因は、現金及び預金の増加650百万円、有形固定資産の減少569百万円である。負債は11,395百万円で、前連結会計年度末に比べ803百万円減少した。主な変動要因は、長期借入金の減少672百万円である。純資産は4,797百万円で、前連結会計年度末に比べ620百万円増加した。これは、第三者割当による新株発行等による資本金・資本準備金の増加、自己株式取得による自己株式の増加、配当金の支払い、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の減少によるものである。
キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。減価償却費は213,083千円であった。
マーチャント・バンカーズ株式会社の今後の見通しは、引き続き不動産関連事業を中心に、安定的収益の確保と将来的な成長機会の追求に注力していく姿勢が示されている。賃貸用不動産の売却や、新たな物件の取得準備を進めることで、収益基盤の強化を図る方針である。また、資本提携や業務提携を通じて、投資会社としての将来性や収益性の向上を目指すことも示唆されている。
しかしながら、第3四半期連結累計期間における親会社株主に帰属する四半期純利益の大幅な減少は、投資家にとって懸念材料となりうる。これは、第三者割当による新株発行や新株予約権の発行に伴う資本増強策が、一時的に利益を圧迫した側面があると考えられる。一方で、これらの資本増強策は、将来的な事業拡大や投資活動のための資金確保という側面も持ち合わせており、中長期的には企業価値向上に繋がる可能性も秘めている。
特に、第17回新株予約権の取得・消却という動きは、株主構成の安定化や、特定の株主による影響力の増大を防ぐための措置であり、経営陣のガバナンス強化の意思表示とも解釈できる。これは、株主・投資家にとって安心材料となりうる一方、今後の事業展開における柔軟性を一部制約する可能性も否定できない。
通期業績予想に変更がないことは、現時点での事業計画に対する自信の表れと捉えることができる。しかし、経済情勢の不透明感や、不動産市場の動向によっては、業績予想の修正リスクも常に存在する。
総じて、マーチャント・バンカーズ株式会社の今後の見通しは、不動産事業の堅調な推移と、資本政策による企業価値向上への期待がある一方で、純利益の回復や、経済環境の変化への対応力が問われる局面と言える。投資家目線では、短期的な利益の変動に一喜一憂するのではなく、中長期的な事業戦略の実行状況と、それに伴う企業価値の着実な向上を見守ることが重要となるだろう。
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