株式会社NaITOの令和8年2月期第2四半期累計期間の連結決算は、売上高217億円、営業利益2億円、経常利益2億円、親会社株主に帰属する中間純利益1億円となり、前年同期比で大幅な増益を達成した。売上高は微増に留まったものの、利益面では大幅な改善が見られ、堅調な決算内容であった。中期経営計画の最終年度として、DX商材や計測機器の拡販、海外事業の強化など重点施策を着実に実行している。通期業績予想は据え置きとなった。配当については、令和8年2月期の期末配当を4.00円と予想しており、年間合計で4.00円となる見込みである。
経済環境の不確実性が続く中、中期経営計画の重点施策を推進した結果、令和8年2月期第2四半期累計期間の売上高は前年同期比1.0%増の217億円と微増に留まった。しかし、営業利益は73.9%増の2億円、経常利益は64.3%増の2億円、親会社株主に帰属する中間純利益は77.7%増の1億円と、利益面で大幅な改善を達成した。これは、DX商材や計測機器の拡販、海外事業の強化などが奏功した結果と見られる。
指標 | 令和8年2月期2Q(累計) | 令和7年2月期2Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 217億円 | 214億円 | 1.0% |
営業利益 | 2億円 | 1億円 | 73.9% |
経常利益 | 2億円 | 1億円 | 64.3% |
純利益 | 1億円 | 0億円 | 77.7% |
切削工具事業は、全社売上高の約50.0%を占める。売上高は108億円で前年同期比3.9%増となった。中期経営計画Achieve2025の重点施策として、DX商材や自動化を含む設備の提案、産業構造の変化に対応した計測機器の拡販に注力した。また、在庫の品揃え強化や販路拡大、営業支援システムの活用を推進し、事業基盤の強化を図った。
計測事業は、全社売上高の約8.7%を占める。売上高は18億円で前年同期比△2.0%減となった。NaITOテクニカルセンターで計測展を開催し、計測商材の展示やセミナーを実施することで、顧客への提案力強化と市場認知度向上に努めた。
産業機器・工作機械等事業は、全社売上高の約41.2%を占める。売上高は89億円で前年同期比△1.6%減となった。海外拠点では、ベトナム子会社であるNAITO VIETNAM CO., LTD.がホーチミン及びハノイ地区でインライン測定機器や自動化・省人化設備の販売に注力した。また、タイの持分法適用関連会社であるSOMAT Co.,Ltd.は、バンコク、ラョーン及びプラチンブリ地区において、刃具寿命・加工方法に関わるコスト改善提案やデモ機を活用した環境改善商材の販売に取り組むなど、事業規模拡大に向けた営業活動を推進した。
新規の事業/資本提携やM&Aに関する具体的な記載はない。しかし、既存の海外子会社であるNAITO VIETNAM CO., LTD.(ベトナム)がホーチミン及びハノイ地区でインライン測定機器や自動化・省人化設備の販売に注力し、SOMAT Co.,Ltd.(タイ)がバンコク、ラョーン及びプラチンブリ地区で刃具寿命・加工方法に関するコスト改善提案やデモ機を活用した環境改善商材の販売に取り組むなど、既存事業の海外展開を強化している。これらの活動は、中期経営計画Achieve2025の事業規模拡大に向けた重点施策の一環であり、今後の海外事業の成長に寄与する可能性がある。
令和8年2月期の通期連結業績予想は、令和7年3月27日発表の予想から変更なく据え置きとなった。第2四半期累計期間の実績は、売上高で約48%、営業利益で約38%、経常利益で約41%、純利益で約43%の進捗率となっている。売上高は順調な進捗だが、利益項目は通期予想に対してやや遅れが見られる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 450億円 | 48.2% |
営業利益 | 5億円 | 38.3% |
経常利益 | 5億円 | 40.9% |
純利益 | 3億円 | 42.9% |
当中間連結会計期間末の総資産は167億円となり、前連結会計年度末から5億円減少した。これは主に電子記録債権の増加があったものの、受取手形及び売掛金が減少したことによる。負債は38億円で、前連結会計年度末から4億円減少した。短期借入金は増加したが、支払手形及び買掛金が減少したことが主な要因である。純資産は128億円で、前連結会計年度末から57百万円減少した。中間純利益の計上により利益剰余金は増加したが、配当金の支払いにより減少した。自己資本比率は77.0%と高い水準を維持している。
配当
自己株式取得
自己株買い
株主優待
株式会社NaITOの令和8年2月期第2四半期決算は、売上高は微増に留まったものの、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益が前年同期比で大幅な増益を達成し、利益面では堅調な結果を示した。これは、中期経営計画Achieve2025の最終年度として、DX商材や自動化を含む設備の提案、計測機器の拡販といった重点施策を着実に実行した成果と評価できる。特に、海外拠点での事業規模拡大に向けた積極的な営業活動は、今後の成長ドライバーとなる可能性を秘めている。
しかし、通期業績予想は据え置きであり、第2四半期時点での利益進捗率は売上高に比べてやや低い水準にある。これは、経済環境が緩やかな回復基調にあるものの、米国通商政策の不確実性や物価上昇に伴うコスト負担増といった先行き不透明な状況が継続していることを経営陣が慎重に評価しているためと考えられる。投資家としては、売上高の伸びが限定的である中で、利益率改善の持続性や、下半期における利益の巻き返しに注目する必要がある。
今後の企業価値向上に向けては、引き続き中期経営計画の残りの期間で重点施策をどこまで加速できるかが鍵となる。特に、DX関連商材や計測機器といった高付加価値製品の拡販、そして海外市場でのプレゼンス強化は、持続的な成長と収益性向上に直結する。現在の高い自己資本比率(77.0%)は財務基盤の安定性を示しており、今後の成長投資や株主還元策の柔軟性を確保している。
総じて、今回の決算発表は、利益面での改善はポジティブな要素であるものの、通期予想の据え置きと利益進捗率の状況から、投資家にとってはやや慎重な見方が必要となる。下半期における事業環境の変化への対応力や、具体的な施策の進捗状況が、今後の株価動向を左右する重要な要素となるだろう。
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