株式会社サーラコーポレーションの2025年11月期第3四半期連結累計期間の決算は、売上高1,869億円、営業利益60億円、経常利益72億円、親会社株主に帰属する四半期純利益50億円を達成し、前年同期比で大幅な増収増益となった。特に営業利益は31.6%増、経常利益は25.5%増、純利益は26.5%増と、利益面での成長が顕著である。これは、エンジニアリング&メンテナンス事業およびハウジング事業の大幅な増収に加え、エネルギー&ソリューションズ事業の増益が寄与した。また、株式会社安江工務店を連結子会社化したことによる事業領域の拡大も進捗しており、中期経営計画の重点戦略を着実に実行している。カーボンニュートラル推進に向けた取り組みも具体化し、豊橋駅前の複合商業施設「ココラフロント」での再生可能エネルギー利用を開始した。全体として、M&Aによる事業拡大と既存事業の堅調な成長が利益を牽引しており、投資家にとっては非常にポジティブな決算発表であった。
当第3四半期連結累計期間の全社業績は、国内経済の緩やかな回復基調と中東情勢の不透明感が混在する中で、サーラグループが中期経営計画の重点戦略に注力した結果、大幅な増収増益を達成した。特にエンジニアリング&メンテナンス事業とハウジング事業が売上を大きく伸ばし、エネルギー&ソリューションズ事業も利益を押し上げた。M&Aによる連結範囲の拡大も寄与し、グループ全体の収益力が向上した。
指標 | 2025年11月期3Q(累計) | 2024年11月期3Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 1,869億円 | 1,764億円 | 6.0% |
営業利益 | 60億円 | 46億円 | 31.6% |
経常利益 | 72億円 | 57億円 | 25.5% |
純利益 | 50億円 | 39億円 | 26.5% |
エネルギー&ソリューションズ事業の売上高は930億円(前年同期比1.5%増)、営業利益は46億円(前年同期比36.0%増)であった。家庭用および業務用都市ガスの販売量増加が売上高を押し上げ、都市ガスの売上総利益増加とバイオマス発電所の順調な稼働が利益に貢献した。また、販売費及び一般管理費の低減も営業利益の増加に寄与した。デジタル技術を活用した業務変革や次期基幹システムの構築・導入準備を進め、顧客一人ひとりに合わせた質の高いサービス提供を目指している。さらに、静岡県浜松市に系統用蓄電所、愛知県豊橋市に再エネ併設型蓄電所の建設を進めており、2025年10月の稼働開始に向けて最終工程に移行している。これらの取り組みは、カーボンニュートラル推進の一環であり、再生可能エネルギー由来の電気利用やカーボンクレジット・非化石証書の活用を通じて、施設全体のカーボンニュートラル化を達成した。
エンジニアリング&メンテナンス事業の売上高は256億円(前年同期比16.1%増)、営業利益は27億円(前年同期比49.1%増)であった。設備工事、土木、建築、メンテナンスの全部門で受注が好調に推移し、完成工事が増加したことが売上高増加の主要因である。利益面では、完成工事高の増加に加え、各部門におけるプロセス管理の継続的な改善努力が完成工事粗利益の増加につながり、営業利益を大幅に押し上げた。省エネ・創エネ設備やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化に関するソリューション提案を積極的に展開し、新規顧客開拓による取引拡大を推進している。この事業は、グループ全体の収益性向上に大きく貢献している。
ハウジング事業の売上高は310億円(前年同期比28.6%増)、営業利益は2億円(前年同期は営業損失91百万円)であった。住宅販売部門では注文住宅および分譲住宅の販売棟数が減少したものの、住宅部資材加工・販売部門におけるハウスメーカーや工務店など取引先からの受注が増加した。また、当期より株式会社安江工務店の実績が連結に反映されたことも、売上高および営業利益の増加に大きく寄与した。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準に対応した注文住宅商品「SINKA」シリーズの最上位モデルとして、国内最高水準の断熱等性能等級7に対応したフラッグシップ商品「SINKA KIWAMI」を2025年1月に販売開始し、高付加価値住宅の提供を強化している。
カーライフサポート事業の売上高は131億円(前年同期比9.1%増)、営業損失は8億円(前年同期は営業損失270百万円)であった。国内への輸入自動車の入荷回復に伴い、フォルクスワーゲンの新車販売台数が増加したこと、および販売用に仕入れていた中古車の在庫処分を進めたことが売上高増加に寄与した。しかし、利益面では、在庫処分や中古車販売台数の大幅な減少による売上総利益の減少に加え、広告宣伝費などの販売費及び一般管理費が増加したことから、営業損失を計上した。事業構造改革が引き続き課題となっている。
アニマルヘルスケア事業の売上高は178億円(前年同期比7.7%減)、営業損失は3億円(前年同期は営業利益99百万円)であった。畜産部門では動物用医薬品等の受注が堅調に推移したものの、ペット関連部門において仕入先の商流変更により療法食の取扱いがなくなったことや、フード類の受注が大幅に減少したことが、セグメント全体の売上高減少につながった。利益面では、上記の商流変更の影響に加え、事業構造改革に伴う販売費及び一般管理費が増加したため、営業損失を計上した。倉庫業務および配送業務をサーラ物流株式会社に委託し、営業活動から配送業務を分離することで、組織的な営業力の強化に取り組んでいる。
プロパティ事業の売上高は49億円(前年同期比13.2%減)、営業利益は0.6億円(前年同期比22.8%増)であった。前期の期中に完成した分譲マンションの販売戸数が減少したことから、売上高は減少した。利益面では、不動産部門において自社保有資産の売却や買取再販が増加したことに加え、ホスピタリティ部門において宴会や宿泊の利用客数が増加したことが営業利益の増加に寄与した。
株式会社サーラコーポレーションは、新たな成長投資の一環として、住宅リフォーム事業等を展開する株式会社安江工務店に対する株式公開買付け(TOB)を実施し、2024年12月に同社を連結子会社化した。これにより、サーラグループは住まい、暮らしの事業領域のさらなる成長を目指し、顧客基盤の相互活用や組織体制の見直しなど、シナジー発揮のためのプロジェクト運営に着手している。この企業結合により、のれんが918百万円増加した。安江工務店は名古屋・尾張地域を主力エリアとして西日本で事業を展開しており、サーラグループの東三河・浜松地域を主力とする事業との地域補完性が高く、両社一体となった事業拡大を目指す。
進行期の全社業績予想は、2025年4月7日に公表された内容から修正はなく、据え置きである。第3四半期までの累計実績は、売上高、利益ともに堅調に推移しており、特に利益面では高い進捗率を達成している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 2,630億円 | 71.1% |
営業利益 | 72億円 | 84.6% |
経常利益 | 77億円 | 94.3% |
純利益 | 51億円 | 98.7% |
当第3四半期連結会計期間末の総資産は2,090億円となり、前連結会計年度末と比較して67億円増加した。これは主に「現金及び預金」が45億円、「有形固定資産」が30億円、「無形固定資産」が18億円、「商品及び製品」が16億円、「仕掛品」が13億円それぞれ増加したことによる。一方で「受取手形、売掛金及び契約資産」が44億円減少した。負債は1,204億円となり、前連結会計年度末と比較して37億円増加した。これは主に「長期借入金(1年内返済予定を含む)」が81億円、「電子記録債務」が25億円増加したことによる。純資産は885億円となり、前連結会計年度末と比較して29億円増加した。これは「利益剰余金」が27億円増加したことによる。自己資本比率は41.5%で前連結会計年度末と同水準を維持している。
キャッシュフローの状況では、営業活動によるキャッシュフローは113億円の増加となり、前年同期の101億円の増加からさらに改善した。これは主に「売上債権の減少額」89億円、「税金等調整前四半期純利益」71億円、「減価償却費」48億円の増加要因による。投資活動によるキャッシュフローは105億円の減少となり、前年同期の91億円の減少から減少幅が拡大した。これは主に「有形固定資産の取得による支出」84億円、「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」16億円、「無形固定資産の取得による支出」15億円による。財務活動によるキャッシュフローは36億円の増加となり、前年同期の8億円の増加から大幅に改善した。これは主に「長期借入れによる収入」135億円の増加要因による。これらの結果、現金及び現金同等物の四半期末残高は305億円となった。
配当
株式会社サーラコーポレーションの2025年11月期第3四半期決算は、売上高、各利益項目において前年同期を大きく上回る好調な結果となり、投資家にとっては非常にポジティブな内容であった。特に、営業利益が31.6%増、経常利益が25.5%増、純利益が26.5%増と、利益面での成長が顕著であり、収益性の改善が明確に示されている。
通期業績予想は据え置きであるものの、第3四半期までの進捗率は、売上高71.1%、営業利益84.6%、経常利益94.3%、純利益98.7%と、特に利益面で非常に高い水準に達している。この進捗状況から判断すると、通期予想の達成は十分に可能であり、場合によっては上方修正の可能性も期待できる。これは投資家にとって、今後の業績に対する安心感と期待感を高める要因となる。
事業面では、株式会社安江工務店の連結子会社化というM&Aが完了し、住まい・暮らしの事業領域における顧客基盤の相互活用や組織体制の見直しに着手している。これにより、グループ全体の事業規模拡大とシナジー効果の創出が期待され、中長期的な企業価値向上に貢献する見込みである。また、エネルギー&ソリューションズ事業における系統用蓄電所や再エネ併設型蓄電所の建設進捗、カーボンニュートラル推進に向けた具体的な取り組み(ココラフロントでの再生可能エネルギー利用開始)は、環境意識の高まりに対応した持続可能な成長戦略として評価できる。
各セグメントの動向を見ると、エンジニアリング&メンテナンス事業とハウジング事業が売上・利益を大きく牽引しており、特にエンジニアリング&メンテナンス事業の受注好調とプロセス管理改善による利益率向上は、今後の収益基盤の強化を示唆している。一方で、カーライフサポート事業とアニマルヘルスケア事業では営業損失を計上しており、事業構造改革や収益改善に向けた取り組みの進捗が今後の課題となる。
財務状態も健全であり、営業キャッシュフローの改善と長期借入れによる資金調達が、成長投資を支える基盤となっている。配当予想も増配となっており、株主還元への意識も高い。
総合的に見て、今回の決算発表は、既存事業の堅調な成長と戦略的なM&Aによる事業拡大が着実に進展していることを示しており、通期業績予想達成への高い確度と、中長期的な企業価値向上への期待が高まる、非常にポジティブな内容であった。投資家は、今後のM&Aによるシナジー効果の具体化や、新規事業の本格稼働による収益貢献に注目していくことになるだろう。
• 提供されるレポートに誤った情報が含まれる場合があります。正確性や品質を保証するものではないため、決算短信全文を併せてご確認ください。
• 提供されるレポートに投資を推奨するようにも読み取れる内容が含まれる可能性がありますが、当社が投資を推奨するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身の判断で行ってください。
• 決算短信についての訂正の開示があった場合でも、訂正の内容はレポートに反映されませんので、最新の適時開示をご参照ください。また、提供されるレポートの内容は予告なく変更されることがありますのでご注意ください。
• 本レポートにより提供される内容について、当社は、その信頼性、正確性、最新性、完全性、有効性、特定目的への適合性、有用性(有益性)、継続性について保証しません。これらに起因してお客様が何らかの損害を被ったとしても、当該損害につき責任を負わないものとします。
• 提供されるレポートを利用する際は、著作権法、商標法、金融商品取引法などの法令に違反しないようご注意ください。
• 提供されるレポートに関する権利は当社に帰属します。これらの情報を第三者に提供する目的での転用、複製、販売、加工、再利用および再配信は固く禁じます。