タビオ株式会社の2026年2月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高が前年同期比で微減となったものの、利益面では大幅な増益を達成した。売上高は79.37億円(前年同期比△0.3%減)とほぼ横ばいで推移したが、営業利益は3.53億円(同15.4%増)、経常利益は3.71億円(同18.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は2.66億円(同48.6%増)と、いずれも二桁増益を記録した。これは、国内EC事業や海外事業、スポーツ卸事業の堅調な推移に加え、収益体質の改善努力が奏功した結果と評価できる。特に、国内EC事業におけるヒット商品のシリーズ化や販売促進活動、海外事業における現地生産比率向上によるコスト効率化が利益を押し上げた。全体として、売上は微減ながらも利益が大きく改善したため、投資家にとってはポジティブな決算発表であったと判断できる。株主還元については、2026年2月期の年間配当予想は期末30.00円、合計30.00円で据え置きとなっている。
2026年2月期第2四半期累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比でわずかに減少したものの、利益は大幅な増益を達成した。国内専門店事業の売上は減少したが、国内EC事業、海外事業、スポーツ卸事業が堅調に推移し、全社売上高は前年同期とほぼ同水準を維持した。利益面では、収益体質改善への取り組みが奏功し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益のいずれも二桁の増益を記録し、特に中間純利益は前年同期比で約5割増加した。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 79.37億円 | 79.61億円 | △0.3% |
営業利益 | 3.53億円 | 3.06億円 | 15.4% |
経常利益 | 3.71億円 | 3.13億円 | 18.3% |
純利益 | 2.66億円 | 1.79億円 | 48.6% |
国内専門店事業は全社売上高の約75.32%を占める。当中間連結会計期間における国内専門店事業の売上高は59.78億円で、前年同期比1.4%減となった。物価高による消費抑制やインバウンド需要の都心偏在により、地方や郊外の店舗では依然として厳しい事業環境が続いている。このような状況下で、一部店舗では自動発注システムのテスト運用を開始し、発注体制の属人化解消に効果を確認した。また、株式会社ナイガイのディストリビューションブランド「エンポリオアルマーニ」の取り扱いをタビオ店舗およびECサイトで開始し、新たな販路開拓を進めている。既存商品の新販路展開や新ブランドと新規販路の組み合わせといった挑戦的な取り組みを通じて、収益基盤の強化と中長期的な成長ポテンシャルの確立を目指している。
国内EC事業は全社売上高の約12.41%を占める。当中間連結会計期間における国内EC事業の売上高は9.85億円で、前年同期比1.0%増と堅調に推移した。フットボール商品の供給減があったものの、ヒット商品である「足ベール」のシリーズ化を推進し、インフルエンサーを起用した販売促進活動を積極的に展開した。EC本店サイトでは、配送コストや広告宣伝費の見直しを行い、収益体質の改善に努めた。これらの取り組みが奏功し、売上増に貢献している。EC販売はTmallやREDを中心に順調に推移しており、現地需要に即した商品供給体制の構築も進めている。
海外事業は全社売上高の約7.01%を占める。当中間連結会計期間における海外事業の売上高は5.56億円で、前年同期比3.1%増と成長を継続した。中国市場において、株式会社ナイガイを含む現地生産パートナーとの協業により、現地生産比率を高めることで輸送リードタイムの短縮やコスト効率化を実現した。これにより、コスト効率化と迅速な商品供給が可能となり、海外市場での競争力強化に繋がっている。EC販売も順調に推移しており、海外市場での事業拡大が着実に進んでいる。
スポーツ卸事業は全社売上高の約5.25%を占める。当中間連結会計期間におけるスポーツ卸事業の売上高は4.17億円で、前年同期比9.1%増と好調に推移した。主力であるランニング商品とフットボール商品の価格改定を実施し、国内売上は堅調に推移した。フットボール商品については、生産工程での人員不足による供給減が影響したが、ランニング商品は価格改定により売上が増加した。このセグメントは、価格戦略の見直しと主力商品の堅調な需要に支えられ、成長を続けている。
当中間連結会計期間において、投資活動によるキャッシュ・フローでは、子会社設立による支出が1.00億円発生した。これは、新たな事業展開や既存事業の強化を目的とした戦略的な投資の一環と見られる。この子会社設立は、将来的な事業拡大や収益源の多様化に繋がる可能性がある。
2026年2月期の通期連結業績予想は、2025年4月8日に公表された業績予想から修正されていない。第2四半期累計の実績は、売上高で通期予想の約46.4%、営業利益で約44.0%、経常利益で約45.9%、親会社株主に帰属する当期純利益で約54.2%の進捗率となっている。売上高と利益の進捗率に乖離が見られるが、これは主力商品である防寒機能を有する靴下の特性上、下半期(9月~2月)に販売が集中する傾向があるため、現時点での利益進捗率の高さはポジティブな兆候と捉えられる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 171.22億円 | 46.4% |
営業利益 | 8.03億円 | 44.0% |
経常利益 | 8.09億円 | 45.9% |
純利益 | 4.91億円 | 54.2% |
当中間連結会計期間末における総資産は84.88億円となり、前連結会計年度末と比べて0.33億円減少した。これは主に現金及び預金の減少と退職給付に係る資産の減少による。負債は35.69億円となり、前連結会計年度末と比べて1.21億円減少した。電子記録債務や長期借入金の減少が主な要因である。純資産は49.19億円となり、粗利の改善による利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末と比べて0.88億円増加した。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末の56.7%から58.0%に増加し、財務の健全性が向上した。
キャッシュフローの状況では、営業活動によるキャッシュ・フローは1.35億円のプラスとなった。これは税金等調整前中間純利益の計上によるものであるが、売上債権の増加が一部相殺した。投資活動によるキャッシュ・フローは△2.49億円のマイナスとなり、子会社設立による支出や有形固定資産の取得が主な要因である。財務活動によるキャッシュ・フローは△3.86億円のマイナスとなり、配当金の支払いや長期借入金の返済が影響した。結果として、現金及び現金同等物の中間期末残高は15.60億円となった。
配当
タビオ株式会社の2026年2月期第2四半期決算は、売上高の微減にもかかわらず、利益面で大幅な改善を見せたため、投資家にとってはポジティブな内容と評価できる。特に、国内EC事業や海外事業、スポーツ卸事業の成長が継続している点は、今後の収益拡大への期待を高める。国内専門店事業は依然として厳しい環境にあるものの、自動発注システムの導入や新ブランドの取り扱い開始など、収益基盤強化に向けた取り組みを進めている点は評価できる。
通期業績予想は据え置きだが、第2四半期累計での純利益進捗率が54.2%と高い水準にあることは、下半期に販売が集中する主力商品の特性を考慮すると、通期目標達成への期待が高まる。利益率改善の取り組みが奏功していることから、今後も収益性の向上が期待される。
財務状態も自己資本比率が58.0%に改善しており、健全性が維持されている。投資活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっているが、子会社設立など将来の成長に向けた戦略的な投資であるため、長期的な企業価値向上に繋がる可能性がある。
しかし、国内の消費環境は物価高による節約志向が続き、地方や郊外の店舗では需要回復が遅れている点には注意が必要である。また、フットボール商品の供給減といった生産面での課題も残る。これらの課題に対し、引き続き効率的なサプライチェーン構築や商品供給体制の強化が求められる。
全体として、タビオは厳しい市場環境下でも、事業構造改革と収益性改善を着実に進めている。下半期の販売集中期に向けて、主力商品の需要喚起と効率的な運営が継続できれば、通期業績予想の上振れや、さらなる企業価値向上に繋がる可能性を秘めている。投資家としては、下半期の販売動向と、各事業セグメントにおける具体的な成長戦略の進捗に注目する必要がある。
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