株式会社ダイセキ環境ソリューションの2026年2月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高114.58億円(前年同期比28.6%増)、営業利益12.53億円(同17.4%増)、経常利益13.02億円(同21.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益7.90億円(同32.4%増)と、大幅な増収増益を達成した。国内経済の緩やかな回復と、建設業界における政府・民間投資の堅調さを背景に、主力である土壌汚染調査・処理事業が関東・関西エリアの大規模案件や中部エリアのインフラ整備案件の増加により大きく貢献した。資源リサイクル事業もPCB処理の駆け込み需要や連結子会社の堅調な売上により増収を確保したものの、一部事業の減益により営業利益は微減となった。
財務状態では、総資産が293.28億円と増加し、純資産も197.28億円と増加した。これは主に利益剰余金の増加による。キャッシュフローに関する具体的な記載はないが、総資産の増加要因として現金及び預金の減少が挙げられており、事業活動への資金投入があったことが示唆される。
株主還元については、支配株主である株式会社ダイセキによる公開買付けが発表され、これに伴い2026年2月期の期末配当は無配とする方針が決定された。これは、当社株式の非公開化と上場廃止を前提とした戦略的な判断である。
全体として、事業は好調に推移し、業績は堅調な成長を示している。しかし、支配株主による公開買付けとそれに伴う上場廃止の決定は、今後の企業戦略に大きな転換点をもたらすものであり、投資家にとっては公開買付け価格が重要な評価基準となる。配当の無配化は、非公開化後の経営戦略に資金を集中させる意図と解釈できる。
2026年2月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高が前年同期比28.6%増の114.58億円、営業利益が同17.4%増の12.53億円、経常利益が同21.1%増の13.02億円、親会社株主に帰属する中間純利益が同32.4%増の7.90億円と、大幅な増収増益を達成した。国内経済の緩やかな回復と、建設業界における政府・民間投資の堅調さを背景に、主力事業である土壌汚染調査・処理事業が業績を牽引し、全体の収益を押し上げた。
指標 | 2026年2Q(累計) | 2025年2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 114.58億円 | 89.07億円 | 28.6% |
営業利益 | 12.53億円 | 10.67億円 | 17.4% |
経常利益 | 13.02億円 | 10.75億円 | 21.1% |
純利益 | 7.90億円 | 5.96億円 | 32.4% |
土壌汚染調査・処理事業は全社売上高の約75.0%を占める。 当中間連結会計期間において、関東エリアにおける大規模汚染土壌処理・工事案件や関西エリアの大規模工場廃棄物撤去コンサル案件などの高付加価値案件が前期に引き続き順調に進捗した。さらに、中部エリアにおける大規模インフラ整備案件の入荷が増加した結果、売上高は86.04億円(前年同期比39.9%増)、営業利益は11.93億円(同33.6%増)と大幅な増収増益を達成した。この事業は、国内の建設投資の堅調な動きと、大規模案件の獲得が業績を大きく牽引しており、今後もインフラ整備や環境規制強化の動きが事業成長の機会となる見込みである。
資源リサイクル事業は全社売上高の約25.0%を占める。 当中間連結会計期間において、PCB(ポリ塩化ビフェニル)事業は、2027年3月末までの処理期限に向けた駆け込み需要により好調を維持した。また、連結子会社であるグリーンアローズ中部及びグリーンアローズ九州は、再資源化のための廃棄物の入荷量及び処理量が底堅く、安定的な売上及び利益を確保した。一方で、杉本商事では老朽車両の取り換えや中途採用強化による費用増が影響し減益となった。その結果、売上高は29.92億円(前年同期比4.0%増)と増収を達成したものの、営業利益は5.30億円(同6.9%減)と減益となった。PCB処理期限が近づく中で、今後の需要動向と新規事業展開が注目される。
2025年10月2日開催の取締役会において、当社の支配株主である株式会社ダイセキが、当社の普通株式を対象とする公開買付けを実施することに賛同の意見を表明し、株主に対して応募を推奨することを決議した。この公開買付けは、当社を完全子会社化し、非公開化することを目的とした一連の手続きの一環であり、当社株式は上場廃止となる予定である。この動きは、当社の資本構成と経営体制に大きな変化をもたらし、今後の事業戦略や企業価値の向上に向けた新たな局面を迎えることを示唆している。
2026年2月期の連結業績予想は、2025年4月8日に公表された内容から変更なく据え置かれた。第2四半期(中間期)までの実績は、売上高で通期予想の54.6%、営業利益で52.6%、経常利益で54.3%、純利益で58.5%の進捗率となっている。この進捗率は、通期予想達成に向けて順調なペースで推移していることを示している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 210.00億円 | 54.6% |
営業利益 | 23.80億円 | 52.6% |
経常利益 | 24.00億円 | 54.3% |
純利益 | 13.50億円 | 58.5% |
当中間連結会計期間末の総資産は293.28億円となり、前連結会計年度末に比べ2.97億円増加した。これは主に受取手形、売掛金、契約資産及び建設仮勘定の増加によるものであり、一方で現金及び預金は減少した。負債は96.00億円となり、前連結会計年度末に比べ4.64億円減少した。これは主に短期借入金及び未払法人税等の増加があったものの、支払手形、買掛金及び長期借入金が減少したことによる。純資産は197.28億円となり、前連結会計年度末に比べ7.61億円増加した。これは主に利益剰余金の増加によるものである。全体として、資産は増加し、負債は減少、純資産は増加しており、財務基盤は強化されている。
配当
自己株式取得
自己株買い
株主優待
株式会社ダイセキ環境ソリューションの今後の見通しは、支配株主である株式会社ダイセキによる公開買付けとそれに伴う上場廃止の決定により、大きな転換点を迎えている。この四半期決算発表は、事業の好調な進捗と増収増益というポジティブな側面を示しているものの、投資家目線では、公開買付けによる非公開化が最も重要な要素となる。
業績面では、2026年2月期の通期業績予想は据え置かれており、第2四半期までの進捗率も順調であることから、事業環境は引き続き堅調に推移すると見込まれる。特に主力である土壌汚染調査・処理事業は、国内の建設投資やインフラ整備の需要を背景に、今後も安定的な収益貢献が期待される。資源リサイクル事業もPCB処理の駆け込み需要が続くものの、一部事業の減益要因への対応が課題となる。
しかし、この決算発表の最大のポイントは、株式会社ダイセキによる公開買付けの発表である。これにより、当社株式は上場廃止となる予定であり、既存の株主は公開買付けに応募するかどうかの判断を迫られる。投資家にとっては、公開買付け価格が企業の公正価値を適切に反映しているかどうかが最大の関心事となる。公開買付け価格が市場の期待を下回る場合、ネガティブな評価につながる可能性がある。一方で、非公開化は、短期的な市場の変動に左右されず、長期的な視点での経営戦略の実行や、親会社との連携強化によるシナジー創出を可能にするというポジティブな側面も持つ。
株主還元については、公開買付けを条件とした期末配当の無配化が決定された。これは、非公開化後の経営戦略に資金を集中させるための判断と解釈できる。短期的な配当収入を期待していた投資家にとってはネガティブな情報となるが、非公開化後の企業価値向上に向けた投資と捉えることもできる。
総じて、事業のファンダメンタルズは堅調であり、業績は好調に推移している。しかし、公開買付けによる非公開化と上場廃止の決定は、既存株主にとっての投資判断に大きな影響を与える。この決算発表は、事業の好調さを示す一方で、企業の将来の姿が大きく変わることを告げるものであり、投資家は公開買付けの条件と非公開化後の企業戦略を慎重に見極める必要がある。
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