株式会社放電精密加工研究所の2026年2月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高が前年同期比19.3%増の71.01億円、営業利益が同270.2%増の6.16億円、経常利益が同314.4%増の5.71億円、親会社株主に帰属する中間純利益が同325.0%増の3.43億円と、大幅な増収増益を達成した。特に利益面では、価格改定の効果や環境・エネルギー関連、航空・宇宙関連の生産量拡大が寄与し、大幅な改善を見せた。財務状態も純資産が85.81億円に増加し、自己資本比率も43.3%と健全性を維持している。キャッシュフローも営業活動による資金獲得が大幅に増加した。通期業績予想は売上高が当初計画から減収見込みであるものの、営業利益は増益を見込んでおり、利益率改善への取り組みが評価できる。配当については、2026年2月期の期末配当予想を1株当たり15.00円と、前年同期から増配を予定しており、株主還元への意欲も示している。全体として、売上高の減収予想は懸念材料だが、利益面での堅調な推移と株主還元姿勢は投資家にとってポジティブな要素が多く、総じて良好な決算発表であったと評価できる。
2026年2月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高が前年同期比19.3%増の71.01億円と大幅な増収を達成した。利益面では、価格改定の効果に加え、環境・エネルギー関連および航空・宇宙関連の生産量拡大が寄与し、営業利益は同270.2%増の6.16億円、経常利益は同314.4%増の5.71億円、親会社株主に帰属する中間純利益は同325.0%増の3.43億円と、いずれも大幅な増益を記録した。これは、堅調なインバウンド需要や大企業の賃上げによる国内景気の下支え、AI普及に伴う電力需要増加、航空旅客需要の回復、防衛力強化といった外部環境の変化を捉え、ガスタービン部品や防衛装備品の生産能力拡大に注力した結果である。
指標 | 2026年2Q(累計) | 2025年2Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 71.01億円 | 59.52億円 | 19.3% |
営業利益 | 6.16億円 | 1.66億円 | 270.2% |
経常利益 | 5.71億円 | 1.37億円 | 314.4% |
純利益 | 3.43億円 | 0.80億円 | 325.0% |
放電加工・表面処理事業は全社売上高の約68.3%を占める。当中間連結会計期間において、売上高は48.52億円(前年同期比30.3%増)、セグメント利益は10.02億円(同84.3%増)と大幅な増収増益を達成した。航空・宇宙関連では、コロナ禍で低迷していた航空機エンジン部品の生産量回復と防衛予算拡大による防衛装備品の需要増加が寄与した。環境・エネルギー関連では、ガスタービン部品の電力需要増加に伴う受注増加に加え、遠心圧縮機部品も石油・ガス産業の精製・輸送需要増加を背景に受注が増加し、前年同期比で増収となった。利益面では、増収効果と一部製品の価格改定が寄益に貢献した。このセグメントは、AI普及に伴う電力需要増加や防衛力強化といった外部環境の変化を追い風に、今後も堅調な成長が期待される。
金型事業は全社売上高の約23.2%を占める。当中間連結会計期間において、売上高は16.46億円(前年同期比3.2%減)、セグメント利益は1.52億円(同17.4%減)と減収減益となった。住宅関連では、省エネ基準適合義務化に伴う駆け込み需要の反動から国内のアルミ押出用金型は減収したものの、海外子会社における売上増加により前年同期並みに推移した。一方、交通・輸送分野では、セラミックスハニカム押出用金型で大型製品の受注が伸び悩み、セグメント全体では減収となった。利益面では、前期に行った海外子会社における早期退職等による固定費圧縮効果があったものの、減収の影響が大きく、減益となった。
機械装置等事業は全社売上高の約8.5%を占める。当中間連結会計期間において、売上高は6.03億円(前年同期比14.5%増)、セグメント利益は0.58億円(前年同期は0.30億円の営業損失)と増収かつ黒字転換を達成した。機械設備関連ではプレス機および付帯設備の販売が寄与し増収となった。交通・輸送関連では自動車関連プレス部品の価格改定効果により増収を達成した。利益面では、プレス機販売や自動車関連プレス部品の価格改定に加え、工場集約による固定費圧縮が寄益に貢献し、前年同期の営業損失から黒字転換を果たした。
当中間連結会計期間より、セグメントの区分を変更した。これは2025年3月から機械設備事業と混合溶融技術を軸とした環境事業を統合したことによる。双方の技術力を結集し、より高度な技術開発や製品開発等でシナジー効果を発揮する環境を整える目的で、環境事業を主とする横浜工場を機械設備事業を主とする大和事業所に統合したことに伴う変更である。従来「放電加工・表面処理」に計上していた環境事業の一部を、「機械装置等」セグメントに区分変更した。この事業再編は、効率的な事業運営と技術シナジーの創出を通じて、企業の競争力強化と収益性向上に貢献すると想定される。
進行期の全社業績予想は、売上高は当初計画に対して減収となる見込みだが、営業利益は増益となる見込みで修正された。売上高は、放電加工・表面処理セグメントの受注環境増加トレンドに変化はないものの、金型及び機械装置等セグメントの現在の受注状況等を勘案し、減収となる見通しである。一方、営業利益は、減収の影響があるものの、上期での高い生産性維持、適切な価格改定による効果や経費見直しを見込み、当初計画に対して増益となる見通しである。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 141.01億円 | 50.4% |
営業利益 | 8.00億円 | 77.0% |
経常利益 | 7.08億円 | 80.6% |
純利益 | 4.27億円 | 80.3% |
当中間連結会計期間末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ1.50億円減少し76.43億円となった。これは主に受取手形、売掛金、電子記録債権の減少が要因である。固定資産は3.62億円増加し101.19億円となり、リース資産や投資有価証券の増加が主な要因である。流動負債は8.05億円減少し47.97億円となり、短期借入金の減少が大きく影響した。固定負債は7.00億円増加し43.84億円となり、長期借入金やリース債務の増加が主な要因である。純資産は3.16億円増加し85.81億円となり、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加が寄与した。
キャッシュフローの状況では、営業活動によるキャッシュフローは15.51億円の獲得となり、前年同期の7.54億円から大幅に増加した。これは主に税金等調整前中間純利益の増加、減価償却費、売上債権の減少、仕入債務の増加によるものである。投資活動によるキャッシュフローは3.95億円の使用となり、有形固定資産の取得が主な要因である。財務活動によるキャッシュフローは11.26億円の使用となり、短期借入金の減少、長期借入金の増加、配当金の支払い、リース債務の返済が影響した。結果として、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ0.10億円減少し24.14億円となった。
配当
自己株式取得
株式会社放電精密加工研究所の2026年2月期第2四半期決算発表は、投資家にとって混合的な評価となる見通しである。売上高は当初計画に対して減収となる見込みだが、営業利益は増益を見込んでいる点が重要である。これは、売上高の伸び悩みがある中でも、企業がコストコントロール、生産性向上、適切な価格改定といった内部努力を通じて収益性を改善していることを示唆する。利益面での堅調な推移は、外部環境の不透明感が増す中で、企業の経営効率化への取り組みが奏功している証拠であり、投資家にとってはポジティブな要素と捉えられる。
特に、主力の放電加工・表面処理事業は、航空・宇宙関連や環境・エネルギー関連の需要増加を背景に好調を維持しており、AI普及に伴う電力需要増加や防衛力強化といったマクロトレンドを捉えている点は評価できる。しかし、金型事業や機械装置等事業の受注状況が売上高の減収見込みに影響しているため、これらのセグメントの回復が今後の課題となる。
今回の決算発表では、事業セグメントの再編や工場統合といった構造改革の進捗も示されており、これらは中長期的な企業価値向上に繋がる可能性を秘めている。効率的な事業運営体制の構築は、将来的な収益基盤の強化に貢献するだろう。
投資家目線では、売上高の減収予想は短期的な懸念材料となるが、利益率の改善と構造改革の推進は、企業の持続的な成長に向けた前向きな動きと評価できる。今後の焦点は、売上高の回復と、利益率改善の持続性、そして構造改革によるシナジー効果がどの程度発揮されるかにある。特に、金型事業や機械装置等事業における新たな成長戦略や市場開拓の動向が、企業価値のさらなる向上に繋がるか注目される。全体としては、利益面での改善はポジティブだが、売上高の減収予想は今後の事業展開に注視が必要なネガティブ要素であり、投資家は今後の動向を慎重に見極める必要がある。
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