株式会社マツモトの2026年4月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比7.2%減の382百万円となった。これは、学校アルバム部門の売上減少が主な要因である。営業損失は139百万円、経常損失は134百万円、四半期純損失は136百万円となり、いずれも前年同期と比較して損失額は縮小した。これは、労務費の減少や固定資産の減損損失計上による減価償却費の減少が寄与した。株主還元については、配当は実施されていない。本決算発表は、売上高の減少はあったものの、損失の縮小という点では一定の改善が見られ、総じて中立的な評価となる。
株式会社マツモトの2026年4月期第1四半期累計期間の業績は、売上高が前年同期比7.2%減の382百万円となった。これは、学校アルバム部門の売上高が同6.6%減の275百万円、一般商業印刷部門の売上高が同8.9%減の106百万円となったことによる。損益面では、労務費の減少や固定資産の減損損失計上による減価償却費の減少により、売上原価が前年同期比58百万円減少した。これにより、営業損失は139百万円(前年同期比29百万円損失減)、経常損失は134百万円(前年同期比29百万円損失減)、四半期純損失は136百万円(前年同期比29百万円損失減)となり、損益は改善した。
指標 | 2026年4月期(累計) | 2025年4月期(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 382億円 | 412億円 | △7.2% |
営業利益 | △139億円 | △168億円 | 17.3% |
経常利益 | △134億円 | △163億円 | 17.8% |
純利益 | △136億円 | △165億円 | 17.5% |
学校アルバム事業は全社売上高の72.1%を占める。当第1四半期累計期間の学校アルバム部門の売上高は275百万円となり、前年同期比6.6%減となった。これは、期首時点の受注残高の減少等が主な要因である。損益面では、労務費の減少等により、前年同期比で損失額が縮小した。学校アルバム部門は、卒業シーズンである2月、3月に売上が集中する季節的な特性を持つ。そのため、第1四半期は年間売上高の4分の1には満たない水準となり、損益についても固定費の発生が先行するため、損失となることが避けられない状況である。収益改善のため、顧客に対し製造コスト増加分の価格転嫁交渉を行い、販売価格の適正化を図る方針である。
一般商業印刷事業は全社売上高の27.9%を占める。当第1四半期累計期間の一般商業印刷部門の売上高は106百万円となり、前年同期比8.9%減となった。これは、出荷数量の減少が主な要因である。損益面では、前年同期比で損失額が縮小した。
株式会社マツモトは、2025年8月28日の取締役会において、保有する投資有価証券の一部銘柄を売却することを決定した。これにより、2026年4月期第2四半期において、約62百万円の特別利益(投資有価証券売却益)を計上する見込みである。この売却は、資金の効率化と財務体質の強化を目的としている。また、同日には、退任取締役からの役員退職慰労金の一部返上を受け、2026年4月期第2四半期において、約30百万円の特別利益(役員退職慰労引当金戻入額)を計上する見込みである。これらの特別利益の計上は、財務体質の改善に寄与すると考えられる。
株式会社マツモトは、2026年4月期の通期業績予想に変更はない。第1四半期累計期間の業績は、売上高が通期予想2,155百万円に対し、進捗率17.7%となっている。営業利益は通期予想△367百万円に対し、進捗率は計算不能である。経常利益は通期予想△12百万円に対し、進捗率は計算不能である。純利益は通期予想57百万円に対し、進捗率は計算不能である。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
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売上高 | 2,155億円 | 17.7% |
営業利益 | △367億円 | - |
経常利益 | △12億円 | - |
純利益 | 57億円 | - |
株式会社マツモトは、2026年4月期の通期業績予想を売上高2,155百万円、営業利益△367百万円、経常利益△12百万円、純利益57百万円としている。前事業年度(2025年4月期)の実績と比較すると、売上高は0.6%減、営業利益は大幅な改善、経常利益は大幅な改善、純利益は大幅な改善となる見込みである。
指標 | 通期予想 | 前年実績 | 増減率 |
---|---|---|---|
売上高 | 2,155億円 | 2,155億円 | △0.6% |
営業利益 | △367億円 | △525億円 | 30.5% |
経常利益 | △12億円 | △93億円 | 87.1% |
純利益 | 57億円 | △324.79億円 | 117.6% |
当第1四半期末の総資産は2,126百万円となり、前事業年度末から41百万円増加した。これは、流動資産が19百万円増加し、固定資産が22百万円増加したことによる。流動負債は150百万円増加し、固定負債は9百万円増加した。純資産は118百万円減少し、706百万円となった。これは、四半期純損失の計上により利益剰余金が減少したことによる。キャッシュフローに関する情報は、第1四半期累計期間については作成されていない。
株式会社マツモトの第1四半期決算は、売上高の減少という厳しい状況を示しているものの、損失の縮小という点では一定の改善が見られた。特に、学校アルバム部門の売上減少は、同社の収益構造における季節性と競争環境の厳しさを浮き彫りにしている。しかしながら、労務費の削減や固定資産の減損損失計上による減価償却費の減少といったコスト削減努力が奏功し、損益面での改善は評価できる。
今後の見通しとしては、まず、学校アルバム部門における販売価格の適正化による収益改善が喫緊の課題となる。顧客への価格転嫁交渉が成功すれば、売上総利益率の改善に繋がり、収益構造の強化に大きく貢献するだろう。また、営業費用の削減策も着実に実行し、固定費の抑制を図る必要がある。特に、人件費の抑制や業務委託費、水道光熱費、修繕費の見直しは、収益性を改善させる上で重要な要素となる。
さらに、自律的な資金調達の強化も、継続企業の前提に関する重要な不確実性を解消するための鍵となる。保有資産の売却や遊休不動産の活用による収益物件化は、キャッシュフローの改善に直結する。これらの施策が計画通りに進捗し、早期に成果を上げることができれば、財務基盤の安定化に大きく寄与するだろう。
投資家目線で見ると、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が指摘されており、株主還元策も限定的であるため、積極的な投資判断を下すには慎重さが求められる。しかし、上記のような収益改善策や財務基盤強化策が着実に実行され、具体的な成果として現れてくれば、企業価値の向上に繋がる可能性を秘めている。特に、学校アルバム部門の価格転嫁交渉の行方や、資産売却による財務改善の進捗は、今後の注目点となるだろう。これらの取り組みが成功すれば、中長期的には業績回復への期待が高まる。
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