不二電機工業株式会社の2026年1月期第2四半期(中間期)決算は、売上高が19.08億円(前年同期比△4.1%)、営業利益が1.36億円(同△38.1%)、経常利益が1.60億円(同△32.4%)、中間純利益が1.14億円(同△28.1%)となり、前年同期と比較して減収減益を記録した。国内経済は緩やかな回復基調にあるものの、海外の通商政策による企業収益への不透明感が継続する中、材料費の高騰や販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫した。一方で、補助スイッチやカムスイッチ、接続機器の一部製品は増加し、特に海外市場(アジア、中東)での営業活動が奏功した。通期業績予想は据え置きであり、第2四半期累計での進捗率は売上高で49.7%、純利益で55.3%と、下期での挽回に期待が持てる水準にある。配当については、中間配当16.00円、期末配当16.00円の年間32.00円を予想しており、修正はない。全体として、厳しい事業環境下での利益減少はネガティブな要素だが、通期予想の据え置きと海外市場での一定の成長は今後の期待材料となる。
2026年1月期第2四半期累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比で4.1%減少し19.08億円となった。これは、I/Oターミナルや表示モジュールなどの減少が影響した。利益面では、売上高の減少に加え、材料費の高騰や販売費及び一般管理費の増加が響き、営業利益は前年同期比38.1%減の1.36億円、経常利益は同32.4%減の1.60億円、中間純利益は同28.1%減の1.14億円と大幅な減益となった。
指標 | 2026年1月期2Q(累計) | 2025年1月期2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 19.08億円 | 19.90億円 | △4.1% |
営業利益 | 1.36億円 | 2.19億円 | △38.1% |
経常利益 | 1.60億円 | 2.36億円 | △32.4% |
純利益 | 1.14億円 | 1.59億円 | △28.1% |
不二電機工業株式会社は、電気制御機器の製造加工及び販売事業が売上高の90%超を占めるため、製品分類別に業績を記載している。
制御用開閉器事業は、全社売上高の約29.4%を占める。当中間会計期間において、補助スイッチやカムスイッチが増加した結果、売上高は5.61億円となり、前年同期比14.5%増と好調に推移した。これは、国内の重電機器、一般産業、電鉄・車両業界における営業活動に加え、海外のアジアや中東各国での重点的な営業活動が奏功したことによる。特に、堅調な需要と積極的な市場開拓が売上増加に貢献した。
接続機器事業は、全社売上高の約44.5%を占める。当中間会計期間において、コネクタは減少したものの、主力の汎用端子台やサージアブソーバー端子台が増加したことで、売上高は8.49億円となり、前年同期比6.3%増を達成した。汎用性の高い製品群が安定した需要を確保し、全体の売上を牽引した。
表示灯・表示器事業は、全社売上高の約11.8%を占める。当中間会計期間において、各種表示器やLED表示灯が減少した結果、売上高は2.26億円となり、前年同期比6.0%減となった。市場の需要変動や競合環境の変化が影響し、売上高は前年同期を下回った。
電子応用機器事業は、全社売上高の約13.5%を占める。当中間会計期間において、I/Oターミナルや表示モジュールが減少したことで、売上高は2.57億円となり、前年同期比33.8%減と大幅な減少を記録した。特定の製品群における需要の低迷が、事業全体の業績に大きく影響した。
その他事業は、全社売上高の約0.7%を占める。電気制御機器以外の売上高は0.14億円となり、前年同期比256.1%増と大幅な伸びを示した。これは、小規模ながらも特定の製品やサービスが急成長したことを示唆している。
不二電機工業株式会社は、当中間会計期間において、特定の事業/資本提携やM&Aに関する具体的な発表は行っていない。しかし、事業活動においては、海外市場への積極的な展開が見られる。特に、アジアや中東各国を重点地域として営業活動を強化しており、その結果、補助スイッチやカムスイッチなどの製品が増加した。これは、グローバル市場での事業拡大を目指す戦略の一環であり、今後の海外売上比率の向上や新たな市場機会の獲得に繋がる可能性がある。
2026年1月期の通期業績予想は、2025年3月11日に発表された内容から変更はなく、据え置きである。第2四半期累計の実績は、通期予想に対して売上高で49.7%、営業利益で50.9%、経常利益で53.9%、純利益で55.3%の進捗率となっている。売上高はほぼ計画通りに推移しているが、利益面では通期予想に対してやや先行している状況である。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 38.40億円 | 49.7% |
営業利益 | 2.67億円 | 50.9% |
経常利益 | 2.97億円 | 53.9% |
純利益 | 2.06億円 | 55.3% |
当中間会計期間末の総資産は113.78億円となり、前事業年度末から1.70億円増加した。主な増加要因は、現金及び預金が2.12億円、有価証券が1.09億円、投資有価証券が0.85億円増加したことである。一方で、受取手形及び売掛金が1.10億円、投資その他の資産に含まれる長期預金が2.00億円減少した。負債は9.00億円となり、前事業年度末から0.65億円増加した。これは、買掛金が0.26億円、退職給付引当金が0.18億円、固定負債のその他に含まれる繰延税金負債が0.37億円増加したことによる。純資産は104.77億円となり、前事業年度末から1.04億円増加した。これは主に利益剰余金が0.28億円、その他有価証券評価差額金が0.70億円増加したことによる。自己資本比率は92.0%と高い水準を維持している。
キャッシュフローの状況を見ると、現金及び現金同等物は前事業年度末に比べ2.87億円減少し、6.93億円となった。営業活動によるキャッシュフローは2.67億円の増加(前年同期比27.7%増)を記録した。これは税引前中間純利益1.60億円、減価償却費1.00億円、売上債権の減少1.26億円が主なプラス要因である。一方、棚卸資産の増加0.89億円、法人税等の支払い0.35億円がマイナス要因となった。投資活動によるキャッシュフローは4.68億円の減少(前年同期比181.1%増)となった。これは定期預金の預入による支出3.00億円、投資有価証券の取得による支出1.00億円、有形固定資産の取得による支出0.88億円が主な要因である。財務活動によるキャッシュフローは0.85億円の減少(前年同期比18.6%減)となり、配当金の支払い0.85億円が主な要因である。
不二電機工業株式会社は、株主還元として配当を実施している。
不二電機工業の2026年1月期第2四半期決算は、売上高、各利益ともに前年同期比で減少しており、投資家にとってはネガティブな印象を与える結果となった。特に営業利益が38.1%減、純利益が28.1%減と大幅な減益である点は懸念材料である。国内経済の緩やかな回復基調は続くものの、海外の通商政策による企業収益への不透明感が継続していることに加え、材料費の高騰や販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫する厳しい事業環境が続いている。
しかしながら、通期業績予想は据え置きであり、第2四半期累計での純利益進捗率は55.3%と、通期予想に対しては順調に進捗している。これは、下期での業績回復を見込んでいるか、あるいは通期予想が保守的に設定されている可能性を示唆しており、投資家にとっては今後の動向を注視するポイントとなる。
事業セグメント別に見ると、補助スイッチやカムスイッチ、汎用端子台やサージアブソーバー端子台といった製品群は堅調に推移しており、特に海外(アジア、中東)での営業活動が奏功している点はポジティブな要素である。グローバル市場での需要獲得は、今後の成長ドライバーとなり得る。一方で、I/Oターミナル、表示モジュール、各種表示器、LED表示灯といった製品群の減少は、特定の市場での競争激化や需要構造の変化に対応する必要があることを示している。
財務状態は自己資本比率92.0%と非常に健全
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