株式会社YE DIGITALの2026年2月期第2四半期累計連結業績は、前年度の受注減の影響を受け、減収減益となった。売上高は96億65百万円(前年同期比△4.1%減)、営業利益は6億43百万円(同19.3%減)、経常利益は7億7百万円(同17.4%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は4億41百万円(同21.1%減)を計上した。利益面では二桁の減少となり、短期的な業績は軟調に推移した。しかし、通期業績予想は据え置きであり、会社側は下期での回復を見込んでいる。株主還元については、2025年3月31日開催の取締役会で決議された自己株式取得が2025年7月2日までに完了し、上限4億円、500,000株の取得が実施された。また、2026年2月期の年間配当予想は中間期末10.00円、期末10.00円の合計20.00円で変更はない。全体として、短期的な業績はネガティブな要素を含むものの、通期予想の据え置きと積極的な株主還元策は投資家にとって一定の安心材料となり、今後の回復と成長戦略の進捗が注目される決算発表であった。
2026年2月期第2四半期累計の全社業績は、前年度の受注減が影響し、売上高、各利益項目ともに前年同期を下回る結果となった。売上高は96億65百万円となり、前年同期比で4.1%の減少を記録した。利益面では、営業利益が6億43百万円(同19.3%減)、経常利益が7億7百万円(同17.4%減)、親会社株主に帰属する中間純利益が4億41百万円(同21.1%減)と、いずれも二桁の減益となった。これは、主に前年度の受注減少が今期の売上高に影響を与えたことによるもので、特に利益率の高い案件の減少が利益の押し下げ要因となったと推測される。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 96.65億円 | 100.81億円 | △4.1% |
営業利益 | 6.43億円 | 7.97億円 | △19.3% |
経常利益 | 7.07億円 | 8.56億円 | △17.4% |
純利益 | 4.41億円 | 5.59億円 | △21.1% |
ビジネスソリューション事業の売上高は78億34百万円となり、前年同期比で1.2%の減少を記録した。このセグメントは全社売上高の約81.1%を占める。ERPソリューションは、当社プライムでのビジネスDX推進・構築や新たな顧客開拓、案件獲得により前年同期に比べ増加した。自動車製造業向けのビジネスシステム開発も堅調に推移し、安定的な収益貢献を継続している。一方で、健康保険者向けシステム構築は案件が終了したこと、および移動体通信事業者向け開発が前年同期に比べ減少したことが、セグメント全体の売上高を押し下げる要因となった。DX推進の需要は堅調であるものの、特定の大型案件の終了や開発サイクルの影響が業績に反映された形である。今後は、新たな顧客開拓とDX推進案件の獲得が重要となる。
IoTソリューション事業の売上高は18億31百万円となり、前年同期比で14.8%の減少を記録した。このセグメントは全社売上高の約18.9%を占める。物流DX事業では、活発な引き合いや受注が継続しており、今後の成長が期待される。しかし、前年度の受注減の影響が今期の売上高に反映され、インターネット・セキュリティ関連製品の売上も減少した。一方で、畜産DX事業やスマートシティ向けソリューションは前年同期に比べ微増となり、特定の分野での需要は着実に伸びている。IoT分野はデジタル技術の進化とともに成長が期待される領域であり、物流DXやスマートシティといった注力分野での継続的な案件獲得と、新たなソリューション開発が今後の成長を左右する。前年度の受注減からの回復と、新規分野での収益拡大が課題となる。
株式会社YE DIGITALは、2025年3月31日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定に基づき自己株式取得に係る事項を決議し、実行した。これは、株主還元策の一環として実施されたものであり、具体的な事業提携やM&Aの発表は本決算短信には記載されていない。しかし、同社は新中期経営計画(2025-2027)を策定し、「最高のエクスペリエンスを支援するデジタル・サービス企業」を目指す方針を掲げている。この計画では、プロダクト・サービスの機能的価値から顧客体験価値を軸にした事業モデルへの変革、顧客や社会のDXやCX(カスタマー・エクスペリエンス)の加速に貢献することを目指している。このような戦略的な方向性は、将来的に新たな技術やサービスを取り込むための事業提携やM&Aの可能性を示唆するが、現時点での具体的な動向は確認されていない。
2026年2月期の通期連結業績予想は、2025年3月31日に発表された内容から変更はなく、据え置きである。第2四半期累計の実績は、売上高、各利益項目ともに前年同期を下回ったものの、会社側は通期目標達成に向けて下期での挽回を見込んでいる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
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売上高 | 200.00億円 | 48.3% |
営業利益 | 16.00億円 | 40.2% |
経常利益 | 17.00億円 | 41.6% |
純利益 | 11.50億円 | 38.3% |
当中間連結会計期間末の総資産は134億77百万円となり、前連結会計年度末から2億49百万円増加した。流動資産は98億64百万円(1億17百万円増)で、受取手形、売掛金及び契約資産が2億62百万円、仕掛品が1億32百万円増加したことが主な要因である。固定資産は36億13百万円(1億32百万円増)となり、無形固定資産の増加が影響した。
負債合計は61億53百万円で、前連結会計年度末から1億72百万円増加した。流動負債は43億1百万円(1億83百万円増)で、支払手形及び買掛金が1億30百万円、未払費用が71百万円、未払法人税等が63百万円増加した。固定負債は18億51百万円(11百万円減)となった。
純資産合計は73億24百万円で、前連結会計年度末から77百万円増加した。利益剰余金が2億58百万円、新株予約権が1億18百万円増加した一方で、自己株式が3億13百万円増加し、純資産の増加幅を抑制した。
キャッシュフローの状況では、営業活動によるキャッシュ・フローは4億92百万円の収入となり、前年同期比で9億29百万円減少した。これは売上債権及び契約資産の増加や法人税等の支払があったものの、税金等調整前中間純利益や仕入債務の増加、減価償却費等によりプラスを維持した。投資活動によるキャッシュ・フローは△2億9百万円の支出となり、前年同期比で53百万円減少した。無形固定資産の取得による支出が主な要因である。財務活動によるキャッシュ・フローは△5億5百万円の支出となり、前年同期比で3億70百万円減少した。自己株式の取得による支出3億13百万円や配当金の支払額1億82百万円が主な要因である。結果として、現金及び現金同等物の期末残高は29億74百万円となり、前連結会計年度末から2億22百万円減少した。
配当
自己株式取得
株式会社YE DIGITALの2026年2月期第2四半期決算は、前年度の受注減が影響し、売上高、各利益項目ともに前年同期比で減少した。特に営業利益、経常利益、純利益が二桁の減益となった点は、投資家にとって短期的な業績の軟調さを示すネガティブな要素である。しかし、会社側は通期業績予想を据え置いており、これは下期での業績回復に自信を持っていることを示唆している。この点については、投資家は今後の進捗を慎重に見守る必要がある。
同社は新中期経営計画(2025-2027)を策定し、「最高のエクスペリエンスを支援するデジタル・サービス企業」を目指すという明確なビジョンを掲げている。この計画に基づき、プロダクト・サービスの機能的価値から顧客体験価値を軸とした事業モデルへの変革、顧客や社会のDX・CX加速への貢献を目指す方針は、中長期的な企業価値向上に繋がるポジティブな要素である。特に、2025年度は市場や顧客ニーズを起点とした戦略的なマーケティング・営業活動、社内外連携による最適なソリューション提案を通じて受注の加速と拡大に取り組むとしている。
また、前年度の品質性能問題を踏まえたQCD(品質・コスト・納期)の厳守・安定化への取り組みは、顧客信頼性の回復と製品・サービスの品質向上、ひいては利益向上に直結する重要な施策である。さらに、生成AIを開発工程や各業務で最大活用し、生産性・収益性の向上を図る方針は、デジタル技術の進化を積極的に取り入れ、競争力を強化しようとする姿勢を示しており、将来的な成長ドライバーとして期待できる。経営管理システムの刷新・強化と事業ポートフォリオマネジメントの強化によるデータドリブン経営の推進も、効率的な経営体制を構築し、企業価値を高める上で重要な取り組みである。
株主還元策として実施された自己株式取得は、株主への利益還元意識の高さを示し、株価の下支え効果も期待できる。配当予想の据え置きも、安定的な株主還元を重視する姿勢の表れである。
投資家目線では、短期的な業績の落ち込みは懸念材料だが、新中期経営計画に基づく戦略的な取り組み、生成AI活用による生産性向上、そして積極的な株主還元策は、中長期的な企業価値向上への期待を持たせる。今後の見通しとしては、下期における業績の回復度合い、特に新規受注の動向と、新中期経営計画で掲げたDX・CX推進や生成AI活用といった戦略が具体的にどのように収益に貢献していくかが焦点となる。これらの施策が着実に実行され、業績回復と成長軌道への回帰が確認できれば、投資家からの評価はポジティブに転じる可能性が高い。
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