株式会社ダイセキの2026年2月期第2四半期(中間期)決算は、売上高が前年同期比10.1%増の361億円と過去最高を記録し、堅調な成長を示した。しかし、営業利益は1.6%増の74億円、経常利益は△1.1%減の76億円、親会社株主に帰属する中間純利益は△3.4%減の47億円と、増収ながら利益面では伸び悩み、一部項目では減益となった。これは原材料費や労務費の高騰、為替の影響などが利益を圧迫したためとみられる。
事業別では、主力である産業廃棄物処理事業が新規顧客獲得により売上・利益ともに計画を下回ったものの過去最高を達成。土壌汚染処理関連事業は政府建設投資の堅調さや大規模案件の貢献により増収増益。鉛リサイクル事業は売上は過去最高ながら利益は計画を下回った。大型タンク洗浄事業は高収益工事完了により売上・利益ともに過去最高を記録した。
株主還元については、中間配当を前年同期の33円から36円に増配する予定であり、通期配当予想は72円で据え置いた。また、2025年4月8日に自己株式80万株を取得し、さらに2025年10月2日には発行済株式総数の5.88%にあたる300万株の自己株式消却を決議しており、株主還元と資本効率向上への意欲を示している。
全体として、売上高は過去最高を更新し事業の成長性を示したが、利益面ではコスト増の影響を受け、増収減益となった項目もあり、投資家にとってはやや複雑な評価となる決算であった。しかし、積極的な株主還元策はポジティブな要素である。
2026年2月期第2四半期累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比10.1%増の361億円と過去最高を達成した。これは、主力である産業廃棄物処理事業における新規顧客獲得や、土壌汚染処理関連事業における大規模案件の貢献、大型タンク洗浄事業の高収益工事完了などが寄与した。しかし、原材料費や労務費の高騰、為替の影響などにより、営業利益は1.6%増の74億円に留まり、経常利益は△1.1%減の76億円、親会社株主に帰属する中間純利益は△3.4%減の47億円と、増収ながら利益面では伸び悩む結果となった。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 361億円 | 327億円 | 10.1% |
営業利益 | 74億円 | 73億円 | 1.6% |
経常利益 | 76億円 | 77億円 | △1.1% |
純利益 | 47億円 | 48億円 | △3.4% |
当社グループは、環境関連事業から構成される単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略する。
株式会社ダイセキは、2025年10月2日開催の取締役会において、連結子会社である株式会社ダイセキ環境ソリューションの普通株式を金融商品取引法に基づく公開買付け(TOB)により取得することを決議した。本公開買付けの目的は、ダイセキグループ全体で「VISION2030」の実現に向けた企業価値向上を図るため、グループ全体の経営資源(顧客基盤・資金・人材等)を最適配分し、迅速な意思決定が可能な機動的な経営体制を構築することにある。これにより、対象者の少数株主との利益相反構造を解消し、企業価値向上に資するシナジー効果を見込む。
買付け期間は2025年10月3日から2025年11月17日までの30営業日。買付け価格は普通株式1株につき1,850円で、買付予定数は7,754,119株(買付予定数の下限は2,067,500株)である。買付代金は143億円となり、自己資金を充当する。このM&Aは、グループ経営の効率化と企業価値の最大化を目指す重要な戦略的動きである。
2026年2月期の全社業績予想は、2025年4月8日に公表された内容から修正は行っておらず、据え置きである。第2四半期累計の実績は、通期予想に対して売上高で51.6%、営業利益で47.5%、経常利益で48.3%、純利益で47.6%の進捗率となっている。売上高は順調な進捗を見せる一方で、利益項目は50%を下回る進捗率であり、下期での巻き返しが期待される状況である。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 700億円 | 51.6% |
営業利益 | 157億円 | 47.5% |
経常利益 | 158億円 | 48.3% |
純利益 | 99億円 | 47.6% |
当中間連結会計期間末の総資産は1,142億円となり、前連結会計年度末に比べ6億円増加した。これは主に有形固定資産、受取手形、売掛金及び契約資産、電子記録債権の増加によるもので、現金及び預金、有価証券、投資有価証券の減少を上回った。負債は200億円となり、前連結会計年度末に比べ2億円増加した。これは主に支払手形及び買掛金、流動負債その他、賞与引当金、未払法人税等、短期借入金の増加によるもので、長期借入金は減少した。純資産は941億円となり、前連結会計年度末に比べ3億円増加した。これは自己株式の取得による減少があったものの、利益獲得による利益剰余金の増加や非支配株主持分の増加が寄与した。全体として、資産は堅調に増加し、自己資本比率も73.7%と高い水準を維持しており、安定した財務基盤を保っている。
配当
自己株式取得
自己株式の消却
株式会社ダイセキの2026年2月期第2四半期決算は、売上高が過去最高を更新したものの、利益面ではコスト増の影響を受け、増収減益となった項目もあり、投資家にとっては慎重な評価が必要な状況である。通期業績予想は据え置きであり、売上高の進捗率は順調である一方、利益の進捗率は50%を下回っており、下期での利益改善が課題となる。原材料費や労務費の高騰、為替変動といった外部環境の不確実性が続く中で、これらのコストを吸収し、利益率を維持・向上できるかが今後の焦点となる。
ポジティブな要素としては、主力事業である産業廃棄物処理事業が新規顧客獲得により堅調に推移している点、土壌汚染処理関連事業が政府建設投資の堅調さや大規模案件の貢献により増収増益を達成している点が挙げられる。また、高収益工事完了により大型タンク洗浄事業も好調である。これらの事業の成長が、全体の売上高を牽引している。
さらに、2025年10月2日に発表された連結子会社である株式会社ダイセキ環境ソリューションに対する公開買付け(TOB)は、グループ全体の企業価値向上と経営効率化を目指す戦略的な動きであり、長期的な視点で見れば企業価値の向上に寄与する可能性が高い。少数株主との利益相反構造の解消や、機動的な経営体制の構築は、今後の事業展開において重要な基盤となる。
株主還元策も積極的であり、中間配当の増配や大規模な自己株式の消却は、株主への還元意識の高さと資本効率向上への強いコミットメントを示すもので、投資家にとってはポジティブなシグナルと捉えられる。
しかし、利益面での伸び悩みは懸念材料であり、特に経常利益と純利益が前年同期比で減少している点は注意が必要である。コストコントロールの徹底や、高付加価値サービスの提供による収益性改善が今後の課題となる。
総合的に見ると、今回の決算は売上成長と積極的な株主還元は評価できるものの、利益率の改善と外部環境への対応力が今後の企業価値を左右する重要な要素となる。TOBによるグループ再編が、中長期的な成長戦略にどのように貢献し、利益面での課題を克服できるか、投資家は引き続き注目していく必要がある。短期的には利益の進捗率がやや遅れているため、下期の業績動向が重要となる。
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