株式会社CAICA DIGITALは、2025年10月期第3四半期連結累計期間において、売上高3,840百万円(前年同期比9.1%減)、営業利益66百万円(同33.8%減)、経常利益74百万円(同26.7%減)となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は588百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失11百万円)となり、特別利益の計上により大幅な増益となった。ITサービス事業は、利益率向上を目的とした高単価案件の選別受注や新規ビジネスであるDXソリューションサービスの開始により堅調に推移したが、一部案件の遅延等により売上高は減少した。金融サービス事業は、暗号資産関連事業からの撤退等により売上高は大幅に減少したが、営業損失は縮小した。株主還元については、2025年10月期の期末配当予想は未定である。本決算発表は、特別利益の計上による大幅な純利益の増加という点でポジティブに捉えられるが、売上高および営業利益の減少は懸念材料であり、総じて中立的な評価となる。
株式会社CAICA DIGITALの2025年10月期第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が前年同期比9.1%減の3,840百万円となった。これは、ITサービス事業における高単価案件の選別受注や新規ビジネスの開始があったものの、一部案件の遅延等により売上高が伸び悩んだこと、また、金融サービス事業からの撤退の影響によるものである。営業利益は同33.8%減の66百万円、経常利益は同26.7%減の74百万円と減益となった。これは、売上高の減少に伴う利益の減少によるものである。一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益は、投資有価証券売却益529百万円を特別利益として計上したことにより、前年同期の親会社株主に帰属する四半期純損失11百万円から大幅に増加し、588百万円となった。この特別利益の計上により、中間連結会計期間に引き続き、当第3四半期連結累計期間においても各段階利益で黒字を維持した。
指標 | 2025年10月期(累計) | 2024年10月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 3,840億円 | 4,225億円 | △9.1% |
営業利益 | 66億円 | 99億円 | △33.8% |
経常利益 | 74億円 | 74億円 | △26.7% |
EBITDA | 確認されていない | 確認されていない | 確認されていない |
純利益 | 588億円 | △11億円 | 確認されていない |
ITサービス事業は、全社売上高の大部分を占めている。当第3四半期連結累計期間において、ITサービス事業の売上高は3,838百万円(前年同期比8.5%減)、営業利益は433百万円(同12.2%減)となった。金融機関向けシステム開発分野では、大型案件の引き合い獲得の遅れが見られた。非金融向けシステム開発分野は堅調であったものの、旅行業等におけるオンサイトプロジェクトの増加に対応する人員確保が課題となった。フィンテック関連分野では、一部案件の顧客都合による終了があった。一方で、DXソリューションサービスは好調に推移し、大手海外ベンダーとの提携を通じて、プロダクト販売、コンサルティング、設計、導入サポート、保守・運用までをフルSIで提供するサービスを展開している。2025年7月には、製品情報を発信するLPを公開し、研修サービスも開始するなど、販売強化に取り組んでいる。
金融サービス事業の売上高は8百万円(前年同期比77.9%減)、営業損失は71百万円(前年同期は営業損失132百万円)となった。暗号資産の投資・運用は、市場の上昇トレンドを背景に堅調に推移した。審査制NFT販売所「Zaif INO」では、NFT漫画プロジェクトの展開やゲーム分野以外へのサービス拡充を図っている。カスタマーディベロップメントサービスは、様々な業界に対応可能な顧客対応を提供し、顧客との関係構築を支援している。しかし、全体としては、暗号資産関連事業からの撤退の影響により、売上高は大幅に減少した。
その他事業は、暗号資産コンテンツ提供を行うメディア事業で構成されていたが、2025年2月に終了した。
株式会社CAICA DIGITALは、2025年7月8日付で、株式会社ネクスを株式交換完全子会社とすることを決議し、株式交換契約を締結した。これにより、ネクスは当社の完全子会社となる。本株式交換により、ネクスのIoT機器、通信インフラ、エッジコンピューティングに関する技術と、当社のブロックチェーン、AI等の先端技術を融合させ、分散型技術とリアルデバイスを組み合わせた新たなサービスの創出や、社会全体のDX加速を目指す。この提携は、Web3型IoT統合ソリューション構想の実現に向けた戦略的なPoC(概念実証)を開始するものであり、次世代M2M/MECプラットフォーム構築に向けた実証を進める。
2025年10月期通期連結業績予想は、2025年6月13日公表の予想から修正されている。本日(2025年9月12日)公表された「2025年10月期通期連結業績予想の修正及び中期経営計画に関するお知らせ」等を参照のこと。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 5,409億円 | 71% |
営業利益 | 132億円 | 50% |
経常利益 | 141億円 | 52% |
EBITDA | 確認されていない | 確認されていない |
純利益 | 906億円 | 65% |
該当する決算発表が通期決算発表ではないため、このセクションは削除する。
2025年10月期第3四半期連結会計期間末における総資産は3,194百万円となり、前連結会計年度末比で31.7%増加した。これは、短期貸付金の増加や投資有価証券の増加によるものである。負債は528百万円となり、同31.0%減少した。これは、短期借入金の減少によるものである。純資産は2,666百万円となり、同60.7%増加した。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益による利益剰余金の増加や、その他有価証券評価差額金の増加によるものである。自己資本比率は83.5%となり、財務基盤はより強固になった。キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
株式会社CAICA DIGITALは、第3四半期連結累計期間において、売上高は減少したものの、特別利益の計上により親会社株主に帰属する四半期純利益は大幅に増加し、黒字を維持した。これは、金融サービス事業からの撤退や、ITサービス事業におけるDXソリューションサービスの推進といった構造改革が進展していることを示唆している。特に、株式会社ネクスとの株式交換による経営統合は、両社の技術力を融合させ、Web3型IoT統合ソリューションの提供を目指すものであり、将来的な成長に向けた重要な一手となるだろう。この提携により、IoT、ブロックチェーン、AIといった先端技術を組み合わせた新たなサービスの創出が期待され、社会全体のDX加速に貢献する可能性を秘めている。投資家目線では、短期的な業績の変動よりも、中長期的な成長戦略の進捗が注目される。特に、ネクスとの連携による具体的な成果創出や、DXソリューション事業のさらなる拡大が、今後の企業価値向上に繋がるかどうかが鍵となる。一方で、ITサービス事業における新規案件獲得の遅れや、人員確保といった課題への対応も引き続き注視が必要である。全体として、構造改革を進めつつ、新たな成長ドライバーの育成に注力する姿勢は評価できるが、その実行力と成果が今後の株価に影響を与えるだろう。
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