株式会社インテリックスの2026年5月期第1四半期連結決算は、売上高が前年同期比56.9%増の163億40百万円と大幅な増収を達成した。これはリノベーション事業およびソリューション事業の両セグメントが好調に推移したことによる。特にリノベーション事業では平均販売価格の上昇や共同事業の伸長が寄与し、ソリューション事業では物件販売や共同事業が大幅な増収を牽引した。
一方で、利益面では売上総利益が前年同期比11.3%増の28億66百万円と増加したものの、販売費及び一般管理費が25.1%増の16億16百万円と大幅に増加したため、営業利益は12億49百万円(前年同期比△2.6%減)、経常利益は10億38百万円(同△11.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7億43百万円(同△8.3%減)と減益となった。販管費の増加は、物件販売の取引高増加に伴う販売仲介手数料の増加、人的資本経営を意識した給与水準アップ、本社新オフィス移転による賃料増、創立30周年イベント費用などが主な要因である。
財務状態では、総資産が548億円、純資産が141億22百万円となり、販売用不動産や有形固定資産の増加が資産を押し上げた。株主還元については、2026年5月期の年間配当予想は1株当たり46円(中間23円、期末23円)で据え置きとした。また、譲渡制限付株式報酬として自己株式の処分を実施した。
全体として、売上高の大幅な成長は事業の勢いを示すポジティブな要素である一方、販管費の増加による利益率の悪化は今後の課題として認識される。しかし、通期業績予想に対する第1四半期時点での利益進捗率は非常に高く、通期目標達成に向けては順調な滑り出しと評価できる。
2026年5月期第1四半期連結累計期間において、株式会社インテリックスは売上高の大幅な増加を達成した。リノベーション事業とソリューション事業の両セグメントが堅調に推移し、特にソリューション事業が売上高を大きく牽引した。しかし、売上総利益の増加を上回る販売費及び一般管理費の増加により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比で減益となった。これは、事業拡大に伴う費用増に加え、給与水準の引き上げやオフィス移転費用、記念イベント費用などが影響したためである。
指標 | 2026年5月期1Q(累計) | 2025年5月期1Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 163億40百万円 | 104億16百万円 | 56.9% |
営業利益 | 12億49百万円 | 12億82百万円 | △2.6% |
経常利益 | 10億38百万円 | 11億74百万円 | △11.6% |
純利益 | 7億43百万円 | 8億10百万円 | △8.3% |
リノベーション事業分野は、全社売上高の約51.6%を占める。当第1四半期において、売上高は前年同期比25.9%増の84億30百万円、営業利益は同150.0%増の5億85百万円と大幅な増収増益を達成した。この好調は、リノヴェックスマンションの販売件数が前年同期と同数の214件であったものの、平均販売価格が前年同期比18.4%上昇したことにより、物件販売の売上高が19.3%増の70億88百万円となったことが主な要因である。加えて、再生住宅パートナーとの買取再販共同事業の売上高が243.5%増と大幅に伸長し、事業全体の売上を押し上げた。賃貸収入も36.5%増の35百万円と増加し、買取再販共同事業やリノベーション内装事業、FLIE事業を含むその他収入も79.7%増の13億5百万円と大きく貢献した。売上総利益率の向上も営業利益の大幅な増加に寄与しており、事業の収益性が改善している。
ソリューション事業分野は、全社売上高の約48.4%を占める。当第1四半期において、売上高は前年同期比112.7%増の79億10百万円と大幅な増収を記録した。しかし、営業利益は同△28.1%減の9億9百万円となった。売上高の増加は、一棟収益物件の売却やリースバック物件を対象とする信託受益権の売却、不動産小口化商品「アセットシェアリング札幌II」の組成などによる物件販売の売上高が86.0%増の52億14百万円となったことが大きく寄与した。また、再生住宅パートナーとの収益物件共同事業の売上高が506.1%増と大幅に伸長し、ホテル事業の増収も加わったその他収入が264.2%増の24億43百万円となったことも増収に貢献した。賃貸収入は2.7%増の2億52百万円であった。営業利益の減益は、売上高の大幅な増加に伴う販売費及び一般管理費の増加が主な要因であり、収益性の改善が課題となっている。
株式会社インテリックスは、2025年9月8日開催の取締役会において、神戸みなと興産株式会社との共同出資により、子会社「株式会社インテリックス神戸みなと」の設立を決議し、2025年10月1日に設立した。この子会社設立の目的は、主たる事業であるリノヴェックスマンション事業において、神戸エリアでの更なる事業展開を図ることにある。これまで神戸エリアでは、物件取得のためのファイナンスや物件購入者への住宅ローン等で株式会社みなと銀行と深く連携してきた。今回の新会社設立により、神戸みなと興産の物件情報や流通ネットワーク力、みなと銀行のマッチングサービス、そしてインテリックスの高品質なリノヴェックスマンションの提供を組み合わせることで、3社の強みを活かした「共創」を通じて既存住宅の活性化に貢献することを目指す。株式会社インテリックスの出資比率は80%であり、この提携は神戸エリアにおける事業基盤の強化と、新たな市場開拓を通じた中長期的な企業価値向上に資すると想定される。
2026年5月期の連結業績予想は、2025年5月期決算短信発表時(2025年7月11日)に開示された内容から変更はなく、据え置きである。第1四半期累計期間の実績は、売上高が通期予想の29.0%に達し、営業利益は50.0%、経常利益は51.7%、純利益は55.2%と、利益項目において通期予想に対する高い進捗率を示している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
---|---|---|
売上高 | 564億15百万円 | 29.0% |
営業利益 | 24億98百万円 | 50.0% |
経常利益 | 20億6百万円 | 51.7% |
純利益 | 13億46百万円 | 55.2% |
当第1四半期連結会計期間末における財務状態は、総資産が548億円となり、前連結会計年度末比で21億37百万円増加した。負債は406億77百万円で、同16億36百万円増加し、純資産は141億22百万円で、同5億1百万円増加した。
資産の主な増加要因は、販売用不動産が1億54百万円、前渡金が1億74百万円、有形固定資産が18億49百万円それぞれ増加したことによる。特に有形固定資産の増加は、事業拡大に向けた投資を示唆する。
負債の主な増加要因は、短期借入金が31億28百万円、1年内返済予定の長期借入金が13億72百万円それぞれ増加したことである。買掛金、未払法人税等、流動負債のその他も増加した。一方で、長期借入金は18億49百万円減少した。
純資産の増加は、親会社株主に帰属する四半期純利益として7億43百万円を計上したことによるが、剰余金の配当により2億34百万円減少した。自己資本比率は25.3%と前連結会計年度末の25.4%から微減したものの、概ね安定した水準を維持している。
なお、当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、キャッシュフローの具体的な動向については不明である。
配当
自己株式取得
株式会社インテリックスの2026年5月期第1四半期決算は、売上高の大幅な成長と、通期業績予想に対する利益項目の高い進捗率を示しており、投資家にとっては非常にポジティブな内容と評価できる。特に営業利益の進捗率が50.0%に達していることは、残りの3四半期で同水準の利益を出す必要がないことを意味し、通期予想の上方修正の可能性も十分に考えられる。これは、通期目標達成への確実性を高めるだけでなく、市場からの評価を押し上げる要因となるだろう。
事業面では、リノベーション事業が平均販売価格の上昇と共同事業の伸長により、売上高・営業利益ともに大幅な成長を遂げている。このトレンドが継続すれば、同事業は今後も収益の柱として企業価値向上に貢献する見込みである。ソリューション事業も物件販売や共同事業が牽引し大幅な増収を達成しており、事業規模の拡大が続いている。
一方で、販売費及び一般管理費の大幅な増加は、利益率の悪化という形で現れており、今後の課題として注視する必要がある。給与水準の引き上げやオフィス移転費用、記念イベント費用など、一時的な要因も含まれるが、事業拡大に伴う恒常的な費用増も考えられるため、効率的な費用コントロールが今後の利益成長の鍵となる。しかし、これらの費用増は人的資本への投資や事業基盤強化のための先行投資と捉えることもでき、中長期的には企業競争力の向上に繋がる可能性も秘めている。
また、神戸エリアでの事業展開を強化するための子会社「株式会社インテリックス神戸みなと」の設立は、地域に根差したパートナーとの「共創」を通じて、新たな収益源の確保や事業規模の拡大を目指す戦略的な動きであり、中長期的な企業価値向上に寄与すると期待される。既存住宅の活性化という社会課題解決にも貢献する事業であり、ESG投資の観点からも評価される可能性がある。
総合的に見ると、今回の決算発表は、売上成長の勢いと通期予想に対する高い利益進捗率から、投資家にとって非常にポジティブな印象を与える。短期的な利益率の課題はあるものの、事業拡大と戦略的な投資が継続されており、今後の企業価値のさらなる向上に期待が持てる。
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