株式会社中北製作所の2026年5月期第1四半期連結決算は、売上高70.76億円、営業利益3.88億円、経常利益5.88億円、親会社株主に帰属する四半期純利益4.40億円を計上した。前年同期との比較は連結財務諸表作成期間の変更により記載されていない。通期業績予想に対する進捗率は、売上高が26.2%であるのに対し、営業利益は35.3%、経常利益は32.7%、純利益は35.8%と、利益面で計画を上回るペースで推移しており、堅調な滑り出しを見せた。年間配当予想は前期実績から10円増額の110円(期末55円)と発表され、株主還元への意欲も示された。全体として、この決算発表は投資家にとってポジティブな内容であったと評価できる。
当第1四半期連結累計期間における日本経済は、堅調な企業収益、雇用情勢・所得環境の改善が続き、設備投資・個人消費は持ち直しの動きが見られた。公共投資も堅調に推移し、緩やかに回復している。しかし、物価上昇の長期化による消費者マインドの下振れや米国の通商政策動向による影響など、景気を下押しするリスクに留意する必要があり、先行きは不透明な状況が続いた。このような環境下で、当社グループの主要な受注先である造船業界では、海上輸送量の増加や、過去に建造された船舶の代替需要を背景に、次世代燃料船を含む新造船需要が改善し、国内外の造船所は手持ち工事量を十分に確保している。舶用関連に加え、発電プラント等陸用関連においても、生成AI需要によるデータセンター建設に伴う電力需要案件等、国内外で積極的な営業活動を展開し、受注獲得に努め、修理やメンテナンス関連の部品注文獲得にも注力した。
指標 | 2026年5月期1Q(累計) |
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売上高 | 70.76億円 |
営業利益 | 3.88億円 |
経常利益 | 5.88億円 |
純利益 | 4.40億円 |
株式会社中北製作所グループは、バルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントで事業を展開している。
当第1四半期連結累計期間における受注高は67.67億円となり、品種別では自動調節弁が20.48億円、バタフライ弁が33.71億円、遠隔操作装置が13.47億円であった。売上高は70.76億円となり、品種別では自動調節弁が23.17億円、バタフライ弁が32.01億円、遠隔操作装置が15.56億円であった。輸出関連の売上高は14.45億円となり、前年同期の6.17億円から大幅に増加した。当第1四半期連結会計期間末の受注残高は242.71億円で、期首に比べて2.56億円減少したものの、前年同期の177.99億円と比較すると大幅な増加を維持している。
品種別の生産実績を見ると、自動調節弁は23.98億円(前年同期18.47億円)、バタフライ弁は32.36億円(前年同期19.36億円)、遠隔操作装置は14.17億円(前年同期11.49億円)と、全ての品種で前年同期を上回る生産を達成した。
受注状況では、自動調節弁が20.48億円(前年同期22.73億円)と減少した一方で、バタフライ弁は33.71億円(前年同期25.24億円)と大幅に増加し、遠隔操作装置は13.47億円(前年同期17.18億円)と減少した。全体としては前年同期の65.15億円から67.67億円へと微増している。
販売実績では、自動調節弁が23.17億円(前年同期18.82億円)、バタフライ弁が32.02億円(前年同期18.60億円)、遠隔操作装置が15.57億円(前年同期11.08億円)と、全ての品種で前年同期を大きく上回る販売を記録した。特にバタフライ弁の販売が好調であった。輸出高も前年同期の6.17億円から14.46億円へと大幅に増加し、全社売上高に占める割合も20.4%に上昇した。
該当情報なし
2026年5月期の全社業績予想は、2025年7月8日公表のものから変更なく据え置きである。第1四半期累計の実績は、売上高が通期予想に対して26.2%の進捗率である一方、営業利益は35.3%、経常利益は32.7%、純利益は35.8%と、利益面で計画を上回るペースで推移している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
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売上高 | 270.00億円 | 26.2% |
営業利益 | 11.00億円 | 35.3% |
経常利益 | 18.00億円 | 32.7% |
純利益 | 12.30億円 | 35.8% |
当第1四半期連結会計期間末の総資産は379.54億円となり、前連結会計年度末と比べ15.02億円増加した。これは主に現金及び預金が15.48億円、棚卸資産が3.59億円、投資有価証券が1.15億円それぞれ増加した一方で、売上債権が5.38億円減少したことによる。
負債合計は117.54億円となり、前連結会計年度末と比べ7.58億円増加した。これは主に1年内返済予定の長期借入金が3.00億円、長期借入金が11.64億円それぞれ増加した一方で、仕入債務が2.50億円、賞与引当金が1.55億円、未払法人税等が2.31億円それぞれ減少したことによる。
純資産合計は262.00億円となり、前連結会計年度末と比べ7.44億円増加した。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益4.40億円、配当金の支払い1.74億円により利益剰余金が2.65億円増加したこと、またその他有価証券評価差額金が4.20億円増加したことによる。自己資本比率は前連結会計年度末の69.8%から69.0%に微減した。
なお、当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
配当
株式会社中北製作所の2026年5月期第1四半期決算は、通期業績予想が据え置きであるものの、利益面での進捗率が売上高を上回る好調なスタートを切った。売上高の進捗率が26.2%であるのに対し、営業利益は35.3%、経常利益は32.7%、純利益は35.8%と、利益率の高い事業活動が奏功している可能性を示唆している。これは投資家にとって非常にポジティブな要素であり、通期予想達成への期待を高めるものとなる。
事業環境においては、主要顧客である造船業界で海上輸送量の増加や次世代燃料船を含む新造船需要の改善が見られ、国内外の造船所が手持ち工事量を確保している点は、今後の安定的な受注と売上高の維持・拡大に繋がる見込みである。また、発電プラント等陸用関連での生成AI需要に伴うデータセンター建設案件への積極的な営業活動は、新たな収益源の確保に貢献する可能性がある。輸出関連売上高が前年同期比で大幅に増加し、全社売上高に占める割合も上昇していることは、グローバル市場での競争力強化と収益基盤の多様化を示すものとして評価できる。
一方で、受注残高が期首比で減少している点は、今後の受注動向を注視する必要がある。しかし、前年同期比では大幅に増加しており、足元の事業基盤は堅固である。また、日本経済全体としては物価上昇による消費者マインドの下振れや米国の通商政策など、景気の下押しリスクも存在し、不透明な状況が続く可能性も考慮する必要がある。
株主還元においては、年間配当予想が前期から増額されたことは、株主への還元意欲の高さを示すものであり、投資家からの評価に繋がるだろう。
総合的に見て、第1四半期決算は利益面での好調な進捗と、堅調な事業環境、積極的な株主還元姿勢が示されており、投資家にとってはポジティブな内容であったと判断できる。今後の見通しとしては、現在の好調な利益進捗を維持しつつ、受注残高の動向や新たな需要分野での成果を継続的に出すことが、企業価値のさらなる向上に繋がる鍵となる。
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