ケイティケイ株式会社の2025年8月期連結決算は、売上高189.27億円(前年同期比4.5%増)、営業利益4.26億円(同11.3%増)、経常利益5.15億円(同5.4%増)と、増収増益を達成した。売上高および経常利益は過去最高を更新している。親会社株主に帰属する当期純利益は3.32億円(同△3.8%減)となったが、これは課税所得の増加に伴う法人税等合計の増加が主な要因である。サプライ事業、ITソリューション事業ともに増収増益に貢献し、特にITソリューション事業はPC拡販等が好調に推移した。財務状態も総資産、純資産ともに増加し、自己資本比率も改善している。配当については、2025年8月期は年間17.00円(中間8.50円、期末8.50円)を実施し、2026年8月期は年間18.00円(中間9.00円、期末9.00円)への増配を予想している。全体として、堅調な業績推移と積極的な株主還元姿勢を示しており、投資家にとってはポジティブな決算内容と評価できる。
当連結会計年度の日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により緩やかな回復が見られたものの、継続的な物価高騰や各国の通商政策による影響により、依然として先行き不透明な事業環境が続いた。このような状況下、当社グループは中期経営計画「Growth Plan 2027」に沿い、サプライ事業を基盤事業、ITソリューション事業を成長事業と位置付け、重点施策を推進した。第4四半期における新規営業活動への注力により、利益率の高い自社製品の拡販が復調し、Windows11への切り替え需要によるPC販売等が引き続き好調に推移した結果、サプライ事業・ITソリューション事業ともに前年同期比で増収増益を達成した。売上高及び経常利益は過去最高を更新した。
指標 | 2025年8月期(通期) | 2024年8月期(通期) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 189.27億円 | 181.09億円 | 4.5% |
営業利益 | 4.26億円 | 3.83億円 | 11.3% |
経常利益 | 5.15億円 | 4.88億円 | 5.4% |
純利益 | 3.32億円 | 3.45億円 | △3.8% |
サプライ事業が占める全社売上割合は約76.9%である。当連結会計年度において、サプライ事業は自社製品及び商品の拡販が堅調に推移し、売上・利益に貢献した。具体的には、売上高は145.54億円(前連結会計年度比1.3%増)、セグメント利益は8.32億円(前連結会計年度比2.2%増)を達成した。この事業は、リサイクル商品、OAサプライ商品、文具事務用品などのオフィス関連商品、オフィス家具の販売を主軸としている。中期経営計画「Growth Plan 2027」においては、製造直販の強みを活かし、自社ECサイト「YORIDORI」をプラットフォームとした新たな顧客参画型のリユーストナー循環システム「サステナブルパートナープログラム」の提案活動に注力する方針である。これにより、さらなる拡販・シェア拡大と収益性向上を目指す。この取り組みは、環境負荷低減への貢献というサステナビリティの観点からも重要であり、顧客との長期的な関係構築にも寄与すると考えられる。
ITソリューション事業が占める全社売上割合は約23.1%である。当連結会計年度において、ITソリューション事業は好調が続くPCの拡販等により、前年同期比で増収増益を達成した。具体的には、売上高は43.74億円(前連結会計年度比16.9%増)、セグメント利益は1.61億円(前連結会計年度比14.4%増)を達成した。この事業は、PC、ソフトウエアを含むDX推進を支援する商品、複合機、ネットワーク関連商品の販売等を主軸としている。中期経営計画「Growth Plan 2027」においては、成長事業と位置付けられ、複合機販売を起点とした提案型ビジネス、PC・セキュリティ対策商品の拡販への注力に加え、当社の強みであるデジタルマーケティングやスキャニングの技術・スキルを活かした高付加価値型のビジネスを展開する方針である。これは、顧客のDX推進を支援し、企業の生産性向上に貢献することで、新たな収益源の確立と事業成長を加速させることを目指している。
ケイティケイ株式会社は、中期経営計画「Growth Plan 2027」において、「顧客基盤の活用と強化」および「事業ポートフォリオの転換」を基本方針として掲げている。基盤事業であるサプライ事業の堅守と、成長事業であるITソリューション事業の拡大を目指し、グループ会社を挙げて重点施策を推進する方針である。この計画には、具体的な事業/資本提携やM&Aに関する直接的な記述はないものの、「グループ会社を挙げて」という表現や「事業ポートフォリオの転換」という戦略は、将来的な事業再編や提携、あるいはM&Aの可能性を示唆している。特にITソリューション事業を成長事業と位置付け、高付加価値型のビジネスを展開する方針は、外部の技術やサービスを取り込むための提携やM&Aを検討する余地があることを示唆している。
2026年8月期の連結業績予想は、売上高193.00億円(前期比2.0%増)、営業利益4.70億円(前期比10.1%増)、経常利益5.50億円(前期比6.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3.50億円(前期比5.4%増)と、引き続き増収増益を見込んでいる。
指標 | 2026年8月期 通期予想 | 2025年8月期 前年実績 | 増減率 |
---|---|---|---|
売上高 | 193.00億円 | 189.27億円 | 2.0% |
営業利益 | 4.70億円 | 4.26億円 | 10.1% |
経常利益 | 5.50億円 | 5.15億円 | 6.7% |
純利益 | 3.50億円 | 3.32億円 | 5.4% |
当連結会計年度末における総資産は93.35億円となり、前連結会計年度末に比べ4.69億円増加した。これは主に流動資産が5.08億円増加したことによるもので、現金及び預金が2.61億円、売掛金が1.87億円それぞれ増加した。一方、固定資産は0.40億円減少した。負債合計は48.57億円となり、前連結会計年度末に比べ2.01億円増加した。流動負債は1.95億円増加し、主に短期借入金が1.16億円、未払法人税等が0.46億円増加した。固定負債は0.06億円増加した。純資産合計は44.78億円となり、前連結会計年度末に比べ2.67億円増加した。これは主に利益剰余金が2.42億円、その他有価証券評価差額金が0.16億円増加したことによる。結果として、自己資本比率は前連結会計年度末の47.5%から48.0%へ改善した。
キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは2.64億円の資金を獲得した。これは税金等調整前当期純利益5.50億円が主な収入要因であり、売上債権の増加2.43億円が主な支出要因である。投資活動によるキャッシュ・フローは0.37億円の資金を獲得した。これは定期預金の払戻による収入1.59億円が主な収入要因であり、定期預金の預入による支出1.11億円が主な支出要因である。財務活動によるキャッシュ・フローは0.06億円の資金を獲得した。これは短期借入による収入1.40億円が主な収入要因であり、長期借入金の返済による支出0.43億円、配当金の支払額0.90億円が主な支出要因である。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は21.97億円となり、前連結会計年度末に比べ3.09億円増加した。
配当
ケイティケイ株式会社の2025年8月期決算は、売上高と経常利益が過去最高を更新し、翌期も増収増益を見込むなど、全体として非常に堅調な業績を示しており、投資家にとってはポジティブな内容である。
経済環境については、物価高騰や各国の通商政策による影響など、依然として不透明な要素が残るものの、同社は中期経営計画「Growth Plan 2027」を策定し、明確な成長戦略を打ち出している。この計画では、「顧客基盤の活用と強化」および「事業ポートフォリオの転換」を基本方針とし、基盤事業であるサプライ事業の堅守と、成長事業であるITソリューション事業の拡大を目指している。
サプライ事業においては、製造直販の強みを活かし、自社ECサイト「YORIDORI」をプラットフォームとした「サステナブルパートナープログラム」の提案活動に注力し、拡販と収益性向上を図る方針である。これは、環境意識の高まりを背景に、リユース製品の需要増加が見込まれる中で、同社の競争優位性を確立し、持続的な成長を支える重要な戦略である。
ITソリューション事業においては、複合機販売を起点とした提案型ビジネス、PC・セキュリティ対策商品の拡販、デジタルマーケティングやスキャニング技術を活かした高付加価値型ビジネスの展開を目指す。DX推進の加速は企業のIT投資を喚起するため、この分野での成長は非常に期待できる。特に、当期もPC拡販が好調であったことから、市場のトレンドを捉えた事業展開が奏功していると言える。
また、サステナビリティへの取り組みを事業活動と経営戦略の中心に据え、重要課題として「環境貢献」「DX」「人材育成・ダイバーシティ」「経営基盤強化」を特定している点も、ESG投資の観点から企業価値向上に寄与すると考えられる。経営環境の変化に迅速に対応し、経営資源の最適な配分を行い、コーポレートガバナンスの強化と持続可能な社会の実現に取り組む姿勢は、長期的な企業価値向上へのコミットメントを示すものであり、投資家にとって安心材料となる。
翌期(2026年8月期)の連結業績予想も増収増益を見込んでおり、事業戦略の着実な実行が期待される。ただし、当期純利益が法人税等の増加により微減した点は、今後の税負担の動向を注視する必要がある。全体としては、明確な成長戦略と堅調な業績、そして積極的な株主還元姿勢を示しており、投資家にとっては引き続き注目すべき企業であると言える。
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