株式会社トーホーは、2026年1月期第2四半期(中間期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比1.6%増の1,230億92百万円となった。これは、国内の外食産業向け業務用食品の販売が堅調に推移したことによる。一方で、営業利益は同0.5%減の34億54百万円、経常利益は同3.9%減の34億87百万円となった。これは、食品スーパー事業の撤退が増益に寄与したものの、シンガポール子会社における売上総利益率の低下や既存事業の物流費の上昇などが影響したためである。親会社株主に帰属する中間純利益は、海外子会社ののれんの減損損失や事業所の新築移転に伴う固定資産除却損の計上などにより、同21.4%減の17億93百万円となった。
通期業績予想については、売上高は当初予想を据え置いたが、営業利益、経常利益は下方修正された。これは、海外子会社における販売不振や相場高騰による売上総利益率の低下、および固定資産除却損の一部を上期に計上したことなどが要因である。
株主還元については、2026年1月期の年間配当予想は150円(中間配当75円、期末配当75円)となっている。
総じて、売上高は増加したものの、利益面ではコスト増や一時的な損失の影響を受け減益となった。通期業績予想の下方修正もあり、投資家目線ではややネガティブな決算発表と言える。
株式会社トーホーの2026年1月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高が前年同期比1.6%増の1,230億92百万円となった。これは、国内の外食産業向け業務用食品の販売が堅調に推移したことが主な要因である。しかしながら、営業利益は同0.5%減の34億54百万円、経常利益は同3.9%減の34億87百万円となった。この減益の背景には、食品スーパー事業の撤退による増益効果があったものの、シンガポール子会社における売上総利益率の低下や、既存事業における物流費の上昇といったコスト増が影響した。さらに、親会社株主に帰属する中間純利益は、海外子会社ののれんの減損損失や事業所の新築移転に伴う固定資産除却損の計上といった一時的な要因により、同21.4%減の17億93百万円と大幅な減少となった。
指標 | 2026年1月期(中間期) | 2025年1月期(中間期) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 123,092億円 | 121,196億円 | 1.6% |
営業利益 | 3,454億円 | 3,471億円 | △0.5% |
経常利益 | 3,487億円 | 3,631億円 | △3.9% |
親会社株主に帰属する中間純利益 | 1,793億円 | 2,281億円 | △21.4% |
当事業部門は全社売上高の約77%を占める。 当事業部門の売上高は945億85百万円(前年同期比6.0%増)となった。これは、好調なインバウンド需要を背景とした国内外食業界の堅調な推移が寄与した。しかし、営業利益は25億34百万円(同16.3%減)となった。この減益の要因としては、シンガポール子会社における売上総利益率の低下や、物流費の上昇が挙げられる。事業展開においては、中期経営計画に基づき、エリアごとの市場環境に合わせた事業展開へのシフトを推進し、既存得意先の深耕と新規得意先の開拓を進めた。特に、横浜支店の本格稼働や、持続可能な漁業・養殖場の認証取得、フェアトレード認証コーヒーの取り扱い強化など、商品・サービスの付加価値向上に注力した。また、株式会社三協食鳥を子会社化し、事業基盤の強化を図った。
当事業部門は全社売上高の約18%を占める。 当事業部門の売上高は220億54百万円(前年同期比3.1%増)となった。これは、プロの食材店「A-プライス」を中心に、顧客のニーズに応じた情報提供や新商品の提案を強化したこと、およびクイックコマースサービスの導入などが奏功したためである。一方で、営業利益は6億53百万円(同17.1%減)となった。これは、人件費の増加やPOSレジ導入に伴う減価償却費の増加が影響した。店舗改装や展示商談会の実施により、顧客接点の強化と提案機会の拡大を図った。
当事業部門は全社売上高の約5%を占める。 当事業部門の売上高は64億54百万円(前年同期比3.2%減)となった。これは、建設部門の期中完工が前年同期と比較して少なかったことが影響した。しかし、営業利益は2億67百万円(同75.4%増)と大幅に増加した。これは、前期に計上した本社改修費用の反動などが要因である。品質・衛生管理サービスや外食企業向け業務支援システムなどの提案を強化し、グループシナジーの発揮に努めた。
株式会社トーホーは、2025年6月12日付で「三協流通グループの新設合併会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」を公表しており、2025年9月4日付で当該新設合併会社である「株式会社三協食鳥」の全株式を取得し、完全子会社化した。これにより、業務用食品卸売事業における事業基盤の強化と、さらなる成長を目指す。
株式会社トーホーは、2026年1月期の通期業績予想を修正した。売上高は当初予想を据え置いたが、営業利益と経常利益は下方修正された。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 260,000億円 | 47.4% |
営業利益 | 7,900億円 | 43.7% |
経常利益 | 8,000億円 | 43.5% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 4,700億円 | 37.6% |
株式会社トーホーは、2026年1月期の通期業績予想を修正した。売上高は前回予想から7,000百万円増加し、260,000百万円となった。これは、当中間期の業績が当初の予想値を若干上回ったことを踏まえたものである。一方、営業利益は前回予想から300百万円減少し、7,900百万円となった。経常利益も同様に300百万円減少し、8,000百万円となった。これは、海外子会社における販売の不振や取り扱い商品の相場高騰による売上総利益率・額の低下が影響したためである。親会社株主に帰属する当期純利益は、前回予想から変更なく4,700百万円となった。これは、下期に予定していた固定資産除却損の一部を上期に計上したことなどにより、当初の予想値を下回ったものの、固定資産売却益の計上等を見込んでいるためである。
指標 | 通期予想 | 前年実績 | 増減率 |
---|---|---|---|
売上高 | 260,000億円 | 246,465億円 | 5.5% |
営業利益 | 7,900億円 | 7,496億円 | 5.4% |
経常利益 | 8,000億円 | 7,693億円 | 4.0% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 4,700億円 | 4,485億円 | 4.8% |
2026年1月期第2四半期末の連結貸借対照表によると、総資産は924億29百万円となり、前連結会計年度末に比べて41億9百万円増加した。これは、受取手形、売掛金及び契約資産の増加や棚卸資産の増加によるものである。負債合計は610億84百万円となり、前連結会計年度末に比べて38億82百万円増加した。これは、支払手形及び買掛金の増加や、1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金の増加によるものである。純資産合計は313億45百万円となり、前連結会計年度末に比べて2億27百万円増加した。これは、中間純利益の計上による利益剰余金の増加によるものである。自己資本比率は33.8%となり、前連結会計年度末の34.8%から1.0ポイント低下した。
キャッシュ・フロー計算書によると、営業活動によるキャッシュ・フローは31億37百万円の収入となった。これは、税金等調整前中間純利益の増加や減価償却費の増加、仕入債務の増加などが主な要因である。投資活動によるキャッシュ・フローは13億80百万円の支出となった。これは、店舗の改装・移転に向けた固定資産の取得による支出が主な要因である。財務活動によるキャッシュ・フローは4億8百万円の支出となった。これは、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因である。これらの結果、期末の現金及び現金同等物の残高は103億81百万円となった。
株式会社トーホーは、2026年1月期の通期業績予想を修正したが、依然として厳しい事業環境が続くと見込まれる。特に、海外子会社の販売不振や原材料価格の高騰による収益性の悪化は、今後の業績に影響を与える可能性がある。一方で、国内の外食産業向け業務用食品の販売は堅調に推移しており、インバウンド需要の回復も追い風となるだろう。中期経営計画「SHIFT-UP 2027」を着実に実行し、新たな成長ステージへの変革、サステナビリティ経営の推進、企業認知度の向上といった重点施策を推進していくことが重要となる。
投資家目線では、今回の決算発表は、売上高の増加は評価できるものの、利益面での課題が浮き彫りとなった点がネガティブに捉えられる可能性がある。通期業績予想の下方修正は、今後の業績に対する慎重な見方を示唆している。しかし、食品スーパー事業からの撤退による事業ポートフォリオの見直しや、株式会社三協食鳥の買収といった戦略的な取り組みは、中長期的な企業価値向上に繋がる可能性を秘めている。今後の具体的な施策の進捗と、それらが収益にどのように貢献していくのかを注視する必要がある。また、株主還元については、安定的な配当の維持が期待されるが、自己株式取得などのさらなる株主還元策の拡充も、投資家からの評価を高める上で重要となるだろう。全体として、不確実性の高い経済環境下での事業運営となるが、同社が掲げる成長戦略を着実に実行し、収益構造の改善と企業価値の向上を実現できるかが、今後の株価動向を左右する鍵となると考えられる。
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