テクノアルファ株式会社の2025年11月期第3四半期累計期間の決算は、売上高30.30億円(前年同期比14.2%増)、営業利益4.66億円(同413.2%増)、経常利益4.79億円(同296.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益3.32億円(同363.4%増)と、大幅な増収増益を達成した。特に利益面での伸長が顕著であり、非常にポジティブな決算内容であった。マリン・環境機器事業とSI事業が好調に推移し、全社業績を牽引した。財務状態も改善し、自己資本比率は74.1%に向上している。株主還元については、2025年11月期の年間配当金は期末35.00円、合計35.00円を予想しており、前年と同額を維持する見込みである。
2025年11月期第3四半期累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比14.2%増の30.30億円となり、大幅な増収を達成した。利益面では、営業利益が前年同期比413.2%増の4.66億円、経常利益が同296.4%増の4.79億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同363.4%増の3.32億円と、いずれも大幅な増益を記録し、非常に好調な推移を示した。これは主にマリン・環境機器事業の売上高が前年同期比96.4%増と大きく伸長したことや、SI事業が営業損失から黒字転換したことが寄与している。
指標 | 2025年11月期3Q(累計) | 2024年11月期3Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 30.30億円 | 26.52億円 | 14.2% |
営業利益 | 4.66億円 | 0.90億円 | 413.2% |
経常利益 | 4.79億円 | 1.20億円 | 296.4% |
純利益 | 3.32億円 | 0.71億円 | 363.4% |
エレクトロニクス事業は全社売上高の約45.8%を占める。当第3四半期累計期間の売上高は13.88億円(前年同期比15.7%減)、営業利益は0.93億円(同24.1%減)となった。この事業では、半導体テスターを中心とした半導体テストソリューションの強化、および自社開発装置と輸入商材の相互補完によるFA装置分野の強化に注力している。売上高と営業利益は前年同期比で減少したものの、案件の検収はおおむね順調に進捗している。半導体市場の動向に左右される側面があるが、重点課題として掲げる半導体テストソリューションの強化を通じて、市場ニーズへの対応力向上を図っている。FA装置分野においても、自社開発と輸入商材の組み合わせにより、顧客への多様なソリューション提供を目指している。
マリン・環境機器事業は全社売上高の約32.0%を占める。当第3四半期累計期間の売上高は9.70億円(前年同期比96.4%増)、営業利益は4.42億円(同194.7%増)と、売上・利益ともに大幅な伸長を記録し、全社業績を大きく牽引した。この事業では、有望な舶用機器メーカーの舶用クレーンをはじめとする特殊甲板機器の販売に注力している。舶用機器は受注から検収までの期間が長い特性を持つが、前連結会計年度以前に受注した大型案件の納入が当期に集中したことが、好調な業績の主な要因である。今後も大型案件の受注状況や検収スケジュールが業績に与える影響は大きいと見られる。
SI事業は全社売上高の約18.7%を占める。当第3四半期累計期間の売上高は5.68億円(前年同期比29.1%増)、営業利益は0.64億円(前年同期は0.43億円の営業損失)となり、前年同期の営業損失から黒字転換を達成した。この事業では、エレクトロニクス事業の装置開発・設計部門との連携強化を進め、主要ビジネスである試験・計測システムインテグレーションの強化に注力している。これらの取り組みが順調に進捗しており、売上高の増加と利益率の改善に貢献した。エレクトロニクス事業との連携強化は、技術的なシナジーを生み出し、顧客への付加価値の高いソリューション提供を可能にしている。
サイエンス事業は全社売上高の約3.5%を占める。当第3四半期累計期間の売上高は1.05億円(前年同期比42.8%増)、営業損失は△0.12億円(前年同期は△0.03億円の営業損失)となった。この事業では、海外メーカー製ガスクロマトグラフィー関連装置をはじめとする理化学機器の販売強化に注力している。有望な引き合いは存在するものの、売上・利益ともに低調に推移しており、営業損失が継続している。市場での競争激化や、特定の大型案件の獲得状況が業績に影響を与えている可能性がある。今後の収益改善に向けた戦略的な取り組みが求められる。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は30.25億円となり、前連結会計年度末比で10.62億円増加した。これは、流動資産が1836万円減少した一方で、固定資産が2898万円増加したことによる。流動資産の変動では、現金及び預金が5.69億円増加し、商品も3.54億円増加したが、受取手形、売掛金及び契約資産が6.11億円減少、電子記録債権が3.68億円減少した。固定資産は、有形固定資産が1283万円、無形固定資産が2174万円それぞれ増加した。純資産は22.43億円となり、前連結会計年度末比で2.87億円増加した。これは主に、その他の包括利益累計額の増加と、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものである。結果として、自己資本比率は前連結会計年度末比9.2ポイント増の74.1%に向上し、財務基盤の安定性が強化された。なお、当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。減価償却費は0.20億円であった。
配当
テクノアルファ株式会社の2025年11月期第3四半期累計期間の業績は、売上高、営業利益、経常利益、純利益のいずれも大幅な増収増益を達成し、非常に好調な結果であった。特に利益面での伸長は投資家にとってポジティブな要素である。マリン・環境機器事業とSI事業が好調を維持し、全社業績を牽引している点は評価できる。また、自己資本比率が大幅に改善し、財務基盤が強化されていることも、企業の安定性を示す上で好材料である。
しかしながら、今後の見通しについては、いくつかの不透明要因が存在する。まず、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢に加え、米国の通商政策の動向、国内外の金利や為替の変動など、外部環境は依然として不透明感が強い。これらの地政学的リスクや経済情勢の変動は、同社の事業活動に影響を及ぼす可能性がある。
最も重要な点として、2025年11月期の連結業績予想が「現時点で合理的な算定が困難なため、開示しておりません」とされていることが挙げられる。これは、売上・利益に占める割合が大きいエレクトロニクス事業およびマリン・環境機器事業において、個別案件が大型化する傾向があり、これらの案件の納入時期によって業績が大きく変動するためであると説明されている。この業績予想の非開示は、投資家が将来の業績を予測する上での不確実性を高め、短期的な企業価値評価においてネガティブに作用する可能性がある。好調な第3四半期累計業績にもかかわらず、通期での着地が見通せない状況は、投資家にとって懸念材料となり得る。
個別の事業セグメントを見ると、エレクトロニクス事業は売上・利益ともに前年同期比で減少しているものの、案件の検収は順調に進捗している。半導体テストソリューションの強化は中長期的な成長戦略として重要である。サイエンス事業は売上・利益ともに低調に推移しており、今後の収益改善が課題となる。
全体として、今回の決算発表は、足元の業績と財務体質の改善という点では非常にポジティブな内容であった。しかし、外部環境の不透明性と通期業績予想の非開示が、今後の企業価値評価において慎重な見方を促す要因となる。投資家は、好調な累計業績が通期でどこまで持続するのか、また大型案件の受注状況や検収スケジュール、そして不透明な外部環境が今後の業績に与える影響について、引き続き注視する必要がある。特に、業績予想が非開示であるため、今後の追加的な情報開示や、各事業セグメントの動向に関する詳細な説明が、投資判断においてより重要となるだろう。
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