アークランズ株式会社の2026年2月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高が前年同期比7.3%増の1,707.52億円と増収を達成したものの、営業利益は同12.8%減の88.78億円、経常利益は同13.8%減の87.60億円、親会社株主に帰属する中間純利益は同9.5%減の56.80億円と減益となった。小売事業におけるM&A効果や外食事業の好調が売上を牽引したが、新規出店コストや人件費、水道光熱費の増加が利益を圧迫した形である。特に、ペッツファーストホールディングス株式会社の完全子会社化や株式会社フレッシュハウスの完全子会社化が売上高の増加に大きく貢献した。一方で、既存店売上高は月によって変動があり、特に8月は特需の反動減で苦戦した。通期業績予想は据え置きであり、第2四半期時点での進捗率は売上高51.0%、営業利益46.0%となっている。この決算発表は、M&Aによる成長戦略は進展しているものの、既存事業の収益性改善やコストコントロールが課題として浮上しており、投資家にとってはややネガティブな内容と評価できる。
アークランズ株式会社の2026年2月期第2四半期累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比で増加した一方で、各利益項目は減少した。これは、M&Aによる連結範囲の拡大が売上高を押し上げたものの、新規出店に伴う費用や人件費、水道光熱費などのコスト増が利益を圧迫したためである。特に、小売事業における既存店売上高の伸び悩みや、外食事業における原材料価格の高騰も利益減少の一因となった。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 1,707.52億円 | 1,591.53億円 | +7.3% |
売上総利益 | 651.23億円 | 599.66億円 | +8.6% |
営業利益 | 88.78億円 | 101.78億円 | △12.8% |
経常利益 | 87.60億円 | 101.66億円 | △13.8% |
純利益 | 56.80億円 | 62.78億円 | △9.5% |
小売事業は全社売上高の77.9%を占める主要セグメントである。当四半期累計の売上高は1,392.35億円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益は42.02億円(同14.6%減)となった。ホームセンター部門では、家庭用品およびカー・レジャー用品が堅調に推移した一方、建築関連資材・用品およびDIY関連は伸び悩んだ。リフォームサービスは株式会社フレッシュハウスの完全子会社化により売上高が前年同期比60.3%増と大幅に伸長した。また、ペット事業もペッツファーストホールディングス株式会社の完全子会社化により売上高が前年同期比32.0%増となった。店舗展開では、ホームセンタームサシ新発田店、スーパービバホーム茨木目垣店、ホームセンタームサシ須坂店を新規出店し、前期末から3店舗増加し142店舗体制となった。売上総利益率は改善したものの、新規出店コスト、人件費単価、水道光熱費の増加が利益を圧迫した。既存店売上高は、6月が99.2%、7月が101.6%、8月が96.0%と推移し、特に8月は前年の防災用品特需の反動減が影響し苦戦した。
卸売事業は全社売上高の1.1%を占める。当四半期累計の売上高は20.64億円(前年同期比12.7%減)、セグメント利益は2.36億円(同32.5%増)となった。売上高は減少したものの、利益は増加しており、収益性の改善が見られる。
外食事業は全社売上高の16.6%を占める。当四半期累計の売上高は296.21億円(前年同期比11.3%増)、セグメント利益は25.85億円(同20.1%増)となった。DX化の推進やフェアメニュー、キャンペーンの実施が奏功し、売上高・利益ともに好調に推移した。直営店10店舗、FC5店舗の新規出店も貢献した。一方で、原材料価格の高騰に伴う原価率の上昇や水道光熱費の増加がコスト負担となっている。
不動産事業は全社売上高の4.1%を占める。当四半期累計の売上高は72.48億円(前年同期比8.0%増)、セグメント利益は17.27億円(同5.8%増)となった。主に自社開発店舗のテナント賃料収入が収益源であり、テナント誘致に努めることで安定した収益を確保している。
アークランズ株式会社は、当中間連結会計期間において、ペッツファーストホールディングス株式会社の株式を100%取得し、同社およびその子会社7社を連結の範囲に含めた。これにより、小売事業におけるペット関連事業の強化を図った。また、リフォームサービス事業においては、2024年7月1日を効力発生日として株式会社フレッシュハウスの完全子会社化を実施し、リフォーム事業の拡大を推進した。これらのM&Aにより、当四半期累計期間の売上高は大きく増加したが、のれんが60.23億円発生しており、今後の償却負担や事業統合効果の実現が注目される。
アークランズ株式会社の2026年2月期通期連結業績予想は、2025年4月11日に公表された内容から修正されず、据え置きとなった。第2四半期累計時点での進捗率は、売上高が51.0%、営業利益が46.0%であり、売上高は順調な進捗を見せる一方で、利益項目はやや遅れ気味である。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 3,350.00億円 | 51.0% |
営業利益 | 193.00億円 | 46.0% |
経常利益 | 190.00億円 | 46.1% |
純利益 | 116.00億円 | 49.0% |
2026年2月期中間期末の総資産は3,536.83億円となり、2025年2月期末の3,346.45億円から増加した。純資産も1,259.75億円と、期末の1,214.67億円から増加している。自己資本比率は35.4%と、期末の36.1%から微減した。流動資産は現金及び預金、受取手形及び売掛金、商品及び製品の増加により1,040.96億円に増加。固定資産は建物及び構築物の増加があった一方で土地が減少したため、2,495.86億円と微増に留まった。負債面では、長期借入金が増加したことにより固定負債が増加している。
キャッシュフローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは122.84億円の収入となり、前年同期の138.44億円の収入から減少した。これは主に税金等調整前中間純利益の減少や、売上債権・棚卸資産の増加が影響している。投資活動によるキャッシュ・フローは24.81億円の収入となり、前年同期の116.16億円の使用から大幅に改善した。これは主に有形固定資産の売却による収入が205.93億円あったことが大きく寄与した。一方で、有形固定資産の取得や子会社株式の取得による支出も発生している。財務活動によるキャッシュ・フローは76.04億円の使用となり、前年同期の6.52億円の使用から大幅に増加した。長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因である。
配当
アークランズ株式会社の今後の見通しは、売上高の成長は期待できるものの、利益面での課題が残る状況である。2026年2月期の通期業績予想は据え置きであり、第2四半期時点での利益進捗率は売上高に比べてやや低い水準にある。これは、M&Aによる連結範囲の拡大が売上高を押し上げる一方で、新規出店コスト、人件費単価の上昇、水道光熱費の増加といったコスト増が利益を圧迫しているためである。
投資家目線では、M&Aによる事業規模の拡大と多角化はポジティブな要素である。特に、ペッツファーストホールディングス株式会社の完全子会社化や株式会社フレッシュハウスの完全子会社化は、小売事業の新たな成長ドライバーとなる可能性を秘めている。しかし、これらのM&Aに伴うのれんの発生や、既存事業における収益性の改善が今後の重要な課題となる。既存店売上高の動向は月によって変動が大きく、特に天候不順や特需の反動減といった外部要因に左右されやすい点が懸念される。
国内経済は雇用・所得環境の底堅さやインバウンド需要の回復が見られるものの、物価上昇が賃金上昇を上回り、実質的な購買力が抑制されている状況が続くと予想される。このような環境下で、同社が主力とする「住・食」関連事業において、消費者のニーズに合致した商品・サービスの提供を継続できるかが重要となる。
外食事業はDX化推進や積極的な出店により好調を維持しているが、原材料価格の高騰は引き続きコスト負担となる可能性がある。不動産事業は安定した収益源として貢献する見込みである。
財務面では、投資活動によるキャッシュ・フローが大幅に改善し収入に転じたことは評価できるが、営業活動によるキャッシュ・フローの減少や財務活動によるキャッシュ・フローの増加(使用額の増加)は、事業拡大に伴う資金需要の増加を示唆している。
総じて、アークランズはM&Aを通じて成長戦略を推進しているが、その効果を利益に結びつけるためのコストコントロールと既存事業の収益性改善が今後の企業価値向上に不可欠である。通期業績予想の達成に向けて、下半期における各事業セグメントの動向、特に小売事業の既存店売上高の回復とコスト効率化の進捗が投資家にとっての注目点となる。現状では、M&Aによる成長期待とコスト増による利益圧迫という二つの側面があり、投資家にとっては慎重な評価が必要な状況である。
• 提供されるレポートに誤った情報が含まれる場合があります。正確性や品質を保証するものではないため、決算短信全文を併せてご確認ください。
• 提供されるレポートに投資を推奨するようにも読み取れる内容が含まれる可能性がありますが、当社が投資を推奨するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身の判断で行ってください。
• 決算短信についての訂正の開示があった場合でも、訂正の内容はレポートに反映されませんので、最新の適時開示をご参照ください。また、提供されるレポートの内容は予告なく変更されることがありますのでご注意ください。
• 本レポートにより提供される内容について、当社は、その信頼性、正確性、最新性、完全性、有効性、特定目的への適合性、有用性(有益性)、継続性について保証しません。これらに起因してお客様が何らかの損害を被ったとしても、当該損害につき責任を負わないものとします。
• 提供されるレポートを利用する際は、著作権法、商標法、金融商品取引法などの法令に違反しないようご注意ください。
• 提供されるレポートに関する権利は当社に帰属します。これらの情報を第三者に提供する目的での転用、複製、販売、加工、再利用および再配信は固く禁じます。