株式会社TAKARA & COMPANYの2026年5月期第1四半期連結累計期間は、売上高90.86億円(前年同期比8.6%増)、営業利益17.12億円(同3.7%増)、経常利益17.89億円(同4.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益11.93億円(同4.1%増)と、増収増益を達成した。特にディスクロージャー関連事業において、株主総会招集通知や統合報告書の売上増加に加え、株式会社ジェイ・トラストの連結子会社化が業績に貢献した。通訳・翻訳事業も、通訳事業の好調とAI通訳サービスの伸長により増収となった。財務状態では、総資産が前連結会計年度末から減少したものの、純資産は増加し、自己資本比率も改善している。配当については、2026年5月期の年間配当予想は前年と同額の1株当たり120円を維持する見込みであり、株主還元への安定した姿勢を示している。全体として、堅調な業績推移と戦略的な事業展開が見られ、投資家にとってはポジティブな決算発表であったと評価できる。
当第1四半期連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比8.6%増の90.86億円、営業利益が同3.7%増の17.12億円、経常利益が同4.8%増の17.89億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同4.1%増の11.93億円となり、増収増益を達成した。これは、ディスクロージャー関連事業における株主総会招集通知や統合報告書の売上増加に加え、株式会社ジェイ・トラストの連結子会社化が寄与した。また、通訳・翻訳事業も、国際会議や大型イベントの復活、オンライン会議の安定的な推移、AI通訳サービスの伸長により増収となった。利益面では、売上高の増加が外注費の増加を上回り、業務効率化による販管費の抑制も寄与し、増益を確保した。
指標 | 2026年5月期1Q(累計) | 2025年5月期1Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 90.86億円 | 83.70億円 | 8.6% |
営業利益 | 17.12億円 | 16.51億円 | 3.7% |
経常利益 | 17.89億円 | 17.08億円 | 4.8% |
純利益 | 11.93億円 | 11.46億円 | 4.1% |
ディスクロージャー関連事業は全社売上高の約75.6%を占める。当セグメントの売上高は68.73億円(前年同期比9.3%増)、セグメント利益は15.03億円(同4.4%増)となった。国内株式市場が日経平均株価40,000円台を回復するなど堅調に推移する中、企業価値の拡大を目指す顧客ニーズに応えるべく、決算開示実務の利便性向上を推進する統合型ビジネスレポートシステム「WizLabo」の導入社数増加に注力した。また、「ネットで招集」や株主総会の動画配信といった株主総会プロセスの電子化への対応、AIを活用した先進的テクノロジーの組み入れにも引き続き取り組んだ。改訂コーポレートガバナンス・コード適用や資本コストを意識した経営の実現に向けたステークホルダーとの対話、海外投資家向けの英文会社情報開示への取り組み、サステナビリティ情報を含む非財務情報開示の充実化への需要に対応した統合報告書の作成支援や環境関連コンサルティング等、サービスにおける提案力・制作体制・品質の強化を進めた。さらに、日常の定形業務においてはRPAによる自動化・効率化を推進し、年間合計で3万時間超をRPAによる業務代行に移行できた。製品区分別では、資産運用会社等へのサービス提供を行う株式会社ジェイ・トラストを連結したことにより、金融商品取引法関連製品の売上高は28.88億円(同8.5%増)となった。会社法関連製品は株主総会招集通知の売上増加により18.96億円(同14.3%増)、IR関連製品は統合報告書の売上増加により15.82億円(同5.8%増)、その他製品は適時開示情報の書面送付などにより5.07億円(同7.9%増)となった。
通訳・翻訳事業は全社売上高の約24.3%を占める。当セグメントの売上高は22.12億円(前年同期比6.2%増)、セグメント利益は1.69億円(同47.6%増)となった。通訳事業においては、日本での国際会議や大型イベントが復活する一方、コロナ禍で需要が増加したオンラインでの社内会議も安定的に推移し、オンサイトとオンラインを組み合わせたハイブリッド型会議など、様々な形式で顧客数が増加した。過去取引案件のフォローアップ等、営業活動を積極的に展開したことで、取引社数および受注数ともに前年同四半期比で増加している。翻訳事業においては、大型案件の減少や大学等一部業種・分野での翻訳ニーズ縮小により売上高は前年同四半期を下回ったものの、昨年度より受注を積み上げている「AI翻訳プラットフォームSIMULwiz」の販売強化を引き続き実施している。昨年度に販売を開始したAI通訳サービス関連の当四半期売上高は、すでに昨年度の実績を超過し、伸長している。利益面では、外注費は増加したものの、それを上回る売上高の増加と、業務効率化による販管費の抑制により、セグメント利益は大幅に増加した。通訳・翻訳業界におけるAI影響のリサーチを行い、変化する顧客ニーズに対応する新たな製品として翻訳プラットフォーム「SIMULwiz」や「AI通訳」の販売を開始するなど、提供体制の整備にも注力している。
当第1四半期連結累計期間において、ディスクロージャー関連事業の強化を目的として、株式会社ジェイ・トラストを新たに連結子会社化した。これにより、資産運用会社等に対する金融商品に係るディスクロージャーのサービス提供体制が強化され、同事業の売上高増加に貢献した。このM&Aは、ディスクロージャー関連事業の製品区分である金融商品取引法関連製品の売上高を前年同期比8.5%増の28.88億円に押し上げる主要因となった。
2026年5月期の全社業績予想は、2025年7月9日発表の内容から修正はなく据え置きである。第1四半期連結累計期間の実績は、通期予想に対して売上高で27.5%、営業利益で38.9%、純利益で38.5%の進捗率となっている。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
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売上高 | 330.00億円 | 27.5% |
営業利益 | 44.00億円 | 38.9% |
純利益 | 31.00億円 | 38.5% |
当第1四半期連結累計期間末の総資産は384.51億円となり、前連結会計年度末に比べて16.07億円減少した。これは主に流動資産が18.18億円減少したことによる。流動資産の減少は、受取手形及び売掛金が22.09億円、仕掛品が4.51億円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が7.15億円増加したことなどが影響している。固定資産は2.11億円増加し、141.58億円となった。これはソフトウエア仮勘定や投資有価証券の増加による。負債合計は76.30億円となり、前連結会計年度末から17.01億円減少した。流動負債は16.83億円減少し、賞与引当金が増加したものの、買掛金や未払費用が減少した。純資産合計は308.21億円となり、前連結会計年度末に比べて0.94億円増加した。これは親会社株主に帰属する四半期純利益11.93億円の計上による増加と、剰余金の配当9.73億円による減少などが主な要因である。結果として、自己資本比率は前連結会計年度末の75.7%から79.2%に改善し、財務の健全性が向上した。なお、当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
配当
株式会社TAKARA & COMPANYの第1四半期決算は、増収増益を達成し、財務健全性も向上していることから、投資家にとっては全体的にポジティブな内容であったと評価できる。特に、ディスクロージャー関連事業における「WizLabo」の導入社数増加や、株主総会プロセスの電子化、AIを活用した先進的テクノロジーへの対応といった戦略的な取り組みが着実に成果を上げている点は、今後の成長ドライバーとして期待される。また、株式会社ジェイ・トラストの連結子会社化が売上高に貢献していることは、M&A戦略が企業価値向上に寄与していることを示唆する。
通訳・翻訳事業においても、国際会議や大型イベントの復活、オンライン会議の安定的な推移、そしてAI通訳サービスの伸長が売上を牽引しており、市場の変化に柔軟に対応している姿勢がうかがえる。AI翻訳プラットフォーム「SIMULwiz」の販売強化など、技術革新を取り入れたサービス展開は、将来的な競争優位性を確立する上で重要である。
一方で、通期業績予想が据え置かれている点は、投資家にとって慎重な見方をする要因となる可能性がある。第1四半期の実績が進捗率で売上高27.5%、営業利益38.9%、純利益38.5%と順調に見えるものの、通期予想に対する上振れ修正がなかったことは、会社側が今後の経済情勢や事業環境に対して一定の不透明感を抱いているか、あるいは保守的な見通しを維持していることを示唆する。原材料・エネルギー価格の高止まりや物価上昇、米国による新たな関税政策や中東情勢の緊迫化など、外部環境には依然として不透明な要素が多く、これが通期予想の据え置きに繋がっている可能性が高い。
投資家としては、堅調な第1四半期の実績と戦略的な事業展開を評価しつつも、通期予想の据え置きの背景にあるリスク要因や、今後の四半期での業績上振れの可能性について注視する必要がある。特に、AI活用やRPAによる業務効率化の進捗が、今後の利益率改善にどれだけ寄与するかが注目される。また、ディスクロージャー関連事業におけるM&A効果の継続性や、通訳・翻訳事業におけるAI関連サービスの市場浸透度も、企業価値のさらなる向上を見極める上での重要なポイントとなる。現時点では、堅実な成長と安定した株主還元姿勢が評価されるが、今後の外部環境の変化とそれに対する企業の対応力が、通期業績達成の鍵を握ると考えられる。
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