北恵株式会社の2025年11月期第3四半期累計期間の決算は、売上高が前年同期比1.6%減の441億32百万円、営業利益が同26.3%減の5億円、経常利益が同19.9%減の6億50百万円、純利益が同22.2%減の3億95百万円となり、減収減益で着地した。国内経済は緩やかな回復基調にあるものの、資源・原材料価格の高止まりや物価上昇、為替・金利変動など不透明な状況が続いている。特に住宅関連業界では、建築資材価格の高騰や住宅ローン金利の上昇により、住宅取得マインドが低下し、新設着工戸数も減少傾向にある厳しい事業環境が影響した。このような状況下で、同社は既存得意先との関係強化や非住宅市場、リフォーム・リノベーション市場での販路拡大、環境配慮型商品の拡販、工事機能の拡充に取り組んだ。通期業績予想は修正されており、売上高、各利益ともに前期比で減少を見込んでいる。株主還元については、2025年11月期の年間配当金は期末配当28円の合計28円を予想しており、前年実績と同額を維持する方針である。全体として、厳しい市場環境の中で業績は低調に推移しており、投資家にとってはネガティブな内容と評価できる。
2025年11月期第3四半期累計期間の全社業績は、厳しい事業環境の影響を受け、売上高、各利益ともに前年同期を下回った。国内経済の不透明感に加え、住宅関連業界における建築資材価格の高騰や住宅取得マインドの低下が直接的な要因となり、減収減益を余儀なくされた。特に営業利益は26.3%減と大きく落ち込み、収益性の悪化が顕著である。
指標 | 2025年11月期3Q(累計) | 2024年11月期3Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 441億円 | 448億円 | △1.6% |
営業利益 | 5億円 | 6億円 | △26.3% |
経常利益 | 6億円 | 8億円 | △19.9% |
純利益 | 3億円 | 5億円 | △22.2% |
北恵株式会社は、木材店、建材店、工務店、住宅会社等に対する新建材、住宅設備機器等の建材販売事業(施工付販売含む)並びにこれらの付帯業務を単一事業としており、開示対象となるセグメントは存在しないため、セグメント情報の記載は省略する。
2025年11月期の全社業績予想は、2025年10月2日に公表された「通期業績予想の修正に関するお知らせ」のとおり修正された。売上高、各利益ともに前期比で減少を見込む。第3四半期累計の実績に対する通期予想の進捗率は、売上高が73.55%、営業利益が71.43%、経常利益が70.65%、純利益が71.82%となっている。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 600億円 | 73.55% |
営業利益 | 7億円 | 71.43% |
経常利益 | 9億円 | 70.65% |
純利益 | 5億円 | 71.82% |
当第3四半期会計期間末における総資産は263億85百万円となり、前事業年度末に比べて26億97百万円減少した。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が19億67百万円、現金及び預金が5億4百万円減少したことによる。負債は124億75百万円となり、前事業年度末から28億58百万円減少した。これは主に、支払手形及び買掛金が23億27百万円減少したことによる。純資産は139億10百万円となり、前事業年度末に比べて1億61百万円増加した。これは主に利益剰余金が1億35百万円増加したことによる。自己資本比率は前事業年度末の47.3%から52.7%へ改善した。キャッシュフロー計算書は作成されていないが、当第3四半期累計期間の減価償却費は0.89億円であった。
配当
北恵株式会社の今後の見通しは、現在の厳しい事業環境を考慮すると、投資家にとっては慎重な評価が必要となる。国内経済は緩やかな回復基調にあるものの、資源・原材料価格の高止まり、物価上昇、為替・金利の変動といった不透明要因が継続しており、これが同社の主要市場である住宅関連業界に引き続き影響を与える可能性が高い。
特に、住宅関連業界では、建築資材価格の高騰や住宅ローン金利の上昇が住宅取得マインドを低下させ、新設着工戸数の減少傾向が続いている。政府の政策による下支えはあるものの、建築基準法・省エネ基準改正に伴う駆け込み需要の反動や建築確認申請の長期化といった構造的な課題も抱えている。このような状況下で、同社が通期業績予想を下方修正したことは、現在の市場環境の厳しさを反映している。売上高、営業利益、経常利益、純利益のいずれも前期比で減少を見込んでおり、収益性の改善には時間を要する可能性が高い。
同社は、既存得意先との関係強化に加え、商業施設や文教施設などの非住宅市場、リフォーム・リノベーション市場での販路拡大、新規取引先の開拓に注力している。また、太陽光発電システムや蓄電池などの環境配慮型商品の拡販、工事機能の拡充による工事売上・工事領域の拡大も図っている。これらの取り組みは、中長期的な成長戦略として評価できるが、短期的には市場全体の低迷を補うほどのインパクトを与えるには至っていない。
財務状態については、総資産の減少と自己資本比率の改善が見られるものの、これは主に受取手形や売掛金、現金預金の減少、および支払手形や買掛金の減少によるものであり、事業規模の縮小に伴うバランスシートの圧縮という側面も考えられる。純資産の増加は利益剰余金の増加によるものであり、一定の内部留保は確保されている。
株主還元については、年間配当金を前年と同額の28円で維持する予想であり、厳しい業績の中でも株主への還元姿勢を維持しようとする意図がうかがえる。しかし、業績の低迷が続けば、将来的な配当維持能力に懸念が生じる可能性もある。
総合的に見ると、同社の第3四半期決算は、現在の市場環境の厳しさを明確に示しており、通期業績予想の修正もこれを裏付けている。同社が取り組む事業戦略は正しい方向性であると考えられるが、その効果が業績に反映されるまでには時間を要するだろう。投資家にとっては、現在の業績低迷と市場環境の不透明感を考慮し、今後の事業戦略の進捗と市場環境の変化を注意深く見守る必要がある。短期的にはネガティブな要素が強く、企業価値の大きな上昇は期待しにくい状況にあると言える。
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