株式会社オービスは、2025年10月期第3四半期連結累計期間において、売上高99億63百万円(前年同期比116.0%増)、営業利益5億59百万円(前年同期比124.5%増)、経常利益5億48百万円(前年同期比121.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益3億48百万円(前年同期比101.0%増)を達成した。これは、グループ中期経営方針「NEXT STEP 10」の折り返し地点を迎え、子会社化した寿鉄工株式会社(ハウス・エコ事業)における競争力強化への取り組みが奏功した結果である。純資産は前連結会計年度末から56億22百万円となり、自己資本比率は43.6%となった。株主還元については、2025年10月期の期末配当予想を57円としている。全体として、堅調な業績推移であり、投資家目線ではポジティブな決算発表であったと評価できる。
株式会社オービスの2025年10月期第3四半期連結累計期間における全社業績は、わが国経済の緩やかな回復基調と、グループ中期経営方針「NEXT STEP 10」の推進による競争力強化への取り組みが寄与し、大幅な増収増益を達成した。特に、子会社化した寿鉄工株式会社(ハウス・エコ事業)における大型溶接ロボットの発注など、将来を見据えた収益基盤の拡大が業績を牽引した。これにより、売上高は前年同期比16.0%増の99億63百万円、営業利益は同24.5%増の5億59百万円、経常利益は同21.2%増の5億48百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同1.0%増の3億48百万円となった。純資産は前連結会計年度末から増加し、自己資本比率も上昇しており、財務基盤の強化も進んでいる。
指標 | 2025年10月期(累計) | 2024年10月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 9,963百万円 | 8,588百万円 | 16.0% |
営業利益 | 559百万円 | 449百万円 | 24.5% |
経常利益 | 548百万円 | 452百万円 | 21.2% |
親会社株主に帰属する四半期純利益 | 348百万円 | 345百万円 | 1.0% |
純利益 | 348百万円 | 345百万円 | 1.0% |
木材事業は全社売上高の約56.8%を占める。 梱包用材業界は、中国経済の低迷や米国関税政策の不透明感から輸出関係の荷動きが鈍化し、厳しい受注環境が続いている。このような状況下、対ドル円ベースでの円安や運送コスト、港湾荷役の上昇が収益性を圧迫した。しかし、外国産材から国産材への切り替えを加速し、フル生産に近い受注量を確保することで対応した。また、量から質への転換、販路拡大、取引先数増加、シェア獲得により競争力を強化した。その結果、売上高は56億50百万円(前年同期比101.5%)、営業利益は2億40百万円(前年同期比63.4%)となった。
ハウス・エコ事業は全社売上高の約24.2%を占める。 建設業界は公共投資の堅調さや民間設備投資の回復傾向が見られるものの、人手不足、長時間労働、資材価格の高止まりといった構造的な課題に直面している。このような環境下、大型工事案件の計画通り完了や中小型案件の順調な引き渡しに加え、受注量確保を最優先とし、提案力や品質向上に努め、大型物件の受注獲得に注力した。資材価格や外注費の高騰に対しては販売価格への転嫁を進め、売上総利益の増加と製造・営業両面での売上総利益率向上を実現した。その結果、売上高は37億8百万円(前年同期比153.9%)、営業利益は3億33百万円(前年同期比338.4%)となった。
太陽光発電売電事業は全社売上高の約3.3%を占める。 一部の太陽光発電所ではパワーコンディショナーの故障が発生したが、発電量の多い4月度や日照時間の長い7月度の影響により、売電収入は前年同期比で増加した。現在、3県15ヶ所の太陽光発電所を運営し、総発電容量は約13メガワットである。その結果、売上高は3億25百万円(前年同期比103.1%)、営業利益は2億15百万円(前年同期比112.1%)となった。
ライフクリエイト事業は全社売上高の約2.8%を占める。 ゴルフ場業界は、新型コロナウイルス感染症からの行動制限緩和に伴う他レジャーへの移行・分散、猛暑や天候不順による入場者減少、諸物価高騰によるコスト増、ゴルフ場間の集客競争激化など、厳しい事業環境が続いている。このような状況下、コース管理の充実に努め、開場50年を迎えたクラブハウス内の設備やメンテナンス機械類、進入路のガードレール塗装等の計画的な修繕を実施した。その結果、売上高は2億79百万円(前年同期比99.6%)、営業利益は27百万円(前年同期比55.5%)となった。
2024年3月5日付で寿鉄工株式会社の全株式を取得し、ハウス・エコ事業セグメントにおいてのれんが発生した。この取得により、ハウス・エコ事業セグメントの競争力強化と収益基盤の拡大が期待される。
2025年10月期の通期連結業績予想に変更はない。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 12,853百万円 | 77.5% |
営業利益 | 600百万円 | 93.2% |
経常利益 | 580百万円 | 93.1% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 399百万円 | 87.2% |
純利益 | 399百万円 | 87.2% |
該当する決算発表は第3四半期決算のため、記載しない。
当第3四半期連結会計期間末の総資産は128億95百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億35百万円増加した。これは、電子記録債権やリース未収入金、その他(流動資産)の増加によるものである。負債は72億73百万円となり、前連結会計年度末と比較して2億21百万円増加した。これは、短期借入金や1年内返済予定の長期借入金、その他(流動負債)の増加によるものである。純資産は56億22百万円となり、前連結会計年度末と比較して2億14百万円増加した。これは、利益剰余金の増加によるものである。キャッシュフローに関する具体的な記載は確認されなかった。
株式会社オービスは、2025年10月期第3四半期連結累計期間において、堅調な業績を達成し、通期業績予想に対する進捗率も良好である。特に、ハウス・エコ事業におけるM&Aの効果が顕著に表れており、今後の成長ドライバーとして期待される。木材事業においては、厳しい市場環境ながらも、国産材へのシフトや品質向上への取り組みにより、安定した収益を確保している。太陽光発電売電事業やライフクリエイト事業も、それぞれの市場環境に応じた戦略を実行し、収益に貢献している。
投資家目線では、今回の決算発表はポジティブに捉えられる。売上高、営業利益、経常利益、純利益ともに前年同期比で大幅な増加を示しており、特にハウス・エコ事業の成長が際立っている。自己株式取得に関する具体的な発表はないものの、期末配当予想が据え置かれている点は、株主還元への一定の配慮が見られる。
今後の見通しとしては、引き続き中期経営方針「NEXT STEP 10」に基づき、各事業セグメントの競争力強化と収益基盤の拡大に注力していくことが予想される。特に、ハウス・エコ事業におけるM&Aの効果を最大限に引き出し、シナジー創出を加速させることが重要となる。また、木材事業においては、引き続き市場環境の変化に柔軟に対応しつつ、高付加価値製品へのシフトや新たな販路開拓を進めることで、収益性の維持・向上を図ることが期待される。
全体として、株式会社オービスは、外部環境の変化に左右されにくい事業ポートフォリオを構築しつつ、M&Aや事業強化を通じて持続的な成長を目指していく姿勢を示しており、企業価値の向上に繋がる可能性が高い。投資家にとっては、今後の事業展開と業績の推移を注視していく価値があると言える。
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