和田興産株式会社の2026年2月期第2四半期(中間期)決算は、売上高221.82億円(前年同期比10.1%増)、営業利益27.58億円(同26.8%増)、経常利益23.05億円(同26.4%増)、中間純利益16.47億円(同32.6%増)と、全社的に増収増益を達成した。主力の分譲マンション販売事業が好調に推移し、売上高、利益ともに大きく貢献したことが業績を牽引した。国内経済の緩やかな回復基調と住宅ローン金利の低水準が、実需層の底堅い需要を支えた。一方で、戸建て住宅販売事業は売上高が減少、セグメント損失を計上した。通期業績予想は据え置きだが、中間純利益の進捗率は通期予想に対して72.24%と高水準であり、堅調な推移を示している。株主還元については、2026年2月期の年間配当予想を70.00円(中間35.00円、期末35.00円)としている。全体として、主力の事業が好調で利益成長が顕著であり、投資家にとってはポジティブな決算内容と評価できる。
2026年2月期第2四半期(中間期)の全社業績は、主力の分譲マンション販売事業の好調に支えられ、売上高、各利益項目ともに前年同期を大きく上回る結果となった。国内経済の回復基調と住宅ローン金利の低水準が不動産市場の堅調さを維持し、特に分譲マンションの引渡が順調に進んだことが増収増益の主要因である。営業利益は前年同期比26.8%増、中間純利益は同32.6%増と、利益率も改善傾向を示し、収益性の高さが際立つ。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 221.82億円 | 201.49億円 | 10.1% |
営業利益 | 27.58億円 | 21.76億円 | 26.8% |
経常利益 | 23.05億円 | 18.24億円 | 26.4% |
純利益 | 16.47億円 | 12.42億円 | 32.6% |
分譲マンション販売事業は全社売上高の82.8%を占める主力事業であり、当中間会計期間における売上高は183.70億円(前年同期比124.0%)、セグメント利益は25.04億円(同162.1%)と大幅な増収増益を達成した。開発基盤となる用地価格や建築コストの上昇が続くものの、住宅ローン金利の低水準や住まいの利便性を求める傾向が強く、分譲マンション市場は比較的堅調に推移した。同社は新規発売物件を中心に契約獲得に向けた販売活動および引渡計画の推進に注力した結果、発売戸数は368戸(同105.1%)、契約戸数は301戸(同114.4%)、引渡戸数は326戸(同100.0%)となり、契約済未引渡戸数は662戸(同105.6%)と堅調に推移している。この好調な販売状況が全社業績を大きく牽引した。
戸建て住宅販売事業は全社売上高の2.6%を占める。当中間会計期間における売上高は5.80億円(前年同期比63.5%)と減収となり、セグメント損失19百万円を計上した(前年同期は72百万円の営業利益)。契約獲得に向けた販売活動に注力したものの、引渡戸数は13戸にとどまり、前年同期と比較して業績が低調に推移した。市場環境や競争激化、あるいは特定の物件の販売状況が影響した可能性があり、今後の販売戦略や物件ラインナップの見直しが課題となる。
その他不動産販売事業は全社売上高の7.0%を占める。当中間会計期間における売上高は15.45億円(前年同期比56.8%)、セグメント利益は2.65億円(同42.7%)と増収増益を達成した。賃貸マンション等8物件の販売が主な要因であり、不動産市場における特定の需要を捉え、収益に貢献した。
不動産賃貸収入事業は全社売上高の7.4%を占める。当中間会計期間における売上高は16.52億円(前年同期比100.3%)、セグメント利益は5.74億円(同111.2%)と堅調に推移した。同社が主力とする住居系賃貸物件は比較的安定した賃料水準を維持しており、入居率の向上と滞納率の改善に努めた。また、最適な賃貸不動産のポートフォリオ構築のため、新規物件の取得を進めるなど、賃貸収入の安定的な確保を目指す取り組みが奏功した。
その他事業は全社売上高の0.2%を占める。当中間会計期間における売上高は0.33億円(前年同期比66.3%)、セグメント利益は0.13億円(同30.4%)と減収減益となった。解約手付金収入、保険代理店手数料収入および仲介手数料等が主な収益源である。
当中間会計期間において、具体的な事業/資本提携やM&Aに関する発表は確認されていない。しかし、不動産賃貸収入事業においては、最適な賃貸不動産のポートフォリオ構築のため、新規に物件を取得するなど、賃貸収入の安定的な確保を目指す取り組みが継続されている。これは、既存事業の強化と収益基盤の安定化に向けた戦略的な投資活動の一環と捉えることができる。
2026年2月期の通期業績予想は、2025年7月11日付の第1四半期決算短信で発表された内容から修正はなく、据え置きである。第2四半期累計の実績は、売上高で通期予想の53.97%、営業利益で50.15%、経常利益で46.10%、純利益で72.24%の進捗率を達成している。特に純利益の進捗率が高い水準にあり、通期目標達成に向けて順調に推移していると評価できる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
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売上高 | 411.00億円 | 53.97% |
営業利益 | 55.00億円 | 50.15% |
経常利益 | 50.00億円 | 46.10% |
純利益 | 22.80億円 | 72.24% |
当中間会計期間末における資産は1,099.43億円となり、前事業年度末比で7.12億円減少した。これは、事業用不動産購入等による有形固定資産の増加(10.88億円)があった一方で、事業進捗等による棚卸資産の減少(14.84億円)が主な要因である。負債は758.30億円で、前事業年度末比18.95億円減少した。短期借入金の増加(17.95億円)や長期借入金の増加(12.47億円)があったものの、分譲マンション等の引渡による前受金の減少(39.64億円)が負債減少の主要因である。純資産は341.13億円となり、前事業年度末比11.83億円増加した。これは、利益処分に伴う利益配当金4.85億円の支払いがあったものの、中間純利益16.47億円の計上が純資産増加に貢献した。
キャッシュフローの状況を見ると、現金及び現金同等物は145.51億円で、前年同期比9.25億円増加した。営業活動によるキャッシュフローは△15.46億円と前年同期の△71.66億円から改善したものの、依然としてマイナスである。これは税引前中間純利益の計上や棚卸資産の減少があった一方で、前受金の減少や仕入債務の減少が資金流出に影響したためである。投資活動によるキャッシュフローは△12.67億円で、事業用不動産等の取得が主な資金減少要因となった。財務活動によるキャッシュフローは25.32億円の増加となり、長期借入金の返済があったものの、短期借入金および長期借入金の調達が資金増加に寄与した。
配当
自己株式取得
和田興産株式会社の2026年2月期第2四半期決算は、主力の分譲マンション販売事業が好調を維持し、全社的に増収増益を達成したことから、投資家にとっては非常にポジティブな内容と評価できる。国内経済はインバウンド需要の拡大や所得環境の改善により緩やかな回復基調にあるものの、原材料価格の高騰や米国の通商政策による不透明感は依然として懸念材料である。しかし、不動産業界においては、住宅ローン金利の低水準が実需層の底堅い需要を支えており、同社の主力事業にとって追い風が続くと見られる。
通期業績予想は据え置きであるものの、中間純利益の進捗率が72.24%と非常に高い水準にあり、通期目標達成への確度が高いことを示唆している。これは、同社が新規発売物件の契約獲得と引渡計画の推進に注力している成果であり、今後の業績も堅調に推移する可能性が高い。
戸建て住宅販売事業は減収・損失を計上したが、全社売上高に占める割合は小さく、全体業績への影響は限定的である。不動産賃貸収入事業では、入居率向上や新規物件取得によるポートフォリオ強化を進めており、安定的な収益基盤の構築に貢献する見込みである。
キャッシュフローは営業活動でマイナスが続いているものの、前年同期からは改善しており、財務活動による資金調達で補完されている。純資産は増加しており、財務基盤は安定している。
総合的に見ると、和田興産は堅調な不動産市場環境を背景に、主力の分譲マンション販売事業が引き続き業績を牽引し、通期目標達成に向けて順調に進捗している。株主還元策として安定した配当を維持している点も投資家にとって魅力的である。今後の企業価値は、引き続き分譲マンション販売の好調を維持しつつ、不動産賃貸事業の安定化とポートフォリオ強化を進めることで、さらに向上する可能性が高い。ただし、建築コストの高止まりや政策金利の動向には引き続き注意が必要である。
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