萩原工業株式会社の2025年10月期第3四半期決算は、売上高が前年同期比1.5%減の240億44百万円となった。営業利益は同22.5%減の13億32百万円、経常利益は同23.1%減の14億88百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同四半期比20.8%増の15億57百万円となったが、これは笠岡工場建設に伴う補助金8億円を特別利益に計上したことによるものである。全体としては、国内経済の緩やかな回復基調の中、コスト管理強化や販売戦略の見直しを進めたものの、一部事業での需要減が影響し、減収減益となった。株主還元としては、2025年10月期の年間配当予想を65円(期末配当35円)に修正した。
萩原工業株式会社の2025年10月期第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が前年同期比1.5%減少し、240億44百万円となった。これは、国内経済の物価上昇に伴う消費マインドの下振れや、米国の通商政策の影響が懸念される中、一部事業での需要減が影響したためである。営業利益は同22.5%減の13億32百万円、経常利益は同23.1%減の14億88百万円と、減収幅以上に利益が減少した。これは、原材料の見直しや生産効率の改善等によるコスト管理強化を進めたものの、海上物流の混乱などに対応するための生産体制再構築に伴う費用増加などが影響したと考えられる。一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同四半期比20.8%増の15億57百万円となった。この増加は、笠岡工場建設に伴い交付決定された補助金8億円を特別利益に計上したことが主因である。
指標 | 2025年10月期(累計) | 2024年10月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 24,044億円 | 24,408億円 | △1.5% |
営業利益 | 1,332億円 | 1,720億円 | △22.5% |
経常利益 | 1,488億円 | 1,935億円 | △22.5% |
EBITDA | 確認されていない | 確認されていない | 確認されていない |
純利益 | 1,557億円 | 1,289億円 | 20.8% |
合成樹脂加工製品事業は、全社売上高の約82.3%を占める。農業資材向け及び人工芝用原糸は好調に推移したが、建築・土木関連の需要減によりブルーシート、土のう等の製品販売は依然として低迷した。また、コンクリート補強繊維「バルチップ」は海外鉱山市場の競争激化により減収となり、インドネシア子会社もその影響を受けた。国内子会社「東洋平成ポリマー株式会社」は、飲料水用フィルムの大口需要により増収となった。これらの要因により、売上高は前年同期比1.4%減の197億47百万円、営業利益は同22.5%減の10億60百万円となった。
機械製品事業は、全社売上高の約17.7%を占める。国内市場では、主力の軟包材市場を中心にスリッターユーザーのコスト上昇の価格転嫁が進まず設備需要が鈍化したことや、車載用二次電池市場においても各社の投資時期先送りの動きなどにより減収となった。一方で、2023年10月期にIHI子会社より技術譲渡を受けた金属箔用スリッターの初号機を納入し、新たなスリッター分野に参入した。押出関連機器では、塗工機や成膜機を扱う大手コンバーティングセットメーカーの受注減により、スクリーンチェンジャーなどの機器受注量が減少した。全社を挙げて取り組むプラスチックリサイクル分野では、再生樹脂需要の拡大を見越した設備の引き合い案件が多く、商材の拡大を進めることで多様な市場ニーズに応えていく方針である。これらの要因により、売上高は前年同期比1.8%減の42億96百万円、営業利益は同22.7%減の2億71百万円となった。
2023年10月期にIHI子会社より金属箔用スリッターの技術譲渡を受け、新たなスリッター分野に参入した。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 34,000億円 | 70.7% |
営業利益 | 2,400億円 | 55.5% |
経常利益 | 2,500億円 | 59.5% |
純利益 | 2,230億円 | 70.6% |
指標 | 通期予想 | 前年実績 | 増減率 |
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売上高 | 34,000億円 | 33,100億円 | 2.7% |
営業利益 | 2,400億円 | 2,200億円 | 9.1% |
経常利益 | 2,500億円 | 2,230億円 | 12.1% |
純利益 | 2,230億円 | 1,624億円 | 37.3% |
当第3四半期連結累計期間末の総資産は423億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億15百万円減少した。流動資産は211億37百万円となり、受取手形及び売掛金の減少などにより8億11百万円減少した。固定資産は212億30百万円となり、機械装置及び運搬具の増加などにより5億96百万円増加した。負債合計は125億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億52百万円減少した。純資産合計は298億35百万円となり、利益剰余金の増加などにより7億36百万円増加した。この結果、自己資本比率は70.3%となった。キャッシュフロー計算書は作成されていないため、詳細な分析はできない。
萩原工業株式会社の2025年10月期第3四半期決算は、売上高は微減となったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益は補助金の計上により増加しており、一見すると堅調に見える。しかし、営業利益、経常利益は前年同期比で大幅に減少しており、これは国内経済の不透明感や一部事業における需要の低迷が継続していることを示唆している。特に、合成樹脂加工製品事業における建築・土木関連の需要減や、機械製品事業における設備投資の鈍化は、今後の業績に影響を与える可能性がある。一方で、プラスチックリサイクル分野への注力や、新たなスリッター分野への参入など、将来に向けた取り組みも進められており、これらの新規事業が軌道に乗れば、新たな収益源となる可能性を秘めている。通期業績予想は据え置かれているが、第3四半期までの進捗率を見ると、特に営業利益、経常利益の達成には、第4四半期での巻き返しが不可欠となる。投資家目線では、減収減益基調からの脱却と、補助金に依存しない本業での収益力強化が今後の重要な課題となる。配当予想の引き上げはポジティブな要素であるが、業績の持続的な成長と株主還元とのバランスが今後も注目される。
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