正栄食品工業株式会社は、2025年10月期第3四半期連結累計期間において、売上高が前年同期比7.5%増の945億26百万円となった。これは、海外での円高による減収があったものの、日本国内での乳製品、ドライフルーツ、菓子・リテール商品類の売上増加が寄与した結果である。利益面では、DX投資や人件費増加による販売費及び一般管理費の増加があったものの、原料価格上昇を反映した価格適正化により売上総利益が増加し、営業利益は前年同期比0.0%増の42億18百万円となった。経常利益は2.4%減の42億65百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は5.1%減の26億5百万円となった。株主還元については、2025年10月期の年間配当予想は60円となっている。全体として、売上は増加したが、利益面ではコスト増の影響が見られたものの、堅調な業績であったと評価できる。
正栄食品工業株式会社の2025年10月期第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が前年同期比7.5%増の945億26百万円となり、堅調な伸びを示した。これは、主に日本国内における乳製品、ドライフルーツ、菓子・リテール商品類の売上増加が牽引した結果である。一方で、海外市場においては円高の影響による円換算額の減少が見られた。利益面では、DX推進や人件費増加に伴う販売費及び一般管理費の増加があったものの、原料価格の上昇を価格適正化で吸収し、売上総利益は増加した。しかし、これらのコスト増の影響により、営業利益は前年同期比0.0%増の42億18百万円とほぼ横ばいとなった。経常利益は2.4%減の42億65百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は5.1%減の26億5百万円となった。これは、コスト増加の影響が利益を圧迫したことを示唆している。
指標 | 2025年10月期(累計) | 2024年10月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 94,526百万円 | 87,926百万円 | 7.5% |
営業利益 | 4,218百万円 | 4,214百万円 | 0.0% |
経常利益 | 4,265百万円 | 4,370百万円 | △2.4% |
純利益 | 2,605百万円 | 2,746百万円 | △5.1% |
日本事業は、全社売上高の約85%を占める主要セグメントである。2025年10月期第3四半期連結累計期間において、日本事業の売上高は前年同期比6.9%増の822億22百万円となった。これは、輸入乳製品、レーズンやクランベリーなどのドライフルーツ、プルーン小袋などの菓子・リテール商品類の販売価格引き上げが奏功したことによる。セグメント利益は、DX関連のコンサルティング費用や物流費、人件費の増加により販管費が増加したものの、売上総利益の増加により、同9.4%増の38億66百万円となった。
米国事業の売上高は、作柄の影響によるクルミやプルーンの受入量・販売量の減少があったものの、市場価格の上昇を反映した値上げにより米ドル建ての売上は増加した。しかし、前年同期比で約1割の円高となったことによる円換算額の減少が響き、前年同期比2.6%減の83億66百万円となった。セグメント利益は、クルミの販売量減少やプルーンの値上げ遅れ、円高による円換算額の減少が重なり、同21.8%減の5億29百万円となった。
中国事業の売上高は、ナッツ類の国内販売は増加したものの、ドライフルーツの日本向け輸出が減少し、円高による円換算額の減少も影響し、前年同期比0.3%減の84億75百万円となった。セグメント利益は、ドライフルーツの粗利縮小に加え、中国国内でのロジスティクスや拠点間の役割分担見直しに伴う一時的な費用負担もあり、同49.0%減の2億3百万円となった。
2025年6月13日に開催された取締役会決議に基づき、2025年6月16日に東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)により、自己株式280,000株を取得した。これにより、当第3四半期連結会計期間末における自己株式は1,976,054千円となった。この自己株式取得は、株主還元の一環として、資本効率の向上や株主価値の向上を目的としたものと考えられる。
2025年10月期の連結業績予想は、2025年6月13日に公表された内容から変更はない。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 120,000百万円 | 78.8% |
営業利益 | 4,550百万円 | 92.7% |
経常利益 | 4,600百万円 | 92.4% |
純利益 | 2,750百万円 | 94.7% |
該当する決算発表は第3四半期決算のため、通期業績予想の記載はない。
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ24億72百万円増加し、923億78百万円となった。主な増加要因は、受取手形及び売掛金、商品及び製品、仕掛品の増加である。負債合計は、前連結会計年度末に比べ18億22百万円増加し、375億58百万円となった。これは、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、未払金等の増加によるものである。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億50百万円増加し、548億19百万円となった。これは、主に利益剰余金の増加によるものである。キャッシュフロー計算書は作成されていないが、減価償却費は2,087,134千円であった。
配当:
自己株式取得:
株主優待:
正栄食品工業株式会社は、2025年10月期第3四半期連結累計期間において、売上高を前年同期比7.5%増と着実に伸ばしており、これは日本国内市場における堅調な需要と、価格戦略の奏功を示唆している。特に、乳製品、ドライフルーツ、菓子・リテール商品類といった高付加価値製品の販売が好調であることは、同社の製品ポートフォリオの強みを示している。一方で、海外市場における円高の影響や、DX投資、人件費、物流費といったコスト増加は、利益率に影響を与えている。営業利益がほぼ横ばいとなったことは、これらのコスト増を価格転嫁で吸収しきれていない側面を示唆しており、今後の収益性改善に向けた課題となりうる。
しかしながら、通期業績予想に変更はなく、売上高は1,200億円、親会社株主に帰属する当期純利益は27億5千万円を計画しており、第3四半期終了時点での進捗率も順調であることから、通期での目標達成は十分に可能であると見込まれる。特に、通期業績予想に対する純利益の進捗率は94.7%と高く、期末にかけての利益創出への期待は大きい。
今後の見通しとしては、引き続き国内市場でのシェア拡大と、高付加価値製品の販売強化が鍵となるだろう。また、グローバルなサプライチェーンの変動や為替リスクへの対応、そしてDX推進による業務効率化とコスト削減の継続が、持続的な成長と収益性向上に不可欠である。自己株式取得は、株主還元の一環としてポジティブに捉えられる一方、今後の資本政策や成長投資とのバランスが注目される。全体として、同社は外部環境の変化に柔軟に対応しながら、着実な成長を目指していく姿勢を示しており、投資家にとっては、コスト管理と収益性改善の動向を注視しつつ、中長期的な成長ポテンシャルに期待できる状況と言えるだろう。
• 提供されるレポートに誤った情報が含まれる場合があります。正確性や品質を保証するものではないため、決算短信全文を併せてご確認ください。
• 提供されるレポートに投資を推奨するようにも読み取れる内容が含まれる可能性がありますが、当社が投資を推奨するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身の判断で行ってください。
• 決算短信についての訂正の開示があった場合でも、訂正の内容はレポートに反映されませんので、最新の適時開示をご参照ください。また、提供されるレポートの内容は予告なく変更されることがありますのでご注意ください。
• 本レポートにより提供される内容について、当社は、その信頼性、正確性、最新性、完全性、有効性、特定目的への適合性、有用性(有益性)、継続性について保証しません。これらに起因してお客様が何らかの損害を被ったとしても、当該損害につき責任を負わないものとします。
• 提供されるレポートを利用する際は、著作権法、商標法、金融商品取引法などの法令に違反しないようご注意ください。
• 提供されるレポートに関する権利は当社に帰属します。これらの情報を第三者に提供する目的での転用、複製、販売、加工、再利用および再配信は固く禁じます。