株式会社しまむらの2026年2月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高が前年同期比3.9%増の3,435.77億円、営業利益が同0.2%増の314.61億円、経常利益が同1.8%増の325.56億円、親会社株主に帰属する中間純利益が同3.6%増の229.01億円となり、増収増益を達成した。国内消費環境は賃上げ率上昇の一方で、人件費・物流費・原材料高騰による物価上昇が続き、実質賃金減少と消費者の節約志向が依然として強い状況が続いた。しかし、6月から8月の夏物商品の売行きは良好で、特に8月の異常な暑さにより外出を控える傾向も見られた中で、各事業セグメントにおける商品力の強化や販売戦略の推進が奏功し、堅調な業績を維持した。特にしまむら事業ではPB/JBの品揃え拡充やオンラインストアの好調が寄与し、売上高は前年同期比3.4%増となった。通期業績予想は据え置きであり、第2四半期時点での進捗率は売上高で49.6%、純利益で53.4%と順調な推移を見せている。配当については、2026年2月期の年間配当金予想を前年比5円増の205円としており、株主還元への意欲も示している。全体として、厳しい消費環境下でも戦略的な取り組みにより増収増益を達成し、通期予想に対する進捗も順調であることから、投資家にとってはポジティブな決算発表であったと評価できる。
2026年2月期第2四半期(中間期)連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比3.9%増の3,435.77億円、売上総利益が同5.0%増の1,197.88億円、営業利益が同0.2%増の314.61億円、経常利益が同1.8%増の325.56億円、親会社株主に帰属する中間純利益が同3.6%増の229.01億円となり、増収増益を達成した。国内消費環境は厳しい状況が続いたものの、各事業セグメントにおける商品力強化や販売戦略の推進が奏功し、堅調な業績を維持した。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 3,435.77億円 | 3,305.95億円 | 3.9% |
売上総利益 | 1,197.88億円 | 1,141.06億円 | 5.0% |
営業利益 | 314.61億円 | 314.04億円 | 0.2% |
経常利益 | 325.56億円 | 319.87億円 | 1.8% |
純利益 | 229.01億円 | 221.00億円 | 3.6% |
しまむら事業は全社売上高の約74.3%を占める。 当中間連結会計期間において、しまむら事業の売上高は前年同期比3.4%増の2,551.49億円となった。商品力の強化として、自社開発ブランド(PB)およびサプライヤーとの共同開発ブランド(JB)の品揃えを拡充した。「FIBER DRY(ファイバードライ)」などの吸水速乾・冷感素材や「活き活きラボ」シリーズが好調に推移した。また、「SEASON REASON(シーズンリーズン)」では、素材・機能・シルエットにこだわった高価格帯商品が好調であった。販売力の強化では、気温変動に左右されにくい売上作りを目指し、インフルエンサーやキャラクターを活用した企画の拡大、客層や店舗特性に応じた地域別施策を推進した。前年度下期で大きな反響を呼んだ「超サプライズセール」を上期で初めて実施し、オンラインストアでは都市部店舗での店舗受取サービスが引き続き好調に推移し、実店舗とオンラインの相互送客が一層進んだ。当中間連結会計期間は5店舗を開設、5店舗を閉店し、店舗数は1,416店舗で推移した。
アベイル事業は全社売上高の約10.2%を占める。 当中間連結会計期間において、アベイル事業の売上高は前年同期比3.3%増の348.75億円となった。商品力の強化として、JBを中心としたトレンド提案を推進するとともに、気温の変動に左右されにくいキャラクター商品の拡充を進めた。また、収納グッズやイレギュラーサイズなどのラインロビングによる品揃えの拡充も図った。販促においては、6月21日から実施した重点催事や8月の「TGC teen 2025 SUMMER」への出展が、幅広い層への認知度向上に繋がった。当中間連結会計期間は2店舗を開設し、店舗数は318店舗で推移した。
バースデイ事業は全社売上高の約11.7%を占める。 当中間連結会計期間において、バースデイ事業の売上高は前年同期比5.4%増の401.51億円となった。商品力の強化として、主力のJBやPBの進化に加え、キャラクター商品の拡充などで幅広いターゲット層を取り込んだ。販促においては、5月21日から実施した25周年企画が成功し、それ以降も客数の増加が継続した。新規ブランドやインフルエンサーとのコラボ企画をポップアップ店舗で展開したことが、新規顧客の獲得と認知度向上に繋がった。当中間連結会計期間は1店舗を開設し、店舗数は337店舗で推移した。
シャンブル事業は全社売上高の約2.4%を占める。 当中間連結会計期間において、シャンブル事業の売上高は前年同期比8.7%増の82.83億円となった。25周年企画やラインロビングによる品揃えの拡充が客数増加に効果的であった。前年度から取り組んでいる既存店舗での新型レイアウトの導入については、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の向上につながり、店舗の売上が伸長した。これらの施策の相乗効果により、春ギフトや母の日ギフトも好調に推移した。当中間連結会計期間の店舗開設・閉店は無く、123店舗で推移した。
ディバロ事業は全社売上高の約0.2%を占める。 当中間連結会計期間において、ディバロ事業の売上高は前年同期比12.6%増の5.38億円となった。靴のトレンドである「立ったまま履ける靴」が好調に推移した。6月にオープンした喜久田FM店では、サイズ計測会の実施が客数増加に効果を発揮し、オープン期間の売上高は過去最高を記録した。当中間連結会計期間は2店舗を開設し、店舗数は18店舗で推移した。
思夢樂事業(台湾)は全社売上高の約1.3%を占める。 当中間連結会計期間において、思夢樂事業の売上高は前年同期比8.8%増の45.77億円となった。商品力の強化では、思夢樂オリジナル商品やラインロビングによる品揃えの拡充を推進した。販売力の強化では、SNSとインフルエンサーの活用を積極的に進めたことで、ブランド知名度が向上した。当中間連結会計期間は1店舗を開設、1店舗を閉店し、店舗数は44店舗で推移した。
株式会社しまむらは、当中間連結会計期間において、特定の事業/資本提携やM&Aに関する具体的な発表は行っていない。しかし、各事業セグメントにおいて、商品力の強化を目的とした多様な取り組みを推進している。しまむら事業では、自社開発ブランド(PB)に加え、サプライヤーとの共同開発ブランド(JB)の品揃えを拡充し、インフルエンサーやキャラクターを活用した企画を拡大している。アベイル事業ではJBを中心としたトレンド提案やキャラクター商品の拡充を進め、バースデイ事業ではJBやPBの進化に加え、新規ブランドやインフルエンサーとのコラボ企画をポップアップ店舗で展開し、新規顧客獲得と認知度向上に繋げている。思夢樂事業(台湾)においても、オリジナル商品やラインロビングによる品揃え拡充に加え、SNSとインフルエンサーの活用を積極的に進め、ブランド知名度向上を図っている。これらの取り組みは、外部パートナーとの連携や共同開発を通じて、商品ラインナップの強化や顧客層の拡大を目指す事業提携の一環と捉えることができる。
2026年2月期の通期連結業績予想は、直近に公表された予想から修正はなく、据え置きである。第2四半期(中間期)までの実績は、通期予想に対して順調な進捗を示している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 6,926.40億円 | 49.6% |
営業利益 | 606.90億円 | 51.8% |
経常利益 | 619.90億円 | 52.5% |
純利益 | 428.58億円 | 53.4% |
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ174.93億円増加し、5,846.37億円となった。これは主に投資その他の資産の増加73.02億円、売掛金の増加36.92億円、土地の増加15.83億円、有形固定資産のその他の増加15.37億円、有価証券の増加14.84億円によるものである。負債は前連結会計年度末と比べ10.42億円増加し、672.10億円となった。純資産は前連結会計年度末と比べ164.50億円増加し、5,174.26億円となり、自己資本比率は88.5%と高い水準を維持している。
キャッシュフローの状況を見ると、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前中間連結会計期間末に比べ36.70億円減少し、1,618.59億円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは233.74億円の収入であったが、前中間連結会計期間と比べ46.70億円減少した。これは税金等調整前中間純利益322.42億円や減価償却費32.42億円などがあった一方で、法人税等の支払額96.66億円や売上債権の増加額36.92億円などが影響した。投資活動によるキャッシュ・フローは600.24億円の支出となり、前中間連結会計期間と比べ417.91億円増加した。これは有価証券の取得による支出2,490億円や有形固定資産の取得による支出74.46億円などがあった一方で、有価証券の償還による収入2,041億円などがあったためである。財務活動によるキャッシュ・フローは77.24億円の支出となり、配当金の支払額77.12億円などが主な要因である。
配当
株式会社しまむらの今後の見通しは、国内消費環境の不透明感が続く中で、同社の戦略的な取り組みがどこまで奏功するかが焦点となる。現在の経済状況は、雇用や所得の改善が見られるものの、人件費・物流費・原材料の高騰が続き、実質賃金の減少と消費者の節約志向が依然として強い。特に衣料品消費は厳しい状況が続くと予想される。このような環境下で、しまむらグループは中期経営計画2027の2年目として「ネクスト・チャレンジ2nd『限界を改め更なる高みへ』」をグループ統一テーマに掲げ、社員全員の創意工夫をもって様々な課題に挑戦し、グループの強みをさらに強固なものとすることを目指している。
第2四半期までの業績は増収増益を達成し、通期業績予想も据え置きであることから、会社側は現在の戦略に自信を持っていると見られる。特に、しまむら事業におけるPB/JBの品揃え拡充やオンラインストアの強化、インフルエンサーやキャラクターを活用した販売戦略は、消費者の多様なニーズに応え、集客力を高める上で重要な要素となる。異常な暑さによる外出控え傾向が見られた中でも、夏物商品の売行きが良好であったことは、商品企画力と販売チャネルの柔軟性が一定の成果を上げていることを示唆する。
投資家目線では、通期業績予想に対する進捗率が売上高で49.6%、純利益で53.4%と順調である点はポジティブに評価できる。しかし、下期に向けても消費者の節約志向や物価高騰の影響は継続すると考えられ、競争環境も激しい。しまむらグループが掲げる「限界を改め更なる高みへ」というテーマが、具体的な施策としてどのように展開され、業績に反映されるかが注目される。特に、各事業セグメントにおける商品力のさらなる強化、オンラインと実店舗の連携強化、そして新たな顧客層の獲得に向けた取り組みが、今後の企業価値向上に繋がる鍵となる。配当予想の増額は株主還元への積極的な姿勢を示しており、これも投資家にとって好材料である。全体として、厳しい市場環境下での堅実な成長と株主還元への意識は評価できるが、今後の経済動向とそれに対する同社の対応力には引き続き注視が必要である。
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