株式会社カルラの2026年2月期第2四半期(中間期)決算は、売上高が前年同期比5.3%増の39.35億円と堅調に推移したものの、営業利益は同6.1%減の2.64億円、経常利益は同4.1%減の2.62億円、親会社株主に帰属する中間純利益は同14.8%減の2.45億円と減益となった。これは、原材料費、人件費、物流コストの上昇が利益を圧迫したためである。
財務状態では、総資産が前連結会計年度末から5.86億円増加し56.07億円、純資産も2.16億円増加し21.93億円となった。自己資本比率は39.1%とほぼ横ばいを維持している。キャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが3.49億円の収入となり、前年同期の2.83億円の収入から改善した。投資活動によるキャッシュフローは0.98億円の支出、財務活動によるキャッシュフローは1.49億円の収入となった。現金及び現金同等物は4.01億円増加し13.07億円となった。
株主還元については、2026年2月期の期末配当予想は前年と同額の5.00円を据え置いている。
全体として、売上は堅調に推移しているものの、コスト増により利益が圧迫されている状況が示された。しかし、多店舗展開に向けた「仕組化」の推進や販売促進策の強化、インバウンド対応など、将来に向けた戦略的な取り組みは継続しており、中長期的成長への期待は持てる。短期的には利益面で課題があるものの、売上成長と戦略的投資は評価できるため、この決算発表は投資家にとって、売上成長はポジティブだが、利益面ではややネガティブな要素を含む、といった評価になる。
2026年2月期第2四半期累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比5.3%増の39.35億円と堅調に推移した。これは、観光需要の回復や消費者の外食志向の高まりを背景に、外食産業全体が堅調に推移したことに加え、当社グループの積極的な販売促進策や商品展開が寄与した。しかし、原材料費、人件費、物流コストの上昇が利益を圧迫し、営業利益は前年同期比6.1%減の2.64億円、経常利益は同4.1%減の2.62億円、親会社株主に帰属する中間純利益は同14.8%減の2.45億円と減益となった。コスト増を十分に吸収しきれなかったことが主な要因である。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 39.35億円 | 37.38億円 | 5.3% |
営業利益 | 2.64億円 | 2.81億円 | △6.1% |
経常利益 | 2.62億円 | 2.73億円 | △4.1% |
純利益 | 2.45億円 | 2.88億円 | △14.8% |
当社グループの報告セグメントはレストラン事業のみであり、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載は省略する。
当社グループは、中長期的な経営戦略として多店舗展開へ向けた「仕組化」の取り組みを着実に進めている。マニュアルの運用定着や業務プロセスの見直しを通じて、効率的な店舗運営体制の構築を進めている。また、販売強化の一環として、主力業態である「まるまつ」では、株式会社陣中のブランド商品「牛タン」を使用したコラボメニューを継続して展開し、メニュー数を拡充している。さらに、「かつ」業態では平田牧場の「三元豚」を使用したコラボメニューを引き続き展開するなど、ブランド価値の向上に努めている。店頭販売商品についても、「自家製そばつゆ」に加え、顧客要望を受けて「とんかつソース」の販売を開始しており、店内外での商品展開を通じて顧客満足の拡大と収益機会の創出に取り組んでいる。これらの取り組みは、特定の企業との資本提携やM&Aといった大規模な企業構造の変化を伴うものではなく、既存事業の強化と拡大を目的とした事業提携および商品開発の動向である。
2026年2月期の全社業績予想は、2025年4月7日に公表された数値から変更なく据え置きである。売上高は75.00億円、営業利益は3.25億円、経常利益は3.25億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2.90億円を見込んでいる。第2四半期累計期間の実績は、売上高で52.46%、営業利益で81.23%、経常利益で80.61%、純利益で84.48%の進捗率となっている。営業利益、経常利益、純利益は通期予想に対して高い進捗率を示しているが、これは下半期にコスト増が予想されるか、あるいは保守的な予想である可能性が考えられる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 75.00億円 | 52.46% |
営業利益 | 3.25億円 | 81.23% |
経常利益 | 3.25億円 | 80.61% |
純利益 | 2.90億円 | 84.48% |
当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して5.86億円増加し、56.07億円となった。流動資産は5.40億円増加し19.86億円となり、主に現金及び預金が4.01億円、売掛金が0.91億円それぞれ増加したことが要因である。固定資産は0.46億円増加し36.21億円となり、建物及び構築物が0.34億円減少した一方で、工具、器具及び備品が0.86億円増加した。
負債総額は、前連結会計年度末と比較して3.70億円増加し、34.14億円となった。これは主に長期借入金が1.56億円、買掛金が0.70億円、未払費用が0.72億円それぞれ増加したことによる。純資産は2.16億円増加し21.93億円となり、主に配当金の支払いにより利益剰余金が0.28億円減少したものの、親会社株主に帰属する中間純利益が2.45億円増加したことによる。自己資本比率は39.1%と前連結会計年度末の39.4%から微減したものの、健全な水準を維持している。
キャッシュフローの状況では、営業活動によるキャッシュフローは3.49億円の収入となり、前年同期の2.83億円の収入から改善した。これは主に税金等調整前中間純利益の増加2.61億円と減価償却費の計上75百万円の増加が寄与した。投資活動によるキャッシュフローは0.98億円の支出となり、前年同期の0.39億円の支出から増加した。これは主に有形固定資産の取得による支出0.99億円が主因である。財務活動によるキャッシュフローは1.49億円の収入となり、前年同期の8.04億円の支出から大幅に改善した。これは長期借入れによる収入7.00億円に対し、長期借入金の返済が5.21億円であったことによる。結果として、現金及び現金同等物は4.01億円増加し、期末残高は13.07億円となった。
配当
株式会社カルラの2026年2月期第2四半期決算は、売上高の堅調な伸びと、コスト増による利益圧迫という二面性を示した。投資家目線で見ると、売上高が前年同期比5.3%増と成長を維持している点はポジティブな要素である。これは、観光需要の回復や消費者の外食志向の高まりという外部環境に加え、同社が推進するInstagramやX(旧Twitter)、LINEを活用した情報発信、ポスティングや折込チラシの配布といった積極的な販売促進策、さらには「まるまつ」での「牛タン」コラボメニューや「かつ」業態での「三元豚」コラボメニューといった商品展開の強化が奏功していると評価できる。インバウンド対応の強化も、今後の売上成長に寄与する可能性を秘めている。
一方で、営業利益、経常利益、純利益が減益となった点はネガティブな要素である。原材料費、人件費、物流コストの上昇が利益を圧迫しており、このコスト増を吸収しきれていない現状は、収益性の改善が喫緊の課題であることを示唆している。国際情勢の不透明感や円安傾向の継続は、今後もコスト上昇圧力として作用する可能性が高く、この状況が続けば利益率のさらなる悪化も懸念される。
しかし、同社は中長期的な経営戦略として多店舗展開に向けた「仕組化」の取り組みを推進しており、マニュアル運用定着や業務プロセスの見直しを通じて効率的な店舗運営体制の構築を進めている点は評価できる。これは、将来的なコスト構造の改善や生産性向上に繋がる可能性があり、中長期的な企業価値向上への期待を持たせる。また、異物混入問題への対応として店内清掃の徹底や従業員教育を継続していることは、ブランドイメージの維持・向上に不可欠であり、顧客からの信頼獲得に繋がる重要な取り組みである。
通期業績予想に対する進捗率は、営業利益、経常利益、純利益で80%を超える高い水準にあり、売上高も50%を超えている。これは、下半期にコスト増が加速する可能性を織り込んだ保守的な予想であるか、あるいは予想を上回るペースで利益を計上しているかのいずれかを示唆する。もし後者であれば、今後の業績修正の可能性も視野に入れることができるため、投資家にとっては注目すべき点である。
総合的に見ると、株式会社カルラは売上成長を維持しつつも、外部環境によるコスト増に直面している。しかし、効率化や販売促進、商品開発、インバウンド対応といった多角的な戦略的取り組みを継続しており、これらが中長期的な企業価値向上に繋がるかどうかが今後の焦点となる。短期的には利益面での課題が残るものの、経営努力による改善と、市場環境の変化への適応力が問われる局面である。投資家は、今後のコストコントロール能力と、多店舗展開や新商品・サービスによる売上成長の持続性、そしてそれらが利益にどう結びつくかを注視する必要がある。
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