ファーマライズホールディングス株式会社の令和8年5月期第1四半期連結累計期間の決算は、売上高が前年同期比10.0%増の167.53億円、営業利益が同188.5%増の1.52億円、経常利益が同399.1%増の1.15億円と、大幅な増収増益を達成した。親会社株主に帰属する四半期純利益は△0.18億円の損失となったものの、前年同期の△1.31億円の損失から大幅に縮小し、黒字化に向けて大きく改善した。この業績改善は、主に調剤薬局事業における前連結会計年度のM&Aによる店舗数拡大と調剤売上高の増加、および利益改善、本部業務効率化による販管費率減少が寄与した。特に利益面での回復が顕著であり、投資家にとってはポジティブな進捗と評価できる。株主還元については、年間配当予想は14.00円で据え置きである。
当第1四半期連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比10.0%増の167.53億円、営業利益が同188.5%増の1.52億円、経常利益が同399.1%増の1.15億円と、大幅な増収増益を達成した。親会社株主に帰属する四半期純利益は△0.18億円の損失となったが、前年同期の△1.31億円の損失から大幅に縮小し、黒字化に向けて大きく改善した。これは主に、調剤薬局事業におけるM&Aによる店舗数拡大に伴う売上高の増加、および利益改善、本部業務効率化による販管費率の減少が寄与した結果である。
指標 | 2024年1Q(累計) | 2023年1Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 167.53億円 | 152.31億円 | 10.0% |
営業利益 | 1.52億円 | 0.52億円 | 188.5% |
経常利益 | 1.15億円 | 0.23億円 | 399.1% |
純利益 | △0.18億円 | △1.31億円 | - |
調剤薬局事業が占める全社売上割合は約84.5%である。当第1四半期連結累計期間における調剤薬局事業の業績は、売上高が141.51億円(前年同期比14.0%増)、セグメント利益が2.35億円(同178.1%増)となった。売上高の増加は、令和6年12月の寛一商店株式会社及びそのグループ会社からの事業譲受等のM&Aによる店舗数増加、並びに新規出店による応需処方せん枚数増加が主な要因である。利益面においては、M&Aによってグループ入りした店舗の利益増加、及び前連結会計年度から継続的に取り組んできた施設基準に関する地域支援体制加算等の調剤技術料の増加が主な要因である。前連結会計年度に、調剤薬局事業を核とした事業展開における収益強化策として積極的にM&Aを推進した結果、売上高を伸ばしており、M&A実施後にスピード感を持って当社グループへの統合活動を進めてきたことにより、利益の増加につながっている。薬局運営面では中期経営計画の成長戦略に従い、「待ち時間の短縮等による患者負担の軽減」、サステナビリティ経営におけるマテリアリティKPIである「流通が不安定であっても、必ず患者の手元に医薬品を届ける(医薬品手配100%)」を実践することを患者サービス向上として念頭に置き、成長戦略の中でも「患者中心の薬局運営の継続」として推進している「カフェにゃーまらいず」は、順調に活動の幅を広げている。認知症カフェの発展形として、認知症や介護のことだけでなく、なかなか口に出せない悩みについて気軽に相談や情報交換ができる場として開催されており、今後全国での開催拡大を目指している。「カフェにゃーまらいず」の取り組みは、経済産業省が推進する「オレンジイノベーション・プロジェクト」に調剤薬局業界で初めて採択され、他企業との連携を通じて新たな取り組みへつながり、当社グループの調剤薬局店舗が地域の健康拠点として機能していくことが期待される。当第1四半期連結会計期間末における当社グループが運営する調剤薬局店舗数は、前連結会計年度末から1店舗増加、10店舗減少で392店舗となった。店舗の減少は、前連結会計年度に不採算店舗の閉店を決議し、当連結会計年度に実施したことによるものである。健康サポート薬局は76店舗、地域連携薬局は91店舗、専門医療機関連携薬局は4店舗であり、引き続きそれぞれ増加に努める方針である。
物販事業が占める全社売上割合は約12.4%である。当第1四半期連結累計期間における物販事業の業績は、売上高が20.79億円(前年同期比8.5%減)、セグメント利益は△0.04億円(前年同期は0.17億円の利益)となった。売上高の減少は、前連結会計年度における不採算店舗閉店が主な要因である。利益面においては売上高の減少にともなって減益となったが、コンビニエンスストア部門の本部フィー料率変更による支払手数料増加も要因である。当第1四半期連結会計期間末における調剤を併設しない本セグメントの当社グループが運営する店舗数は、前連結会計年度末から1店舗減少の42店舗(調剤薬局を併設している11店舗を含めると53店舗)である。
医学資料保管・管理事業が占める全社売上割合は約0.9%である。当第1四半期連結累計期間における医学資料保管・管理事業の業績は、売上高が1.57億円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益が0.15億円(同111.9%増)となった。増収増益となった主な要因は、医学資料の保管及び廃棄の売上高が堅調に推移したことに加え、労務費及び支払手数料等の費用を削減できたことによるものである。
医療モール経営事業が占める全社売上割合は約0.8%である。当第1四半期連結累計期間における医療モール経営事業の業績は、売上高が1.28億円(前年同期比0.1%増)、セグメント利益が0.23億円(同26.1%減)となった。売上高は安定的に推移しているが、利益面においては給与水準の引き上げを含めた人件費の増加、医療機器の入れ替え等の設備投資による費用により減益となった。使用している検査機器等の医療機器の入れ替え時期に当たり、当面は設備投資による減価償却費等の増加が見込まれるが、同時にテナントに入っている医療機関に対する事務管理料、医療機器使用料及び賃料の見直しを行うことで利益を維持していく方針である。
その他事業が占める全社売上割合は約1.4%である。当第1四半期連結累計期間におけるその他事業の業績は、売上高が2.35億円(前年同期比7.8%減)、セグメント利益は△0.35億円(前年同期は△0.07億円の損失)となった。売上高の減少は、有料職業紹介・人材派遣事業の案件成約数が一時的に少なかったことが主な要因である。利益面においては、医療関連ITソリューション事業において引き続き新製品の開発にともなう償却費の発生等により、コストが先行していることによるものである。
ファーマライズホールディングス株式会社は、前連結会計年度に調剤薬局事業を核とした事業展開における収益強化策として、積極的にM&Aを推進した。この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高増加は、主に調剤薬局事業における前連結会計年度のM&Aによる店舗数拡大にともなう調剤売上高の増加が主要因である。具体的には、令和6年12月の寛一商店株式会社及びそのグループ会社からの事業譲受等のM&Aによる店舗数増加が挙げられる。M&A実施後もスピード感を持って当社グループへの統合活動を進めており、これが利益の増加にもつながっている。
進行期の全社業績予想は、令和7年6月25日付の決算短信で公表された内容から変更なく据え置きである。第1四半期連結累計期間の実績は、売上高が通期予想に対して25.08%の進捗率と順調に推移している一方で、営業利益は13.53%、経常利益は12.22%と売上高に比べて低い進捗率である。純利益は△6.77%と赤字であり、通期黒字予想に対しては厳しいスタートとなっている。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
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売上高 | 667.95億円 | 25.08% |
営業利益 | 11.23億円 | 13.53% |
経常利益 | 9.41億円 | 12.22% |
純利益 | 2.66億円 | △6.77% |
当第1四半期連結会計期間末における総資産は301.71億円となり、前連結会計年度末比で17.53億円減少した。主な要因は、商品及び製品が48.91億円(8.25億円増)となった一方で、現金及び預金が21.24億円(27.86億円減)となったことである。負債の残高は235.33億円で、前連結会計年度末比14.72億円減少した。これは、買掛金が63.20億円(3.27億円減)、その他(流動負債)が16.48億円(6.71億円減)、長期借入金が104.59億円(5.93億円減)となったことが主な要因である。純資産の残高は66.37億円で、前連結会計年度末比2.80億円減少した。これは主に配当金の支払等により利益剰余金が減少したことによるものである。なお、当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
配当
ファーマライズホールディングス株式会社は、当第1四半期において売上高がM&A効果で堅調に推移し、利益も前年同期の損失から大幅に改善したことは、投資家にとってポジティブな要素である。特に、新たに公表された中期経営計画「Make a Leap 2027 足場を固め、さらなる飛躍へ」は、令和10年5月期に売上高700億円、営業利益16億円、ROIC4.5%を目指すという具体的な目標を掲げており、将来の企業価値向上への期待を高める。調剤薬局事業を基軸とした成長戦略、M&A対応の高度化、既存事業の再構築、持続的な成長への取り組みは、今後の収益拡大と企業体質の強化に寄与すると考えられる。
しかしながら、純利益は依然として赤字であり、通期予想に対する利益の進捗率は売上高に比べて低い水準にある。これは、M&Aに伴う統合費用や、医療モール事業における人件費増加・設備投資、その他事業における新製品開発に伴う償却費など、先行投資やコスト増が影響している可能性が高い。投資家は、今後の四半期でこれらの先行投資が収益に結びつき、利益率の改善と純利益の黒字化を達成できるかに注目するだろう。特に、中期経営計画で掲げた高い目標達成に向けた具体的な施策の実行と、それによる収益性改善の進捗が、今後の株価を左右する重要な要素となる。経済産業省の「オレンジイノベーション・プロジェクト」への参画は、新たな事業機会の創出や地域での存在感向上に繋がり、長期的な企業価値向上に貢献する可能性を秘めているが、その具体的な成果と収益への寄与度を注視する必要がある。全体として、成長戦略の方向性は明確であり、売上高の拡大は期待できるものの、利益面での確実な改善が今後の課題であり、投資家は慎重な姿勢でその進捗を見守るだろう。
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