アヲハタ株式会社の2025年11月期第3四半期累計期間の連結業績は、売上高が160.74億円(前年同期比1.3%増)、営業利益が5.38億円(同33.0%増)、経常利益が4.75億円(同4.4%増)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は3.20億円(同△3.6%減)であった。売上高は生産受託の減少があったものの、家庭用ジャム・スプレッドの好調と産業用の貢献により増収を達成した。利益面では、原資材や物流費のコストアップがあったものの、収益構造の改善や不採算商品の見直しにより、営業利益および経常利益は大幅な増益となった。しかし、純利益は減益となった。
財務状態では、総資産は前連結会計年度末から3.99億円増加し175.88億円、純資産は1.11億円増加し137.25億円となった。自己資本比率は78.0%で、前連結会計年度末の79.2%から微減した。
株主還元については、2025年11月期の中間配当は1株あたり10.00円を予定しているが、キユーピー株式会社との株式交換に伴う2025年10月30日付での上場廃止予定により、期末配当は行わない方針である。
全体として、売上高と営業利益の成長はポジティブな要素だが、純利益の減益と、特にキユーピー株式会社との株式交換による上場廃止の決定は、投資家にとって企業の独立性や今後の成長戦略に対する見方を大きく変える重要な発表である。短期的な業績は堅調に推移しているものの、上場廃止という大きな転換点を迎えるため、本決算発表は複雑な評価となる。
当第3四半期連結累計期間における国内経済は、物価上昇による生活費の高止まりや社会保障問題、地政学的リスクの影響などから消費マインドの先行不安が注視される状況であった。このような環境下、アヲハタグループは中期経営計画に基づき「フルーツのアヲハタ」実現に向けた取り組みを進めた。売上高は生産受託の減少があったものの、家庭用ジャム・スプレッドの好調な推移と産業用の貢献により、前年同期比1.3%増の160.74億円となった。利益面では、原資材や物流費のコストアップの影響があったものの、収益構造の改善や不採算商品の見直しにより、営業利益は前年同期比33.0%増の5.38億円、経常利益は同4.4%増の4.75億円と大幅な増益を達成した。しかし、親会社株主に帰属する四半期純利益は同△3.6%減の3.20億円となった。
指標 | 2025年11月期3Q(累計) | 2024年11月期3Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 160.74億円 | 158.63億円 | 1.3% |
営業利益 | 5.38億円 | 4.04億円 | 33.0% |
経常利益 | 4.75億円 | 4.55億円 | 4.4% |
純利益 | 3.20億円 | 3.32億円 | △3.6% |
アヲハタグループは食品事業の単一セグメントで事業を展開しており、全社売上高の100%を占める。当第3四半期連結累計期間において、国内経済は物価上昇による生活費の高止まりや社会保障問題、地政学的リスクの影響などから消費マインドの先行不安が注視される状況が続いた。このような環境下、当社グループは2025年度からの中期経営計画に基づき、「フルーツのアヲハタ」実現に向けた取り組みを進めた。
売上高については、生産受託の減少が影響したものの、家庭用ジャム・スプレッドが好調に推移し、産業用も貢献した結果、売上高は160.74億円(前年同期比1.3%増)となった。利益面では、原資材や物流費などのコストアップの影響はあったものの、収益構造の改善や不採算商品の見直しにより、営業利益は5.38億円(前年同期比33.0%増)、経常利益は4.75億円(前年同期比4.4%増)と大幅な増益を達成した。しかし、親会社株主に帰属する四半期純利益は3.20億円(前年同期比△3.6%減)となった。これは、包括利益が前年同期比で△12.7%減の2.65億円となったことにも関連する。
アヲハタ株式会社は、キユーピー株式会社を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換を実施する予定である。この株式交換に伴い、所定の手続きを経て、2025年10月30日付で上場廃止となる予定である。この決定は、アヲハタ株式会社がキユーピー株式会社の完全子会社となることを意味し、資本構成および経営体制に大きな変更をもたらす。上場廃止により、アヲハタ株式会社の株式は市場で取引されなくなる。
2025年11月期の連結業績予想は、2025年1月9日の決算発表時に公表された内容から変更はなく、据え置きとなった。第3四半期累計期間の実績は、通期予想に対して売上高、営業利益、経常利益、純利益のいずれも高い進捗率を示している。特に営業利益と経常利益、純利益は既に通期予想を上回る進捗となっている。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 210.00億円 | 76.5% |
営業利益 | 4.00億円 | 134.5% |
経常利益 | 4.26億円 | 111.5% |
純利益 | 2.96億円 | 108.1% |
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3.99億円増加し175.88億円となった。資産増加の主な要因は、受取手形及び売掛金の8.06億円増加、投資その他の資産のその他の7.68億円増加、原材料及び貯蔵品の3.42億円増加である。一方で、現金及び預金は14.66億円減少した。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ2.87億円増加し38.62億円となった。負債増加の主な要因は、買掛金の3.06億円増加、1年内返済予定の長期借入金の2.85億円増加、賞与引当金の2.32億円増加である。一方で、長期借入金は5.00億円減少した。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1.11億円増加し137.25億円となった。純資産増加の主な要因は、利益剰余金の1.55億円増加である。自己資本比率は前連結会計年度末の79.2%から78.0%に微減した。
なお、当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。減価償却費(のれんを除く無形固定資産に係る償却費を含む)は、当第3四半期連結累計期間で5.74億円であった。
配当
アヲハタ株式会社の今後の見通しは、短期的な業績の堅調さと、キユーピー株式会社との株式交換による上場廃止という大きな転換点の両面から評価する必要がある。
まず、業績面では、当第3四半期累計期間において売上高は微増ながらも、営業利益と経常利益は大幅な増益を達成しており、収益構造の改善や不採算商品の見直しが奏功している。通期業績予想も据え置きでありながら、第3四半期時点での進捗率は営業利益、経常利益、純利益で既に通期予想を上回っており、通期での業績上振れの可能性を示唆している。これは投資家にとってポジティブな要素であり、経営努力が実を結んでいると評価できる。国内経済の先行不安や消費マインドの動向注視は続くものの、中期経営計画「フルーツのアヲハタ」実現に向けた取り組みが継続されれば、事業基盤の強化に繋がる可能性もある。
しかし、最も重要なのは、キユーピー株式会社との株式交換による2025年10月30日付での上場廃止の予定である。この決定は、アヲハタ株式会社が独立した上場企業としての地位を失い、キユーピー株式会社の完全子会社となることを意味する。既存の株主にとっては、株式交換の条件によって保有株式がキユーピー株式会社の株式に転換されるか、現金対価が支払われることになる。PDF資料には株式交換の具体的な条件が記載されていないため、その詳細が不明な点は不確実性をもたらす。
投資家目線で見ると、上場廃止は一般的にネガティブな要素と捉えられがちである。市場での流動性が失われ、投資機会が限定されるためである。しかし、キユーピーグループの一員となることで、経営資源の共有やシナジー効果が期待でき、長期的な企業価値向上に繋がる可能性も秘めている。例えば、キユーピーグループの調達力や販売網を活用することで、原資材・物流費のコスト削減や販路拡大が実現し、アヲハタの事業成長を加速させることも考えられる。
したがって、今回の決算発表は、短期的な業績の堅調さというポジティブな側面と、上場廃止という企業価値評価の根本的な変化を伴うネガティブな側面が混在している。特に、上場廃止の決定は、今後のアヲハタ株式会社の企業価値がキユーピーグループ全体の中でどのように位置づけられ、どのような戦略が展開されるかに大きく依存するため、投資家はキユーピーグループとしての今後の動向を注視する必要がある。独立企業としての投資判断は、上場廃止によって終了するため、今回の発表はアヲハタ株式会社への投資を検討している既存株主や潜在投資家にとって、最終的な判断を促すものとなる。
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