ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社の2026年5月期第1四半期連結累計期間の決算は、売上高が前年同期比で微減、各利益項目は大幅な減益または赤字転落となり、総じてネガティブな内容であった。売上高は150.78億円(前年同期比△0.7%減)とほぼ横ばいだったものの、営業利益は0.36億円(同△79.6%減)、経常利益は0.67億円(同△64.9%減)と大幅に減少した。親会社株主に帰属する四半期純利益は△0.02億円と赤字に転落した。これは主に人件費の増加や子会社における研究開発費の計上が販売費及び一般管理費を押し上げたためである。一方で、自己資本比率は35.5%と前連結会計年度末の32.6%から改善した。株主還元については、2026年5月期の年間配当予想は期末70.00円、合計70.00円で、直近の予想からの修正はなかった。
2026年5月期第1四半期連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比でわずかに減少したものの、利益面では大幅な悪化を記録した。医療機関における設備投資需要の減少が売上高の微減に影響し、人件費の増加や研究開発費の計上が利益を大きく圧迫した。結果として、営業利益、経常利益は大幅な減益となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は赤字に転落した。
指標 | 2026年5月期1Q(累計) | 2025年5月期1Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 150.78億円 | 151.83億円 | △0.7% |
売上総利益 | 19.62億円 | 19.77億円 | △0.8% |
営業利益 | 0.36億円 | 1.78億円 | △79.6% |
経常利益 | 0.67億円 | 1.93億円 | △64.9% |
純利益 | △0.02億円 | 0.83億円 | 赤字転落 |
医療機器販売業は、全社売上高の約99.5%を占める主要セグメントである。当第1四半期連結累計期間の売上高は150.90億円(前年同期比△0.6%減)、セグメント利益は3.57億円(同△20.1%減)であった。検査・手術件数の増加により診療材料等の医療機器消耗品の需要は増加したものの、医療機関における設備投資需要が前年同期よりも減少したことが売上高の微減に繋がった。
詳細な分野別動向は以下の通りである。一般機器分野では、MRIやCT等の画像診断機器、放射線診断装置、超音波診断装置の売上が減少し、15.87億円(同△15.0%減)となった。一方、一般消耗品分野では、汎用消耗品および手術関連消耗品の売上が増加し、64.95億円(同3.1%増)を記録した。低侵襲治療分野では、電子内視鏡手術システム等の内視鏡備品、腹腔鏡システム等のサージカル備品、血管内治療、内視鏡関連消耗品の売上が減少し、34.76億円(同△1.4%減)であった。専門分野では、透析関連機器や整形外科関連の売上が増加し、31.76億円(同0.4%増)となった。情報・サービス分野では、設備保守メンテナンスの売上が増加し、3.55億円(同10.8%増)となった。全体として、設備投資需要の低迷がセグメント全体の売上と利益に影響を与えた。
医療機器製造・販売業は、全社売上高の約0.36%を占める。当第1四半期連結累計期間の売上高は0.54億円(前年同期比△7.1%減)、セグメント損失は△0.63億円(前年同期は0百万円のセグメント損失)であった。グループ開発製品である整形外科用インプラントの製造・販売、および超音波を用いた医療用機器等の開発・販売を行っている。特に、子会社であるマイクロソニック株式会社が乳房疾患の早期発見を目的とした医療機器「BreastScan」および「Viewnus-Linear」の薬事認証取得・届出を完了したことは、今後の事業展開において重要な進展である。この新製品の市場投入は、将来的な売上貢献とセグメント損失の改善に繋がる可能性を秘めている。
医療モール事業は、全社売上高の約0.11%を占める。当第1四半期連結累計期間の売上高は0.17億円(前年同期比8.9%増)、セグメント利益は0.01億円(同929.2%増)であった。主に賃料収入によって売上を計上しており、安定的な収益源となっている。利益も大幅に増加しており、堅調な推移を示している。
当第1四半期連結累計期間において、具体的な事業/資本提携やM&Aに関する開示はなかった。しかし、子会社であるマイクロソニック株式会社が、乳房疾患の早期発見を目的とした医療機器「BreastScan」(ブレストスキャン)および「Viewnus-Linear」(ヴィーナスリニア)について、医療機器としての薬事認証取得・届出を完了した。これは、新たな医療機器の市場投入に向けた重要なステップであり、今後の事業拡大に貢献する可能性がある。この新製品の展開は、特に医療機器製造・販売業セグメントの成長を促進し、将来的には全社業績へのポジティブな影響が期待される。
2026年5月期の連結業績予想は、2025年7月11日に公表された内容から変更なく据え置きである。第1四半期連結累計期間の実績は、売上高が通期予想に対して約22.3%の進捗率である一方、営業利益は約6.1%、経常利益は約10.6%と低調な進捗に留まっている。親会社株主に帰属する四半期純利益は赤字転落しており、通期予想の達成には今後の大幅な巻き返しが必要となる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
---|---|---|
売上高 | 676.47億円 | 22.3% |
営業利益 | 5.90億円 | 6.1% |
経常利益 | 6.32億円 | 10.6% |
純利益 | 3.54億円 | 赤字転落 |
当第1四半期連結会計期間末の総資産は251.99億円となり、前連結会計年度末に比べて23.49億円減少した。流動資産は、主に現金及び預金の減少により、前連結会計年度末から25.20億円減少し、192.46億円となった。固定資産は、前連結会計年度末から1.70億円増加し、59.52億円となった。
負債の部では、当第1四半期連結会計期間末の負債は162.52億円となり、前連結会計年度末に比べて23.07億円減少した。これは主に電子記録債務の減少による。純資産は89.46億円となり、前連結会計年度末に比べて0.42億円減少した。自己資本比率は35.5%と、前連結会計年度末の32.6%から改善している。なお、当第1四半期連結累計期間に係るキャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
配当
自己株式取得
自己株買い
株主優待
ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社の2026年5月期第1四半期決算は、売上高の微減と利益の大幅な落ち込み、特に純利益の赤字転落という結果であり、投資家目線ではネガティブな印象を与える内容であった。人件費の増加や研究開発費の計上といったコスト増が利益を圧迫しており、通期業績予想に対する進捗率も営業利益で約6.1%、純利益は赤字と非常に低い水準に留まっている。このままでは通期目標の達成は困難であり、今後の四半期で大幅な業績改善が求められる。
しかしながら、企業は「中期経営計画(2025年5月期~2027年5月期)」の2年目として、経営基盤の強化に向けた積極的な投資とグループ機能向上、人材基盤の強化と従業員ワークエンゲージメントの向上を目指す方針を継続している。中核事業子会社である山下医科器械株式会社では、将来的な事業拡大を見据え、物流センターの効率化と省人化を推進するため、自動倉庫や搬送ロボット、倉庫管理システムなどのマテリアルハンドリング機器を積極的に導入し、自動化による業務効率化と労働環境の改善を両立させる物流体制の構築を進めている。これらの投資は短期的なコスト増に繋がるものの、中長期的には競争力強化と収益性向上に寄与する可能性がある。
また、子会社マイクロソニック株式会社が乳房疾患の早期発見を目的とした医療機器「BreastScan」および「Viewnus-Linear」の薬事認証取得・届出を完了したことは、今後の事業展開における重要なポジティブ要因である。これらの新製品が市場に投入され、売上貢献が本格化すれば、医療機器製造・販売業セグメントの損失改善および全社業績の押し上げに繋がる可能性がある。
現時点では、投資先行による利益圧迫が顕著であり、通期業績予想の達成には厳しい状況が予想される。投資家としては、今後の四半期でこれらの先行投資がどのように収益に結びつき、利益率の改善が見られるか、また新医療機器の市場浸透状況を慎重に評価する必要がある。短期的な業績は厳しいものの、中長期的な成長戦略に向けた基盤整備は着実に進められており、これらの取り組みが今後の企業価値向上に繋がるかどうかが焦点となる。
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