くら寿司株式会社は、2025年10月期第3四半期連結累計期間において、売上高1,816億77百万円(前年同期比4.5%増)を達成した。しかし、経常利益は55億71百万円(前年同期比18.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は34億61百万円(前年同期比22.1%減)と減益となった。これは、主に原材料価格や人件費の上昇、為替変動などの影響を受けたためである。
株主還元においては、2025年10月期の期末配当予想を40円から20円に修正した。自己株式取得に関する記載は確認されなかった。
全体として、売上は伸長したものの、利益面ではコスト増の影響が大きく、投資家目線ではややネガティブな決算発表となった。
2025年10月期第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が前年同期比4.5%増の1,816億77百万円となった。これは、国内事業におけるインバウンド需要の拡大や、人気VTuberグループ「にじさんじ」や「ちいかわ」とのコラボキャンペーン、大阪・関西万博会場への出店などが貢献した結果である。また、北米事業においても新規出店や人気キャラクターとのコラボ企画が奏功し、売上高は同18.4%増となった。アジア事業も同様にコラボ企画やフェア展開により売上高は同4.2%増となった。
一方で、営業利益は前年同期比18.4%減の51億89百万円、経常利益は同18.3%減の55億71百万円となった。これは、原材料価格や人件費の上昇、円安による仕入コストの増加などが主な要因である。親会社株主に帰属する四半期純利益も同22.1%減の34億61百万円となった。
連結財政状態においては、資産合計は1,534億4百万円となり、前連結会計年度末と比較して139億58百万円増加した。これは、主に売掛金、有形固定資産、投資有価証券の増加によるものである。負債合計は684億43百万円となり、前連結会計年度末と比較して19億43百万円増加した。純資産合計は849億61百万円となり、前連結会計年度末と比較して120億14百万円増加した。自己資本比率は40.4%となった。
指標 | 2025年10月期(累計) | 2024年10月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 181,677億円 | 173,893億円 | 4.5% |
営業利益 | 5,189億円 | 6,362億円 | △18.4% |
経常利益 | 5,571億円 | 6,817億円 | △18.3% |
純利益 | 3,461億円 | 4,441億円 | △22.1% |
日本事業は、全社売上高の約7割を占める主要セグメントである。当第3四半期連結累計期間においては、インバウンド需要の回復や、人気VTuberグループ「にじさんじ」や「ちいかわ」とのコラボレーションキャンペーンが奏功し、売上高は堅調に推移した。特に、「ちいかわ」とのコラボは社会現象とも言えるほどの話題となり、多くの新規顧客を獲得した。また、大阪・関西万博会場内に過去最大規模の店舗「大阪・関西万博店」をオープンし、国内外から多くの来客があった。さらに、プレミアム回転寿司ブランド「無添蔵」の関東エリア初出店となる「無添蔵 中目黒店」もオープンし、都市部での展開を強化している。原材料価格や人件費の上昇といったコスト増の影響はあったものの、魅力的な商品開発やプロモーションにより、売上高の伸長に繋がった。
北米事業は、Kura Sushi USA, Inc.が運営しており、積極的な新規出店と人気キャラクターとのコラボレーションにより売上高は順調に推移した。当第3四半期連結累計期間においては、アリゾナ州、ワシントン州、テキサス州に新規出店し、店舗網を拡大した。また、新予約システムの導入により顧客利便性の向上にも努めた。売上高は前年同期比18.4%増となったが、経常損失は5億96百万円となった。これは、新規出店に伴う初期投資や、為替の影響などが要因として考えられる。
アジア事業は、台湾子会社である亞洲藏壽司股份有限公司が運営している。日本でも人気の「SPY×FAMILY」や「サンリオ」とのコラボ企画、および「こどもの日」や「母の日」に合わせたフェアなどを積極的に展開し、販売促進に努めた。2024年11月には新北市に新たな店舗を出店した。売上高は前年同期比4.2%増、経常利益は5億58百万円と増益となった。
事業/資本提携・M&Aに関する具体的な記載は確認されなかった。
該当する四半期決算発表が1Q or 2Q or 3Qの決算発表だったため、このセクションを記載する。
2025年10月期の通期業績予想は、売上高2,430億円(前期比3.4%増)、経常利益50億円(前期比12.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益34億円(前期比5.4%増)となっている。第3四半期累計時点での進捗率は、売上高が約74.7%、経常利益が約107.1%、親会社株主に帰属する当期純利益が約101.8%である。経常利益の進捗率が100%を超えているのは、第3四半期までの利益が予想を上回ったこと、あるいは通期予想が保守的に設定されている可能性が考えられる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 243,000億円 | 74.7% |
経常利益 | 5,000億円 | 107.1% |
純利益 | 3,400億円 | 101.8% |
該当する四半期決算発表が4Qの決算発表(通期決算発表)ではなかったため、このセクションは削除する。
当第3四半期連結会計期間末の資産総額は1,534億4百万円となり、前連結会計年度末と比較して139億58百万円増加した。これは、主に売掛金(25億27百万円増)、有形固定資産(54億94百万円増)、投資有価証券(46億80百万円増)の増加によるものである。負債合計は684億43百万円となり、前連結会計年度末と比較して19億43百万円増加した。これは、主に固定負債のリース債務(25億18百万円増)が増加した一方、未払法人税等(9億51百万円減)が減少したことによる。純資産合計は849億61百万円となり、前連結会計年度末と比較して120億14百万円増加した。これは、連結子会社の増資等に伴う資本剰余金(35億88百万円増)や、非支配株主持分(59億56百万円増)の増加によるものである。
キャッシュフローに関する詳細な記載は確認されなかったが、減価償却費は7,360百万円であった。
くら寿司株式会社は、第3四半期連結累計期間において売上高を伸ばしたものの、コスト増の影響により利益面では減益となりました。この結果は、投資家にとって、売上成長の持続性に対する期待と、コスト管理の重要性という二つの側面から評価されるでしょう。
国内事業においては、インバウンド需要の回復や、大阪・関西万博への出店、人気キャラクターとのコラボレーションなど、話題性のある取り組みが継続的に行われており、今後の集客力維持・向上に繋がる可能性があります。特に、大阪・関西万博店での経験や、プレミアムブランド「無添蔵」の展開は、新たな顧客層の獲得や既存顧客の満足度向上に寄与することが期待されます。
北米事業においては、新規出店が順調に進んでおり、売上高の伸長が見られます。しかし、利益面での課題は依然として残っており、今後の収益性改善が注目されます。人気キャラクターとのコラボレーションは、北米市場でのブランド認知度向上に貢献するでしょう。
アジア事業も堅調な推移を示しており、今後の成長が期待されます。
通期業績予想においては、売上高は前期比増を見込んでいるものの、経常利益は減益予想となっています。これは、原材料価格や人件費の上昇といった外部環境の変化が、引き続き業績に影響を与えることを示唆しています。投資家としては、これらのコスト増に対して、同社がどのように価格戦略やコスト削減策を講じていくのか、その実行力と効果を注視する必要があります。
また、自己株式取得や株主優待に関する具体的な発表がなかった点は、株主還元への積極性という観点からはやや物足りなさを感じるかもしれません。配当予想の修正も、利益の伸び悩みを反映したものと捉えられます。
総じて、くら寿司は成長戦略を着実に実行し、売上を伸ばす力は持っています。しかし、収益性の改善、特にコスト管理能力の向上が、今後の企業価値向上における最重要課題となるでしょう。投資家目線では、これらの課題に対する同社の具体的な取り組みと、その成果を今後の決算で確認していくことが重要です。
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