株式会社スリー・ディー・マトリックスの2026年4月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比47.7%増の2,194百万円となり、計画を上回る好調な結果となった。営業利益は9百万円と黒字転換し、前年同期の326百万円の改善となった。これは、主力製品である止血材の販売が米国、欧州を中心に好調に推移したこと、特に消化器内視鏡領域での成長が顕著であったことによる。為替差益の影響もあり、経常利益は938百万円と大幅に改善した。親会社株主に帰属する四半期純利益は765百万円となった。株主還元については、配当は実施していない。本決算発表は、売上高の大幅な増加と営業利益の黒字転換というポジティブな内容であり、投資家目線では良好な決算と言える。
株式会社スリー・ディー・マトリックスの2026年4月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比47.7%増の2,194百万円となり、大幅な増加を記録した。これは、主力製品である止血材の販売が、米国、欧州、日本といった主要市場で順調に拡大したことによる。特に、米国市場では前年同期比87.7%増と大きく成長し、消化器内視鏡領域での高い成長が継続している。欧州市場も26.8%増、日本市場も17.4%増と堅調に推移した。営業利益は9百万円となり、前年同期の△316百万円から黒字に転換した。これは、売上高の増加に加え、コスト管理の徹底によるものである。経常利益は938百万円となり、前年同期の△786百万円から大幅に改善した。これは、為替差益の影響も寄与した。親会社株主に帰属する四半期純利益は765百万円となった。
指標 | 2026年4月期(累計) | 2025年4月期(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 2,194億円 | 1,485億円 | 47.7% |
営業利益 | 9百万円 | △316百万円 | - |
経常利益 | 938億円 | △786億円 | - |
純利益 | 765億円 | △787億円 | - |
消化器内視鏡領域は、全社売上高の大部分を占める主要事業である。米国市場における製品販売は、1,165百万円となり前年同期比87.7%増となった。これは、既存顧客における製品販売額の伸びに加え、新規顧客獲得も順調に進んでいること、また、販売活動強化のための営業人員拡大施策が奏功したことによる。市場からの大きな需要が継続しており、計画を上回るトレンドが続いている。コスト増加分を上回る売上高の成長により、貢献利益も継続的に黒字を維持している。
耳鼻咽頭科領域においては、アピールポイントを止血から創傷治癒や癒着防止へと転換する戦略が引き続き効果を発揮し、貢献利益の黒字を継続している。欧州における製品販売は、575百万円となり前年同期比26.8%増となった。主要製品である消化器内視鏡領域の止血材は代理店販売だが、前期に成長が見られたエリア(イギリスなど)が当四半期も継続して高い成長を遂げ、計画を順調に達成している。成長が見られなかったエリア(ドイツなど)では、今期は成長を計画していないが、改善施策を立案中である。新規領域においても、小規模ながら高い成長を継続している。
株式会社スリー・ディー・マトリックスは、米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドであるハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対し、2025年7月に第9回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行した。これは、既発行の第5回無担保転換社債型新株予約権付社債を買入消却するリファイナンスであり、実質的な資金調達はないものの、金利負担の軽減と償還期限の延長に繋がるものと考えられる。また、株式会社りそな銀行との間でコミットメントライン契約を締結し、安定的な事業資金の確保に努めている。これらの資金調達活動は、今後の研究開発投資や事業拡大に向けた基盤強化を目的としている。
2026年4月期の通期業績予想に変更はない。売上高予想は9,283百万円で、第1四半期時点での進捗率は33.9%である。営業利益予想は400百万円で、進捗率は33.9%である。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
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売上高 | 9,283億円 | 33.9% |
営業利益 | 400億円 | 33.9% |
該当する決算発表は第1四半期決算のため、通期業績予想の記載はない。
当第1四半期連結会計期間末の総資産は6,371百万円となり、前連結会計年度末比で141百万円減少した。流動資産は売掛金の増加があったものの、現金及び預金、棚卸資産、前渡金の減少により122百万円減少した。固定資産は18百万円減少した。負債については、流動負債は未払法人税等の増加等により7百万円増加した一方、固定負債は転換社債型新株予約権付社債の減少等により621百万円減少した。純資産は、資本金及び資本剰余金の増加、利益剰余金の増加等により472百万円増加し、2,688百万円となった。キャッシュフローに関する詳細は記載されていない。
配当については、2025年4月期、2026年4月期ともに実施していない。自己株式取得や株主優待に関する記載は見当たらない。
株式会社スリー・ディー・マトリックスは、医療製品の研究開発投資を行う先行投資型企業であり、主力製品である止血材のグローバル展開を進めている。現時点では営業損失が継続しているものの、当第1四半期では営業利益を計上し、黒字転換を果たしたことは、経営基盤の安定化に向けた重要な一歩と言える。今後の成長戦略としては、事業収益の拡大とコスト削減に注力する方針である。特に、止血材の販売を欧州、オーストラリア、日本、米国といった主要市場で本格化させ、売上成長を最大化することを目指している。消化器内視鏡領域に事業領域を絞り込み、他領域の営業体制は利益貢献が確実に見込まれる範囲に留めることで、マーケティング費用を含む営業経費を削減し、継続的な収益確保を最優先に進めるとしている。研究開発においては、注力分野を除き、新規開発を一時的に中断し、コストと時間の最小化を図る。資金調達に関しては、米国投資ファンドからの資金調達や金融機関との契約締結により、安定的な事業資金の確保に努めている。これらの施策により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況の解消を目指している。投資家目線では、売上高の着実な成長と営業利益の黒字化はポジティブな材料であり、今後の事業拡大と収益改善への期待が高まる。一方で、事業収益の拡大や収益構造の改善が想定通りに進まないリスク、資金調達に関するリスクも存在するため、これらのリスク要因を注視する必要がある。企業価値の見通しとしては、主力製品である止血材の市場浸透が進み、新たな用途開発やグローバル展開が成功すれば、大幅な企業価値向上が期待できる。特に、研究開発パイプラインの進捗や、新たな提携関係の構築が、今後の成長を加速させる鍵となるだろう。
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