株式会社壱番屋の2026年2月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高320億18百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益25億26百万円(同5.5%増)、経常利益27億8百万円(同8.9%増)と、増収増益を達成した。これは国内CoCo壱番屋の価格改定効果や国内子会社事業の拡大が寄与した結果である。しかし、親会社株主に帰属する中間純利益は13億84百万円(同11.0%減)と減益となった。これは、本部のソフトウェア入れ替えに伴う固定資産除却損や、店舗に係る減損損失の増加が主な要因である。
国内CoCo壱番屋事業は、全店売上高が前年同期比2.7%増、既存店売上高が同2.2%増と堅調に推移した。客単価は8.1%増と好調だが、客数は5.4%減と課題を残す。客数回復に向けたマーケティング活動を強化している。海外CoCo壱番屋事業は、為替の影響を除くと既存店売上高が前年同期比1.9%減となり、イギリスは好調なものの、中国や台湾が前年水準を下回った。一方、国内子会社事業は各ブランドで売上高が大きく伸長し、グループ全体の成長を牽引している。
通期の業績予想は据え置きであり、配当予想も年間16.00円(中間8.00円、期末8.00円)で変更はない。総じて、売上・営業利益・経常利益は堅調に推移し事業活動も活発だが、特別損失の計上による純利益の減少は投資家にとってネガティブな要素と捉えられる。
2026年2月期中間期(累計)の全社業績は、売上高が前年同期比8.2%増の320億18百万円、営業利益が同5.5%増の25億26百万円、経常利益が同8.9%増の27億8百万円と、増収増益を達成した。国内CoCo壱番屋の価格改定効果や国内子会社事業の拡大が売上高の増加に貢献した。利益面では、米をはじめとする食材の仕入価格高騰や人件費・物流費の増加があったものの、売上好調に推移したことで営業利益・経常利益は増益を確保した。しかし、本部のソフトウェア入れ替えに伴う固定資産除却損や店舗に係る減損損失の増加により、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比11.0%減の13億84百万円となった。
指標 | 2026年2月期2Q(累計) | 2025年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 320.18億円 | 295.99億円 | 8.2% |
営業利益 | 25.26億円 | 23.93億円 | 5.5% |
経常利益 | 27.08億円 | 24.87億円 | 8.9% |
純利益 | 13.84億円 | 15.54億円 | △11.0% |
国内CoCo壱番屋事業は、直営店とフランチャイズ加盟店を合計したグループ全体の店舗売上高が463億53百万円(前年同期比2.7%増)となり、既存店ベースでも同2.2%増と堅調に推移した。客単価は、昨年8月のカレーソースやトッピング等のメニュー価格改定により前年同期比8.1%増と好調に推移している。一方で、客数は前年同期比5.4%減となり、客数回復が課題となっている。客数回復に向けて、「UberEats」キャンペーンの実施や、アンバサダーの俳優・山田裕貴さんが出演するテレビCMの全国放映、アイドルグループ「日向坂46」や人気ゲームソフト「モンスターハンターワイルズ」とのコラボキャンペーン等、幅広い顧客層の来店動機を高めるための様々なマーケティング活動を実施した。出退店状況は、新規出店が12店舗、退店が7店舗あり、店舗数は前期末から5店舗増加し、1,208店舗となった。
海外CoCo壱番屋事業の全店売上高は90億39百万円(前年同期比1.7%減)となった。為替の影響を除いた既存店ベースでは、イギリスが好調に推移したものの、中国、台湾等では前年の水準を下回り、前年同期比1.9%減となった。出退店状況は、新規出店が8店舗あったものの、中国等で不採算店舗の撤退が11店舗あり、店舗数は前期末から3店舗減少し、213店舗となった。新たな展開エリアとして、グアム1号店となる「Guam Donki(グアムドンキ)店」をオープンした。海外店舗の既存店売上高は為替の影響を除いて算出されている。
国内子会社事業は各ブランドで好調に推移した。「旭川成吉思汗大黒屋」は、札幌すすきのエリアに2店舗を出店し、店舗数は前期末から2店舗増の10店舗、店舗売上高は7億98百万円(前年同期比32.9%増)となった。「麺屋たけ井」は、CoCo壱番屋のフランチャイズオーナーによる初の店舗となる橿原店(奈良県)を出店したほか、近鉄京都駅構内にも出店し、店舗数は前期末から2店舗増の13店舗、店舗売上高は6億30百万円(前年同期比44.5%増)となった。「博多もつ鍋前田屋」は、新規出店はなかったものの、既存店の売上が好調に推移し、5店舗合計の店舗売上高は4億95百万円(前年同期比16.7%増)となった。らーめん小僧等を経営する「株式会社KOZOU」の店舗売上高は1億33百万円となり、7月には愛知県初の「極濃豚骨らーめん小僧 名古屋錦店」を出店し、店舗数は7店舗となった。
2023年12月28日に行われた株式会社LFD JAPANとの企業結合において、前中間連結会計期間に暫定的な会計処理を行っていたが、前第3四半期連結会計期間に確定した。これにより、前中間連結会計期間との比較・分析は、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いて行われている。また、国内子会社事業においては、「麺屋たけ井」がCoCo壱番屋のフランチャイズオーナーによる初の店舗を橿原店(奈良県)に出店した。これは、既存のフランチャイズネットワークを活用した新たな事業展開の一環であり、グループ全体のシナジー効果を追求する動きと捉えられる。
進行期の全社業績予想は、2025年4月4日付の決算短信で公表された内容から修正はなく、据え置きとなった。中間期までの実績は、売上高で通期予想の47.6%、営業利益で46.8%、経常利益で49.2%、純利益で41.9%の進捗率である。純利益の進捗率が他の利益項目と比較して低いのは、中間期に計上された固定資産除却損や減損損失などの特別損失が影響している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 673.00億円 | 47.6% |
営業利益 | 54.00億円 | 46.8% |
経常利益 | 55.00億円 | 49.2% |
純利益 | 33.00億円 | 41.9% |
当中間連結会計期間末における総資産は474億77百万円となり、前連結会計年度末比で8億92百万円増加した。流動資産は217億21百万円(前連結会計年度末比2億83百万円増)となり、主に売掛金の増加が寄与した。固定資産は257億55百万円(前連結会計年度末比6億8百万円増)となり、主に建物及び構築物の増加が要因である。負債は149億23百万円(前連結会計年度末比9億37百万円増)となり、主に買掛金の増加が影響した。純資産は325億54百万円(前連結会計年度末比45百万円減)となり、自己資本比率は前連結会計年度末の68.8%から67.5%に低下した。
キャッシュフローの状況では、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ8億2百万円減少し、144億61百万円となった。営業活動によるキャッシュフローは25億67百万円の増加(前年同期は18億13百万円増)であり、税金等調整前中間純利益の計上や減価償却費、減損損失などの非現金支出費用が主な増加要因である。投資活動によるキャッシュフローは17億80百万円の減少(前年同期は14億93百万円減)であり、主に有形固定資産の取得による支出14億80百万円が影響した。財務活動によるキャッシュフローは14億60百万円の減少(前年同期は14億97百万円減)であり、主に配当金の支払額12億75百万円が要因である。
配当
自己株式取得
株式会社壱番屋の2026年2月期第2四半期決算は、売上高、営業利益、経常利益が増加したものの、特別損失の計上により純利益が減少した点が投資家にとってネガティブな要素である。通期業績予想は据え置きであり、下半期での純利益の巻き返しが期待される。
国内CoCo壱番屋事業では、客単価の増加は好材料だが、客数減少が継続しており、これが今後の成長の足かせとなる可能性がある。客数回復に向けた積極的なマーケティング活動やコラボレーションは評価できるが、その効果がどこまで業績に反映されるかが注目される。新規出店と退店のバランスも重要であり、店舗網の最適化が継続的な課題となる。
海外CoCo壱番屋事業は、為替影響を除いた既存店売上高が予想を下回っており、特に中国や台湾市場の動向が懸念される。イギリス市場の好調やグアムへの新規出店はポジティブな要素だが、全体としての成長を牽引するには、より広範な地域での既存店売上高の改善が不可欠である。
国内子会社事業は、各ブランドが売上高を大きく伸ばしており、グループ全体の成長ドライバーとして非常にポジティブな役割を果たしている。特に「旭川成吉思汗大黒屋」や「麺屋たけ井」の積極的な出店と売上伸長は、壱番屋グループの多角化戦略が奏功していることを示唆する。
財務状態は総資産が増加し、流動資産・固定資産も増加しているが、負債も増加している。自己資本比率の低下はわずかだが、今後の資金調達や投資活動において注視すべき点である。キャッシュフローは営業活動によるキャッシュフローが堅調に推移しているものの、投資活動による支出が大きく、フリーキャッシュフローの創出能力が今後の企業価値評価に影響を与える可能性がある。
投資家目線では、既存事業の収益性改善と新規事業の成長が両立できるかが重要となる。特に、国内CoCo壱番屋の客数回復と海外事業の安定成長、そして国内子会社事業のさらなる拡大が、通期業績予想達成と企業価値向上に向けた鍵となる。下半期におけるコストコントロールと効率的な事業運営が、純利益の改善に直結するため、その進捗が注目される。
• 提供されるレポートに誤った情報が含まれる場合があります。正確性や品質を保証するものではないため、決算短信全文を併せてご確認ください。
• 提供されるレポートに投資を推奨するようにも読み取れる内容が含まれる可能性がありますが、当社が投資を推奨するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身の判断で行ってください。
• 決算短信についての訂正の開示があった場合でも、訂正の内容はレポートに反映されませんので、最新の適時開示をご参照ください。また、提供されるレポートの内容は予告なく変更されることがありますのでご注意ください。
• 本レポートにより提供される内容について、当社は、その信頼性、正確性、最新性、完全性、有効性、特定目的への適合性、有用性(有益性)、継続性について保証しません。これらに起因してお客様が何らかの損害を被ったとしても、当該損害につき責任を負わないものとします。
• 提供されるレポートを利用する際は、著作権法、商標法、金融商品取引法などの法令に違反しないようご注意ください。
• 提供されるレポートに関する権利は当社に帰属します。これらの情報を第三者に提供する目的での転用、複製、販売、加工、再利用および再配信は固く禁じます。