株式会社あみやき亭の2026年3月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高が前年同期比3.1%増の181.36億円と増収を達成した。これは、2025年6月にクーデションカンパニー株式会社の全株式を取得し、新規連結したことによる店舗数増加が寄与した。しかしながら、原材料価格の高騰、人件費・物流費の増加、販促活動費の増加が響き、営業利益は26.9%減の9.86億円、経常利益は25.2%減の10.35億円、親会社株主に帰属する中間純利益は34.0%減の5.40億円と大幅な減益となった。
M&Aによる事業規模拡大は進むものの、コスト増が利益を圧迫する形となり、業績全体としては増収減益という結果になった。投資家目線では、成長戦略としてのM&Aは評価できるものの、収益性の改善が今後の課題として浮上した決算と言える。
配当については、2026年3月期の年間配当金は1株あたり34.00円(中間期末17.00円、期末17.00円)を予想している。これは株式分割を考慮した後の金額であり、実質的な配当水準は維持される見込みである。
2026年3月期第2四半期累計期間の全社業績は、クーデションカンパニー株式会社の新規連結による店舗数増加が寄与し、売上高は前年同期比で増加した。しかし、原材料価格の高騰、人件費・物流費の増加、販促活動費の増加が利益を圧迫し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益はいずれも前年同期を下回る結果となった。特に純利益は34.0%減と大幅な減益を記録し、増収ながらも収益性の悪化が顕著な状況である。
指標 | 2026年3月期2Q(累計) | 2025年3月期2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 181.36億円 | 175.84億円 | 3.1% |
営業利益 | 9.86億円 | 13.48億円 | △26.9% |
経常利益 | 10.35億円 | 13.83億円 | △25.2% |
純利益 | 5.40億円 | 8.19億円 | △34.0% |
焼肉事業の当中間連結会計期間末の店舗数は168店舗である。内訳は「あみやき亭」87店舗、「あみやき亭PLUS」7店舗、「どんどん」6店舗、「ほるたん屋」13店舗、「スエヒロ館」20店舗、「かるび家」1店舗、「ブラックホール」4店舗、「ホルモン青木」8店舗、「ホルモンセンター」他11店舗、「百名山」1店舗、松阪牛焼肉「きらく」1店舗、「チファジャ」9店舗である。当中間連結会計期間の売上高は107.98億円で、前年同期比4.8%減となった。全社売上高に占める割合は約59.5%である。当社グループは「和牛一頭買い」戦略を強化し、リニューアル店舗ではサラダバーの復活や銘柄牛専門店のオープンを実施した。しかし、期首からの原材料等の物価高騰や人手不足による人件費・物流費の高騰が影響し、減収となった。
焼鳥事業の当中間連結会計期間末の店舗数は51店舗である。内訳は「美濃路」36店舗、「みの路」7店舗、「もつしげ」8店舗である。当中間連結会計期間の売上高は19.58億円で、前年同期比4.7%増となった。全社売上高に占める割合は約10.8%である。焼鳥事業は、インバウンド需要の好調や各種販促施策が寄与し、増収を達成した。
レストラン事業の当中間連結会計期間末の店舗数は69店舗である。内訳は「感動の肉と米」51店舗、レストラン「スエヒロ館」14店舗、「グリルスエヒロ館」1店舗、ステーキ「正義」3店舗である。当中間連結会計期間の売上高は46.35億円で、前年同期比28.6%増となった。全社売上高に占める割合は約25.6%である。レストラン事業は、新規出店や既存店の好調な運営が寄与し、大幅な増収を達成した。特に「感動の肉と米」などの業態が好調に推移した。
その他の事業の当中間連結会計期間末の店舗数は24店舗である。内訳は精肉小売店「お肉の工場直売市」1店舗、しゃぶしゃぶ店「しゃぶ亭ふふふ」2店舗、居酒屋「楽市」2店舗、寿司業態の「すしまみれ」2店舗、ダイニング1店舗、「とりとん」他4店舗、ラーメン「たかばし」11店舗、「肉のジャンボ市」1店舗である。当中間連結会計期間の売上高は7.45億円で、前年同期比3.2%減となった。全社売上高に占める割合は約4.1%である。
当社グループは、2025年6月2日にクーデションカンパニー株式会社の全株式を取得し、新規連結した。このM&Aは、当社の未出店地域である関西圏(京都・大阪)への進出と基盤確立を目的としている。クーデションは自社セントラルキッチンを活用した精肉加工機能を有しており、当社グループの業態・ビジネスモデルとの親和性が高い。これにより、食材調達・オペレーションの共通化を通じたシナジー創出を図り、グループ全体の持続的成長と企業価値向上に寄与すると見込んでいる。クーデションの新規連結により、焼肉事業9店舗、レストラン事業3店舗、その他事業12店舗の計24店舗が当社グループに加わった。なお、クーデションのみなし取得日は2025年8月31日であり、当中間期にはその損益は連結業績に含まれていない。
進行期の全社業績予想は修正された。原材料等の物価高騰や人件費・物流費の高騰が継続する厳しい経営環境を考慮し、通期業績予想を下方修正した。第2四半期累計の実績は、修正後の通期予想に対して売上高で約47%、各利益項目で約44〜45%の進捗率となっている。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
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売上高 | 386.00億円 | 47.0% |
営業利益 | 22.00億円 | 44.8% |
経常利益 | 23.00億円 | 45.0% |
純利益 | 12.20億円 | 44.3% |
当中間連結会計期間末の総資産額は287.89億円となり、前連結会計年度末と比較して9.78億円増加した。主な要因は土地の増加である。負債総額は66.45億円となり、前連結会計年度末と比較して7.75億円増加した。主な要因は長期借入金の増加である。純資産額は221.43億円となり、前連結会計年度末と比較して2.02億円増加した。主な要因は利益剰余金の増加である。自己資本比率は76.9%で、前連結会計年度末の78.9%から微減した。
配当
株式会社あみやき亭の今後の見通しは、M&Aによる事業規模拡大と、依然として厳しいコスト環境への対応が焦点となる。今回の第2四半期決算は、クーデションカンパニー株式会社の新規連結により売上高は増加したものの、原材料価格の高騰、人件費・物流費の増加、販促活動費の増加が利益を圧迫し、大幅な減益となった。この状況は、投資家にとってポジティブな側面とネガティブな側面を併せ持つ。
ポジティブな側面としては、M&Aによる成長戦略の着実な実行が挙げられる。クーデションカンパニーの買収は、未出店地域である関西圏への進出と基盤確立、およびセントラルキッチンを活用した精肉加工機能によるシナジー創出を目的としており、長期的な企業価値向上への期待が持てる。特に、クーデションの損益が当中間期には含まれていないため、今後の連結業績への本格的な寄与が期待される。また、リニューアル店舗でのサラダバー復活や銘柄牛専門店のオープンなど、顧客ニーズに応じた施策も継続しており、既存事業の強化も図られている。
一方で、ネガティブな側面としては、コスト増による収益性の悪化が深刻である。通期業績予想が下方修正されたことからも、物価高騰や人手不足といった外部環境の厳しさが今後も続くことが示唆される。特に、外食産業全体が厳しい経営環境にある中で、コストコントロールと価格戦略のバランスが重要となる。増収を達成しながらも利益が大幅に減少している現状は、投資家にとって収益体質の改善が喫緊の課題であることを示している。
今後の見通しとしては、M&Aによる事業拡大効果がコスト増を上回り、収益性の改善に繋がるかが最大の注目点となる。クーデションとのシナジー効果をいかに早期に具現化し、食材調達やオペレーションの効率化を通じてコスト削減を実現できるかが、企業価値向上の鍵を握る。また、和牛一頭買い戦略の強化や販促施策の継続により、顧客基盤を維持・拡大し、売上高の成長を確実なものとすることも重要である。投資家は、M&Aによる成長期待と、コスト増による収益圧迫という二つの要因を慎重に見極めながら、今後の経営戦略の実行状況を注視していくことになる。
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