イーサポートリンク株式会社の2025年11月期第3四半期連結累計期間の決算は、売上高が前年同期比18.3%増の47.42億円と堅調に推移したものの、営業利益は0.52億円(前年同期比56.5%減)、経常利益は0.68億円(同49.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は0.11億円(同82.9%減)と大幅な減益となった。これは、新規連結子会社の増加やのれんの発生、事業構造改革に伴う費用増加が主な要因と推測される。特に、オペレーション支援事業は売上・利益ともに増加したが、農業支援事業がセグメント損失を計上し、全社利益を圧迫した。通期業績予想に対する進捗率は売上高で約76%と順調だが、利益面では営業利益が約28%、純利益が約9%と低調であり、今後の巻き返しが課題となる。配当予想は期末5.00円で据え置き、株主還元への意欲は維持している。全体として、売上成長は評価できるものの、利益面での大幅な落ち込みは投資家にとってネガティブな印象を与える決算であった。
2025年11月期第3四半期連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比18.3%増の47.42億円と大幅な増収を達成した。これは、オペレーション支援事業および農業支援事業の両セグメントにおける取扱高の伸長が寄与した。しかしながら、営業利益は0.52億円(前年同期比56.5%減)、経常利益は0.68億円(同49.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は0.11億円(同82.9%減)と、利益面では大幅な減益となった。この減益は、新規連結子会社の増加に伴う費用増や、事業構造改革に関連する投資、のれん償却費の増加などが影響したとみられる。特に、農業支援事業がセグメント損失を計上したことが、全社利益を大きく押し下げる要因となった。
指標 | 2025年11月期3Q(累計) | 2024年11月期3Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 47.42億円 | 40.08億円 | 18.3% |
営業利益 | 0.52億円 | 1.21億円 | △56.5% |
経常利益 | 0.68億円 | 1.34億円 | △49.5% |
純利益 | 0.11億円 | 0.67億円 | △82.9% |
オペレーション支援事業は全社売上高の約63.1%を占める。当第3四半期連結累計期間において、売上高は29.91億円(前年同期比11.8%増)、セグメント利益は9.46億円(同4.2%増)と、売上・利益ともに堅調に推移した。この事業では、「輸入青果物サプライチェーン事業」において新規受託業務の受け入れ安定化と業務受託体制の構築を進め、新規顧客獲得と受託業務の拡大に注力した。「生鮮MDシステム事業」では、新規顧客および大手量販店グループ企業への導入を推進し、既存顧客のシステム利用範囲の拡大やデータ連携構築により利便性向上を図った。「青果売場構築支援事業」では、同業からの事業譲受後の業務統合作業が完了し、バックオフィス業務の効率化と安定的な運営体制を構築した。「地場野菜の調達支援サービス『es-Marché』」は、新規顧客獲得に向けた営業強化と効率的なサービス運営体制の構築に取り組んだ。新規小売量販店への導入は一部遅れがあるものの、既存導入先の売上増加に伴い、サービス取扱高は堅調に推移している。また、青果売場構築支援事業に関して、のれんが3.00億円発生しており、事業拡大への積極的な投資姿勢がうかがえる。
農業支援事業は全社売上高の約36.9%を占める。当第3四半期連結累計期間において、売上高は17.51億円(前年同期比31.5%増)と大幅な増収を達成したが、セグメント損失は△1.57億円(前年同期は△0.73億円の損失)と損失幅が拡大した。この事業では、「りんご・国産青果物販売事業」において、令和6年産のりんご集荷数量不足に対応し、次年度産の集荷に向けた生産者との関係強化や自社農園整備を進めた。主要取扱商材であるさつまいもは調達・販売強化により取扱高が大きく伸長し、利益率の高い商材の販売に注力した。また、「有機農産物販売事業」では、国産・輸入ともに取扱高を伸ばしたが、一部の国産商材は産地における天候等の影響を受け、調達力の強化に取り組んだ。中間連結会計期間より、従来の「農業支援事業」に含めていた国産野菜向けのオペレーションシステムの提供および業務受託、販売事業を「オペレーション支援事業」に含める組織変更を実施しており、これにより前年同期比較は変更後のセグメント区分に基づき組替えた数値で行われている。損失拡大は、事業拡大に向けた先行投資や、新規連結子会社の費用などが影響している可能性がある。
当第3四半期連結累計期間において、連結範囲に重要な変更があった。前連結会計年度において非連結子会社であった株式会社シェアガーデン、株式会社農業支援、オーガニックファームつくばの風有限会社の3社が、重要性が増したため、第1四半期連結会計期間より連結の範囲に含められた。これにより、事業基盤の強化と事業領域の拡大が図られている。特に、オペレーション支援事業においては、青果売場構築支援事業に関して3.00億円ののれんが発生しており、これはM&Aまたは事業譲受に伴うもので、当該事業の拡大と強化を目的とした積極的な投資が行われたことを示唆する。これらの動向は、同社グループが既存事業の収益基盤維持・強化に加え、生鮮分野における社会課題解決と持続可能な流通への貢献を目指し、「小商圏」「地域活性化」を軸としたビジネス展開を加速させる戦略の一環である。
2025年11月期の全社業績予想は、2025年1月14日に公表された内容から修正はなく、据え置きとなった。第3四半期連結累計期間の実績は、通期予想に対して売上高で約76%の進捗率を示しており、売上高は順調に推移している。しかし、営業利益の進捗率は約28%、経常利益は約39%、純利益は約9%と、利益面での進捗は大幅に遅れている。これは、新規連結子会社の増加に伴う費用増や、事業構造改革に関連する投資、のれん償却費の増加などが影響し、利益が計画を下回っているためである。通期目標達成には、第4四半期における大幅な利益改善が不可欠となる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
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売上高 | 62.52億円 | 75.85% |
営業利益 | 1.89億円 | 27.51% |
経常利益 | 1.75億円 | 38.86% |
純利益 | 1.22億円 | 9.02% |
当第3四半期連結会計期間末における総資産は58.60億円となり、前連結会計年度末と比べて4.16億円増加した。これは主に、流動資産の売掛金が6.29億円増加したこと、および固定資産ののれんが2.55億円増加したことによる。のれんの増加は、新規連結子会社の取得に関連するものとみられる。負債合計は22.97億円となり、前連結会計年度末と比べて3.82億円増加した。流動負債では買掛金が1.94億円増加し、固定負債では長期借入金が0.37億円増加した。純資産は35.63億円となり、前連結会計年度末と比べて0.34億円増加した。自己資本比率は60.8%であり、前連結会計年度末の64.8%から4.0ポイント低下した。これは、利益剰余金が配当により減少した一方で、その他有価証券評価差額金が時価上昇により増加したことなどが影響している。なお、当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないが、減価償却費は1.53億円、のれん償却額は0.45億円であった。
配当
イーサポートリンク株式会社の今後の見通しは、売上高の成長性と利益率の改善が投資家にとっての主要な焦点となる。当第3四半期連結累計期間は売上高が堅調に増加したものの、利益面では大幅な減益を計上しており、通期業績予想に対する利益の進捗率は極めて低い水準にある。これは、新規連結子会社の増加や事業構造改革に伴う先行投資、のれん償却費の増加が主な要因とみられる。
ポジティブな側面としては、同社グループが生鮮分野における社会課題解決と持続可能な流通への貢献を目指し、「小商圏」「地域活性化」を軸としたビジネス展開に注力している点が挙げられる。オペレーション支援事業は売上・利益ともに成長を続けており、特に新規顧客獲得やシステム導入の推進、業務効率化への取り組みは、今後の収益基盤強化に寄与する可能性が高い。また、青果売場構築支援事業におけるのれん発生は、M&Aを通じた事業拡大への積極的な姿勢を示しており、将来的な企業価値向上への期待を抱かせる。
しかし、農業支援事業のセグメント損失拡大は懸念材料である。売上高は増加しているものの、利益が伴っていない状況は、事業の収益性改善が急務であることを示唆する。天候不順や産地の状況に左右されやすい事業特性に加え、先行投資が利益を圧迫している可能性があり、効率的な事業運営とコスト管理の徹底が求められる。
投資家目線では、売上高の成長は評価できるものの、利益の進捗率の低さはネガティブな要素である。通期業績予想の据え置きは、第4四半期での大幅な利益改善を見込んでいることを意味するが、その実現可能性には不透明感が残る。新規連結子会社の統合効果や事業構造改革の成果が、今後いかに利益に結びつくかが重要となる。短期的な利益改善に加え、中長期的な視点での事業ポートフォリオの最適化や、シナジー効果の最大化に向けた具体的な戦略の実行が、企業価値向上への鍵となるだろう。配当予想の維持は株主還元への意識を示すが、利益の低迷が続けば、今後の配当政策にも影響を及ぼす可能性があり、投資家は今後の利益動向を注視する必要がある。
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