株式会社プラネットの2025年7月期通期決算は、売上高31.62億円(前期比△0.3%減)、営業利益5.64億円(前期比△12.2%減)、経常利益5.92億円(前期比△14.2%減)、純利益4.00億円(前期比△12.5%減)と、減収減益で着地した。主力のEDI事業におけるデータ量の微減が響き、売上高は前期を下回った。また、減価償却費の増加や販売費及び一般管理費の増加も利益を圧迫した。
財務状態では、総資産が66.53億円(前期末比1.5%増)、純資産が56.35億円(前期末比3.9%増)となり、自己資本比率は84.7%と高い水準を維持している。キャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが5.32億円と堅調であった一方、投資活動によるキャッシュフローは△0.19億円の支出、財務活動によるキャッシュフローは△2.85億円の支出となった。期末の現金及び現金同等物残高は28.76億円に増加した。
株主還元については、2025年7月期の年間配当金を1株当たり43.50円(中間21.50円、期末22.00円)と、前期の43.00円から増配した。配当性向は72.0%であった。2026年7月期も年間44.00円の配当予想を発表しており、株主還元への意欲は継続している。自己株式取得は、単元未満株式の買取りによる微増に留まり、大規模な取得は実施していない。
全体として、今期の業績は減収減益となったものの、堅調な財務基盤と積極的な株主還元姿勢は維持している。次期は増収増益を見込んでおり、事業環境の変化に対応しつつ、新サービスの開発・拡販に注力する方針を示しているため、投資家にとっては今後の成長戦略の実行に注目が集まる決算発表であった。
2025年7月期の全社業績は、売上高が前期比0.3%減の31.62億円、営業利益が前期比12.2%減の5.64億円、経常利益が前期比14.2%減の5.92億円、純利益が前期比12.5%減の4.00億円となり、減収減益で着地した。これは、主力のEDI事業におけるデータ量の微減が影響したほか、減価償却費の増加や販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫したためである。日本経済は個人消費の持ち直しが見られたものの、物価高騰による消費者の買い控えや、地政学リスクの拡大など不透明な状況が続いた。このような環境下で、同社はEDI事業とデータベース事業の拡販に注力したが、データ量の微減が売上高に影響を与え、結果として減収となった。利益面では、売上原価が減価償却費の増加により前期比5.4%増、販売費及び一般管理費も前期比0.4%増となり、減収とコスト増が重なり各利益段階で減少した。
指標 | 2025年7月期(通期) | 2024年7月期(通期) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 31.62億円 | 31.72億円 | △0.3% |
営業利益 | 5.64億円 | 6.42億円 | △12.2% |
経常利益 | 5.92億円 | 6.91億円 | △14.2% |
純利益 | 4.00億円 | 4.58億円 | △12.5% |
EDI事業は全社売上高の92.5%を占める。当事業年度の売上高は29.26億円と前期比0.4%減となった。日用品・化粧品、ペットフード・ペット用品、OTC医薬品に加え、健康食品や園芸などの隣接業界に向けた「基幹EDI」サービスや「販売レポートサービス」の受注・利用拡大に向けた営業活動に注力した結果、利用企業数、接続本数ともに増加した。しかし、一部の利用企業における経営資源集中に伴う商品アイテム数削減や、物流効率化を目的とした商品の大容量化の動きにより、データ量は微減した。持続可能な物流環境の実現を目指す「ロジスティクスEDI」では、日用品・化粧品業界の大手企業を中心に出荷予定データ(ASNデータ)の活用が広がり、利用企業数、接続本数ともに増加した。また、今秋にサービス提供開始予定の「返品ワークフローシステム・サービス」の開発を推進している。基幹EDIはメーカー・卸売業間の発注から請求・支払、販売実績管理までの20種の伝票をデータで交換するサービスであり、販売レポートサービスは卸売業の販売実績をメーカーに通知する「販売データ」を集計・加工して提供するサービスである。ロジスティクスEDIは物流に関する各種データをメーカー・卸売業間で交換する。
データベース事業は全社売上高の7.5%を占める。当事業年度の売上高は2.36億円と前期比0.5%増となった。各データベースサービスの付加価値向上のための取り組みを継続した。小売業の店舗や、卸売業の支店・物流センターなどを示す「標準取引先コード」を蓄積した「取引先データベース」、流通業界のメーカーが登録した商品情報をインターネットから提供するサービス「商品データベース」ともに、さらなる活用可能性に向けた調査を継続している。この事業は、EDI事業のデータ量微減を補完する形で、売上高を微増させた。
当事業年度において、大規模な事業/資本提携やM&A等の動向に関する具体的な記載は確認されていない。しかし、同社は事業活動の一環として、持続可能な物流環境の実現を目指す「ロジスティクスEDI」の利用企業数・接続本数の増加に注力しており、日用品・化粧品業界の大手企業を中心に活用が広がっている。また、今秋にサービス提供開始予定の「返品ワークフローシステム・サービス」の開発を推進している。これは、返品調整業務の効率化をWebで支援するサービスであり、まず日用品業界での利用拡大を目指す。これらの新サービス開発や既存サービスの拡充は、顧客基盤の強化と事業領域の拡大に貢献し、中長期的な成長に繋がるものと想定される。
2026年7月期の通期業績予想は、売上高32.00億円(前期比1.2%増)、営業利益5.75億円(前期比1.9%増)、経常利益6.00億円(前期比1.2%増)、純利益4.10億円(前期比2.3%増)と、増収増益を計画している。これは、今後の成長に必要な投資を戦略的に行いつつ、EDI事業の拡販活動や新サービスの展開に注力することで達成を目指す。
指標 | 2026年7月期予想 | 2025年7月期実績 | 増減率 |
---|---|---|---|
売上高 | 32.00億円 | 31.62億円 | 1.2% |
営業利益 | 5.75億円 | 5.64億円 | 1.9% |
経常利益 | 6.00億円 | 5.92億円 | 1.2% |
純利益 | 4.10億円 | 4.00億円 | 2.3% |
2025年7月期末の総資産は66.53億円となり、前期末から0.97億円増加した。流動資産は34.87億円で前期末比2.68億円増加し、主に現金及び預金の増加によるものである。固定資産は31.65億円で前期末比1.71億円減少し、投資有価証券の一部売却が主な要因である。負債合計は10.17億円で前期末比1.12億円減少し、流動負債は5.06億円で前期末比0.72億円減少、固定負債は5.11億円で前期末比0.40億円減少した。純資産は56.35億円となり、前期末から2.09億円増加した。自己資本比率は84.7%と前期末の82.8%から改善し、引き続き高い財務健全性を維持している。
キャッシュフローの状況では、営業活動によるキャッシュフローは5.32億円のプラスとなった。これは主に税引前当期純利益5.96億円と減価償却費2.75億円の計上によるものである。投資活動によるキャッシュフローは△0.19億円のマイナスとなり、ソフトウェアの取得による支出2.19億円があった一方で、投資有価証券の売却による収入1.69億円があった。財務活動によるキャッシュフローは△2.85億円のマイナスで、主に配当金の支払額によるものである。これらの結果、期末の現金及び現金同等物残高は28.76億円となり、前期末から2.28億円増加した。
株式会社プラネットは、株主への利益還元を重要な経営課題と認識し、安定的な配当を継続する方針である。
配当:
自己株式取得:
株主優待:
株式会社プラネットの2025年7月期通期決算は減収減益で着地したものの、2026年7月期は増収増益を見込んでおり、投資家にとっては今後の成長戦略の実行が注目される。
日本経済はインバウンド需要の拡大や所得増加による個人消費の持ち直しが期待される一方で、原材料・燃料費の高騰による物価上昇の継続、米国の通商政策の動向による経済への影響など、不透明な状況が続くとの見方を示している。このような環境下で、同社が事業を展開する一般消費財流通業界では、生活者の意識、価値観、働き方、購買行動が大きく変化しており、変化の激しい環境への適応が求められている。
同社は、この事業環境において、主たる事業であるEDIの拡販活動に注力する方針を継続する。特に、日用品・化粧品、ペットフード・ペット用品、OTC医薬品、さらには健康食品や園芸などの各業界へのEDIサービス提供を強化する。加えて、「販売レポートサービス」によるメーカーの販売データ活用支援や、「MITEOS」による卸売業のオンライン比率向上支援に引き続き取り組み、中長期的な成長を目指す。
最も重要な成長ドライバーの一つとして、「ロジスティクスEDI」の利用企業・接続本数のさらなる増加を目指す。特に、今秋にサービス提供を開始する「返品ワークフローシステム・サービス」は、まず日用品業界での利用拡大に注力する計画であり、これが新たな収益源となるかどうかが投資家にとっての重要な判断材料となる。この新サービスの成功は、同社の事業ポートフォリオの多様化と収益基盤の強化に直結するため、その進捗は極めて重要である。
将来に向けては、これらのサービスに続く新規サービスの創出に向け、開発リソースの強化と事業化プロセスの高速化を進めるとしている。これは、持続的な成長を実現するための研究開発投資とイノベーションへのコミットメントを示すものであり、中長期的な企業価値向上への期待を高める要因となる。
投資家目線で見ると、今期の減益はネガティブな要素ではあるものの、次期増収増益予想と、積極的な新サービス開発・拡販戦略はポジティブに評価できる。特に、物流DXを推進する「ロジスティクスEDI」や「返品ワークフローシステム・サービス」といった具体的な成長戦略が示されており、これらの実行状況が今後の企業価値を大きく左右するだろう。堅調な財務基盤と継続的な株主還元姿勢も、投資家にとって安心材料となる。ただし、経済の不透明性や業界の変化の速さを考慮すると、計画通りの進捗が実現できるか、その実行力に注目が集まる。
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