株式会社ライフコーポレーションの2026年2月期第2四半期(中間期)連結決算は、営業収益、各利益項目ともに前年同期比で増加し、堅調な業績推移を示した。営業収益は4,401億円(前年同期比4.3%増)、営業利益は133億円(同8.8%増)、経常利益は138億円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は93億円(同4.6%増)を達成した。特に営業利益と経常利益は高い伸び率を記録し、収益性の改善が見られる。
国内経済は回復基調にあるものの、物価高による消費への影響、競争激化、人手不足、コスト上昇など、厳しい経営環境が継続する中で、同社は「第七次中期経営計画」に基づき、BIO-RAL事業の運営体制強化と店舗展開、マーケティング推進室の新設による商圏シェア拡大、そして2027年秋開始予定の新規センター出荷型ネットスーパー事業の導入など、将来の成長に向けた戦略的な投資と事業構造改革を積極的に進めている。
株主還元については、2026年2月期の年間配当予想を1株あたり65.00円(中間32.50円、期末32.50円)と発表し、前回の予想から修正はない。また、2025年5月22日開催の取締役会決議に基づき、同年5月30日付で自己株式8,400,000株を消却した。
全体として、堅調な足元の業績と将来に向けた明確な成長戦略が示されており、投資家にとってはポジティブな要素が多い決算発表であった。
2026年2月期第2四半期累計期間の全社業績は、前年同期と比較して全ての利益項目で増益を達成し、堅調な成長を示した。営業収益は4,401億円に達し、前年同期比で4.3%増加した。これは、新規出店やネットスーパーの拡大、プライベートブランド商品の強化などが寄与した結果である。営業利益は133億円、経常利益は138億円となり、それぞれ前年同期比8.8%増、9.1%増と高い伸び率を記録した。販管費の増加があったものの、カイゼン活動による生産性向上や物件費最適化の取り組みが奏功し、収益性の改善に繋がった。親会社株主に帰属する中間純利益も93億円と、前年同期比4.6%増を達成し、安定した利益成長を維持している。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
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営業収益 | 4,401億円 | 4,218億円 | 4.3% |
営業利益 | 133億円 | 122億円 | 8.8% |
経常利益 | 138億円 | 127億円 | 9.1% |
純利益 | 93億円 | 89億円 | 4.6% |
小売事業が占める全社営業収益割合は約99.95%である。 当中間期において、小売事業は新規出店、ネットスーパーの拡大、「BIO-RAL」等のプライベートブランド商品の強化、鮮度・おいしさを追求した商品施策などを積極的に実施した結果、営業収益は4,399億円(前年同期比4.3%増)を達成した。販管費については、新規出店に伴う賃借料、非現金決済に関する手数料及びシステム関連費用といった各種物件費の増加に加え、人への投資・処遇改善等に伴う人件費も増加した。しかし、カイゼン活動による生産性の向上や物件費最適化の取り組みを推進した結果、セグメント利益は136億円(前年同期比8.9%増)と大幅な増益を確保した。部門別売上高では、生鮮食品部門が1,846億円(前年同期比4.5%増)、一般食品部門が1,934億円(前年同期比5.5%増)と堅調に推移した。一方で、生活関連用品部門は344億円(前年同期比0.6%減)、衣料品部門は112億円(前年同期比1.6%減)と微減となった。同社は、2024年3月に新設したBIO-RAL店舗運営部を2025年3月に「首都圏BIO-RAL店舗運営部」と「近畿圏BIO-RAL店舗運営部」に分割し、意思決定を迅速化することで、オーガニック、ローカル、ヘルシー、サステナブルのコンセプトに沿った「BIO-RAL(ビオラル)」事業の運営体制を強化している。また、新規店舗としてminanoba相模原店、ビオラルうめきた店、ビオラル新宿京王百貨店、ビオラルさんちか店を出店し、2店舗を閉店した。既存店舗では、冷凍食品コーナー拡大や手作りパン・惣菜・ペット用品等の拡充など、地域ニーズを意識した改装も行っている。
その他事業が占める全社営業収益割合は約0.33%である。 その他事業は、株式会社ライフフィナンシャルサービスが該当する。当中間期において、営業収益は14億円(前年同期比3.1%増)となり、セグメント利益は2億円(前年同期比22.8%増)と大幅な増益を達成した。これは、クレジットカード事業等の金融サービスが堅調に推移したことを示している。
同社は、市場拡大が続くネットスーパー事業の拡充を図るため、大型センター・設備を取得し、2027年秋に新規センター出荷型ネットスーパー事業の運営を開始する予定である。この取り組みは、店舗型ネットスーパー事業で制約となっていた拠点スペース不足や人員不足を解消し、出店できていないエリアへの展開を可能にすることで、新たな顧客の獲得と、既存のネットスーパーとは異なる品揃えやサービスを構築し、新規ニーズの取り込みを目指すものである。これは、将来の事業成長に向けた重要な戦略的投資であり、実質的な事業拡大と捉えられる。また、政策保有株式の売却等に伴い、特別利益として7億円を計上した。
2026年2月期の連結業績予想は、2025年4月10日に公表された通期予想から変更なく据え置きである。第2四半期累計期間の実績は、各利益項目で通期予想に対する進捗率が50%を超えており、堅調な推移を示している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
営業収益 | 8,850億円 | 49.7% |
営業利益 | 257億円 | 51.8% |
経常利益 | 265億円 | 52.3% |
純利益 | 180億円 | 51.8% |
当中間連結会計期間末の資産合計は3,393億円となり、前連結会計年度末に比べ333億円増加した。これは主に、現金及び預金が277億円、売掛金が57億円それぞれ増加したことによる流動資産の増加が要因である。固定資産は、有形固定資産の減少があったものの、繰延税金資産の増加により12億円増加した。
負債合計は1,947億円となり、前連結会計年度末に比べ271億円増加した。短期借入金及び長期借入金の合計は減少したが、買掛金が427億円、未払法人税等が33億円、未払金が66億円それぞれ増加したことが主な要因である。純資産合計は1,446億円となり、前連結会計年度末に比べ62億円増加した。これは自己株式が106億円減少したことによる純資産の増加が主な要因である。
キャッシュフローの状況では、現金及び現金同等物は361億円となり、前年同期比26.5%増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは704億円の資金を獲得し、前年同期比24.7%増加した。これは主に仕入債務の増加、減価償却費、税金等調整前中間純利益が寄与した。投資活動によるキャッシュ・フローは59億円の資金を使用し、前年同期比42.7%減少した。これは店舗の新設や既存店舗の改装など、有形固定資産の取得による支出が主な要因である。財務活動によるキャッシュ・フローは366億円の資金を使用し、前年同期比42.5%増加した。長期借入れによる収入があったものの、短期借入金の純減少額及び長期借入金の返済による支出が主な要因となった。
配当
自己株式取得
株式会社ライフコーポレーションの2026年2月期第2四半期決算は、堅調な業績と将来に向けた積極的な戦略投資が示されており、投資家にとってはポジティブな内容であったと評価できる。国内経済は回復基調にあるものの、物価高による消費への影響、競争激化、人手不足、コスト上昇など、依然として不透明な外部環境が継続している。このような状況下で、同社は「第七次中期経営計画」に基づき、「人への投資」「同質化競争からの脱却」「持続可能で豊かな社会の実現への貢献」を主要テーマに掲げ、生産性向上と物件費最適化を軸とした「カイゼン」活動を推進している。
特に注目すべきは、BIO-RAL事業の運営体制強化と店舗展開、マーケティング推進室の新設による商圏シェア拡大、そして2027年秋開始予定の新規センター出荷型ネットスーパー事業の導入といった、将来の成長ドライバーとなる戦略的投資である。これらの取り組みは、短期的なコスト増を伴う可能性があるものの、中長期的には競争優位性の確立、新たな顧客層の獲得、収益基盤の強化に繋がるものと期待される。ネットスーパー事業の強化は、EC化が進む小売業界において不可欠な競争力であり、同社の将来の企業価値向上に大きく寄与する可能性を秘めている。
通期業績予想は据え置きであり、第2四半期時点での進捗率は各利益項目で50%を超えていることから、現在の厳しい経営環境下でも、同社の戦略が一定の成果を上げ、計画通りに推移していることを示唆している。これは、経営陣の実行力と事業の安定性を評価する上で重要な要素となる。
投資家目線では、既存事業の堅調な成長に加え、将来の成長に向けた明確なビジョンと具体的な施策が示されている点が評価される。自己株式の消却も株主還元への意識の表れと捉えられ、企業価値向上へのコミットメントを示すものと言える。ただし、物価高や人手不足といった外部環境の厳しさは引き続き注視が必要であり、これらの要因が今後の業績に与える影響を最小限に抑えつつ、計画通りの戦略実行ができるかが今後の焦点となる。総じて、同社の今後の見通しは、堅実な経営基盤と成長戦略への積極的な投資により、中長期的な企業価値向上が期待される、ポジティブなものと判断できる。
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