株式会社リヒトラブの2026年2月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高が前年同期比2.2%増の48.79億円と増収を達成したものの、利益面では大幅な減益となった。営業利益は前年同期比89.9%減の0.06億円、経常利益は同12.0%減の0.44億円、親会社株主に帰属する中間純利益は同22.9%減の0.33億円であった。主力の事務用品等事業は新製品の投入や価格改定効果により増収増益となったが、不動産賃貸事業における賃貸用マンション購入に伴う租税公課の増加が利益を圧迫した。通期業績予想は据え置きであり、第2四半期時点での営業利益進捗率は4.0%と低調なため、通期目標達成には下半期での大幅な巻き返しが必要となる。この決算発表は、売上は堅調ながら利益面で課題が露呈し、投資家にとってはネガティブな印象を与える内容であった。
2026年2月期第2四半期(中間期)連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比2.2%増の48.79億円と増収を達成した。しかし、利益面では大幅な減益を記録し、営業利益は前年同期比89.9%減の0.06億円、経常利益は同12.0%減の0.44億円、親会社株主に帰属する中間純利益は同22.9%減の0.33億円となった。これは、主力の事務用品等事業が増収増益となった一方で、不動産賃貸事業において賃貸用マンションの購入に伴う租税公課が増加したことが主な要因である。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 48.79億円 | 47.76億円 | 2.2% |
営業利益 | 0.06億円 | 0.63億円 | △89.9% |
経常利益 | 0.44億円 | 0.51億円 | △12.0% |
純利益 | 0.33億円 | 0.43億円 | △22.9% |
事務用品等事業は全社売上高の95.6%を占める。当中間期において、売上高は46.65億円(前年同期比2.9%増)、営業利益は1.71億円(前年同期比139.1%増)と増収増益を達成した。新製品の積極的な投入や価格改定効果、国内営業・量販部門の売上増加が寄与した。新製品としては、美術館や観劇の思い出をパーソナルコレクションとして楽しめる『Collel』シリーズ、株式会社サンリオとのコラボレーション製品「PuniLabo」スタンドペンケース、「1冊でも倒れないブックスタンド」限定色、オリジナルノートが作れる「カスタマイズ オープンリングノート」などが売上を伸ばした。既存製品では、主力製品の机収納シリーズ「机上台」に新たなバリエーションを拡充し、ロングセラーの「ルーパーファイル」や「カラークリヤーホルダー」のほか、「リクエストD型リングファイル」、「リクエストクリヤーブック」、OEM製品等が引き続き堅調に売上を確保した。また、「オープンリングノート」「ツイストノート」「適合リーフ」などの製品について、FSC®認証を取得し、環境配慮型製品としての販売も推進している。部門別では、収納整理用品部門が前年同期比5.0%増の15.70億円、その他事務用品部門が同29.6%増の4.67億円と好調に推移した。一方で、ファイル部門は同0.7%減の13.51億円、バインダー・クリヤーブック部門は同3.2%減の12.76億円と微減となった。
不動産賃貸事業は全社売上高の4.4%を占める。当中間期において、売上高は2.14億円(前年同期比11.7%減)となり、営業損失は△0.23億円(前中間連結会計期間は営業利益0.77億円)を計上した。大阪市中央区の本社ビルや東京都墨田区菊川の賃貸用マンション等の既存収益物件に加え、2025年5月に購入した大阪市東成区の賃貸用マンションが稼働を開始したことにより安定した賃料収入を確保した。しかし、2024年11月に大阪市住之江区の賃貸用倉庫を売却した影響により、前年同期比で減収となった。また、大阪市東成区の賃貸用マンション購入に伴う租税公課の増加が利益を圧迫し、営業損失を計上する結果となった。
不動産賃貸事業において、2025年5月に大阪市東成区の賃貸用マンションを新たに購入し、稼働を開始した。これにより賃料収入の安定化を図っている。一方で、2024年11月には大阪市住之江区の賃貸用倉庫を売却した。これらの資産の取得・売却は、事業ポートフォリオの最適化と収益構造の改善を目指す動きと捉えられる。
2026年2月期の通期連結業績予想は、2025年10月1日に公表された内容から修正はなく、据え置きとなった。第2四半期(中間期)までの実績に対する進捗率は、売上高が51.9%、営業利益が4.0%、経常利益が22.0%、純利益が22.0%である。特に営業利益の進捗率が著しく低く、通期目標達成には下半期での大幅な改善が必要となる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 94.00億円 | 51.9% |
営業利益 | 1.50億円 | 4.0% |
経常利益 | 2.00億円 | 22.0% |
純利益 | 1.50億円 | 22.0% |
当中間連結会計期間末における総資産は128.81億円となり、前連結会計年度末に比べ5.51億円減少した。これは主に賃貸用マンションの購入による建物及び構築物と土地の増加があったものの、購入に伴う現金及び預金の減少や商品・製品の減少が影響した。負債合計は23.41億円で、前連結会計年度末に比べ4.53億円減少した。長期借入金や未払法人税等の減少が主な要因である。純資産は105.40億円となり、前連結会計年度末に比べ0.97億円減少した。利益剰余金や為替換算調整勘定の減少が影響している。結果として、自己資本比率は前連結会計年度末の79.2%から81.8%に上昇した。
キャッシュフローの状況では、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ10.13億円減少し、13.18億円となった。営業活動によるキャッシュフローは、棚卸資産や売上債権の減少、減価償却費等により5.44億円の増加を記録した。投資活動によるキャッシュフローは、賃貸用マンションの購入に伴う有形固定資産の取得等により12.85億円の減少となった。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や配当金の支払等により2.42億円の減少となった。
配当
株式会社リヒトラブの2026年2月期第2四半期決算は、売上高は堅調に推移したものの、利益面で大幅な減益を記録し、投資家にとっては懸念材料が多い結果となった。特に営業利益の進捗率が通期予想に対して4.0%と極めて低く、通期目標達成への道のりは厳しいと評価できる。
主力の事務用品等事業は、新製品の投入や価格改定効果により増収増益を達成しており、この事業の成長戦略は一定の成果を上げている。しかし、不動産賃貸事業における賃貸用マンション購入に伴う租税公課の増加が全社利益を大きく圧迫しており、この事業の収益性改善が喫緊の課題である。不動産賃貸事業は、賃貸用マンションの購入により賃料収入の安定化を図る一方で、賃貸用倉庫の売却による減収や、新たな資産取得に伴う費用増が利益を圧迫している状況である。今後、新規取得した物件が安定稼働し、収益に貢献するまでの期間や、それに伴う費用負担の動向が注目される。
通期業績予想が据え置かれていることから、会社側は下半期での大幅な利益改善を見込んでいると考えられるが、その具体的な根拠や施策については、今回の資料からは詳細に読み取れない。投資家としては、事務用品等事業の好調を維持しつつ、不動産賃貸事業の収益構造をいかに改善していくか、また、全社的なコスト管理や効率化がどこまで進むのかを注視する必要がある。
自己資本比率は上昇しており、財務基盤は比較的安定しているものの、投資活動によるキャッシュフローの減少や現金及び現金同等物の減少は、今後の成長投資や株主還元策に影響を与える可能性も考慮すべきである。配当予想は据え置かれているが、利益水準が低迷する中で、今後の株主還元方針が維持されるかどうかも重要なポイントとなる。
総じて、今回の決算発表は、売上成長の兆しは見られるものの、利益面での課題が顕在化し、通期目標達成への不透明感が強い内容であった。投資家は、下半期における具体的な利益改善策の実行と、その進捗状況を慎重に見極める必要がある。
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