株式会社オンワードホールディングスの2026年2月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高、各利益ともに前年同期を上回り、堅調な業績推移を示した。売上高は1,126億36百万円(前年同期比18.4%増)、営業利益は57億36百万円(同9.1%増)、経常利益は55億21百万円(同5.9%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は48億22百万円(同17.4%増)となった。EBITDAも84億8百万円(同9.3%増)と好調に推移している。特に国内事業が「クリック&トライ」サービスの拡大や主要ブランドの堅調な売上、M&Aによる新規事業の貢献などにより、グループ全体の収益性拡大に大きく寄与した。配当予想も中間配当14円、期末配当16円の年間合計30円と、前年同期の26円から増配を予定しており、株主還元への意欲も示されている。全体として、今回の決算発表は投資家にとってポジティブな内容であったと評価できる。
2026年2月期第2四半期(中間期)連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比18.4%増の1,126億36百万円と大幅な増収を達成した。営業利益は同9.1%増の57億36百万円、経常利益は同5.9%増の55億21百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同17.4%増の48億22百万円となり、各利益項目も堅調に伸長した。EBITDAも84億8百万円と前年同期比9.3%増を記録し、事業基盤の強化と収益性の改善が進んでいることを示している。これは主に国内事業の好調な推移と、前第3四半期に完全子会社化した株式会社ウィゴーの貢献が要因である。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 1,126億円 | 951億円 | 18.4% |
営業利益 | 57億円 | 52億円 | 9.1% |
経常利益 | 55億円 | 52億円 | 5.9% |
純利益 | 48億円 | 41億円 | 17.4% |
EBITDA | 84億円 | 76億円 | 9.3% |
国内事業が占める全社売上割合は約92.9%である。当中間連結会計期間において、国内事業は増収増益を達成した。中核事業会社の株式会社オンワード樫山は、「クリック&トライ」サービスの導入店舗を継続的に拡大し、顧客体験の向上に努めた。「23区」の売上高は堅調に推移し、「アンフィーロ」は大幅な増収を記録した。オーダーメイドスーツの「KASHIYAMA」を展開する株式会社オンワードパーソナルスタイルは、デジタル広告によるプロモーション施策が引き続き奏功し、売上高を大幅に伸長させた。これは、顧客ニーズに合わせたパーソナルなサービス提供が奏功した結果である。チャコット株式会社では、「チャコット・コスメティクス」の定番商品であるラスティングベースと、季節限定品の「クールシリーズ」が好調に推移し、売上を牽引した。また、前第3四半期に完全子会社化した株式会社ウィゴーは、各コラボアイテムや盛夏アイテムが好調に進捗し、売上高を大幅に伸長させ、グループ全体の収益性拡大に大きく貢献した。これらの要因により、国内事業は全体として非常に好調な業績を記録した。
海外事業が占める全社売上割合は約7.1%である。当中間連結会計期間において、海外事業は減収となった。ヨーロッパ地域では、英国ロンドン発祥のコンテンポラリーデザイナーズブランドであるJOSEPH事業において、小売は堅調に推移したものの、卸売が苦戦し、結果として減収増益となった。アメリカ地域では、前連結会計年度末に米国グアムにおけるゴルフ事業会社の株式譲渡を実施した影響により減収となったが、トラディショナルブランドであるJ. PRESS事業のEコマース売上高が伸長し、収益性は改善した。これは、事業ポートフォリオの見直しと効率化が進んだことを示唆している。アジア地域では、オーダーメイドスーツの生産受注の増加に伴い大連工場の稼働率が向上し、売上高が拡大した。しかし、中国経済の減速などの影響を受け、中国・香港における小売は苦戦し、結果として減収となった。これらの地域ごとの異なる動向が、海外事業全体の減収に繋がった。
株式会社オンワードホールディングスは、新規事業の創出やM&A等を活用した事業基盤の強化・拡大により成長を加速する方針を掲げている。その具体的な動向として、前第3四半期連結会計期間に株式会社ウィゴーを完全子会社化したことが挙げられる。このM&Aは、Z世代を中心とした若年層へのブランド訴求施策を強化する上で重要な役割を果たし、SNS連動型のプロモーションやコラボアイテムの展開が奏功し、グループ全体の収益性拡大に大きく寄与した。また、アメリカ地域においては、前連結会計年度末に米国グアムにおけるゴルフ事業会社の株式譲渡を実施しており、これにより一部事業の再編と効率化を進めた結果、減収となったものの、収益性の改善に繋がった。これらの事業再編やM&Aは、グループ全体のポートフォリオ最適化と成長戦略の一環として位置づけられている。
2026年2月期の通期連結業績予想は、2025年4月3日に公表された業績予想から変更なく据え置かれた。第2四半期までの累計実績は、売上高で通期予想の約49.0%、営業利益で約49.9%、経常利益で約50.2%、親会社株主に帰属する当期純利益で約48.2%の進捗率となっている。各利益項目は通期予想の約半分に達しており、売上高もそれに近い水準で推移していることから、通期業績予想の達成に向けて順調な進捗であると判断できる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
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売上高 | 2,300億円 | 49.0% |
営業利益 | 115億円 | 49.9% |
経常利益 | 110億円 | 50.2% |
純利益 | 100億円 | 48.2% |
EBITDA | 170億円 | 49.5% |
当中間連結会計期間末における総資産は1,790億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億93百万円減少した。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産、商品及び製品、その他の流動資産の増加があった一方で、現金及び預金、投資有価証券が減少したことによる。負債は953億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億35百万円増加した。これは支払手形及び買掛金、短期借入金の増加が主な要因であり、長期借入金は減少している。純資産は836億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億29百万円減少した。親会社株主に帰属する中間純利益の計上による増加があったものの、その他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定、剰余金の配当による減少が影響した。この結果、自己資本比率は46.7%となった。
キャッシュ・フローの状況では、営業活動によるキャッシュ・フローは39億80百万円の収入となった。これは税金等調整前中間純利益、棚卸資産の増加、売上債権の増加、仕入債務の増加等が主な要因である。投資活動によるキャッシュ・フローは11億69百万円の支出となり、有形固定資産の取得による支出が主な要因である。財務活動によるキャッシュ・フローは58億95百万円の支出となり、借入金の増減および配当金の支払いが主な要因である。これらの結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は103億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億78百万円減少した。
配当
株式会社オンワードホールディングスの2026年2月期第2四半期決算は、売上高、各利益ともに前年同期を大幅に上回り、通期業績予想に対する進捗率も順調であることから、投資家にとっては非常にポジティブな内容であったと評価できる。特に国内事業の好調が際立っており、「クリック&トライ」サービスの拡大、主要ブランドの堅調な売上、KASHIYAMAのデジタルプロモーションの成功、ウィゴーのM&A効果などが、グループ全体の成長を牽引している。これらの施策は、顧客体験の向上、パーソナルサービスの強化、若年層へのアプローチといった多角的な戦略が奏功していることを示唆している。
通期業績予想が据え置かれているものの、第2四半期までの進捗率が概ね50%に達していることから、達成への蓋然性は高いと見られる。増配予想も発表されており、株主還元への積極的な姿勢は投資家からの評価を高める要因となる。
しかし、今後の見通しにはいくつかの不確実性も存在する。日本経済の緩やかな回復基調は続くものの、米国の通商政策の影響、物価上昇の継続による消費者マインドの下振れ、原材料・エネルギー価格の高止まりなど、先行き不透明な状況は依然として残る。特に海外事業では、中国経済の減速や一部地域の卸売の苦戦が見られ、今後のグローバル市場の動向が業績に与える影響は注視が必要である。
企業価値の観点からは、EBITDAの堅調な伸びは、事業の収益性とキャッシュ創出力の改善を示しており、中長期的な企業価値向上に繋がる基盤が強化されている。M&Aや新規事業創出による成長戦略の継続は、新たな収益源の確保と事業ポートフォリオの多様化に貢献する可能性を秘めている。特にウィゴーの成功事例は、今後のブランド戦略やターゲット層拡大において重要な示唆を与える。
総じて、オンワードホールディングスは堅調な国内事業を基盤に、戦略的なM&Aやデジタル施策を通じて成長を続けている。外部環境の不確実性はあるものの、現在の事業戦略が奏功していることから、今後の業績も堅調に推移し、企業価値のさらなる向上が期待される。投資家は、国内事業の持続的な成長と海外事業の改善、そして新たな成長戦略の進捗に注目していくことになるだろう。
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